サラリーマンの「不満」と「不安」
木谷高明 氏
運営者 ……というわけなので、たいていのサラリーマンは、カイシャにぶら下がりつつぶつくさ文句を言っているか、思い切って飛び出そうか、でも、うまくいくかどうか不安だなと葛藤しているわけですが。
木谷 まず大前提として、人は「不安」か「不満」かを選択せざるをえない。10年前であれば、サラリーマンを続けるということは「不満の連続」でした。ベンチャー企業を興して経営するということは、「不安の連続」なんです。でも「不満」はありません。自分がやりたくて、納得してやっているわけですから。
だから「不安」か「不満」か、どっちかを選択する必要があるわけです。それでぼくは、不満より不安を選択したわけです。
運営者 ああ、それよくわかりますよ。ぼくは、サラリーマンでも、その「不安」の部分を持つべきだと思うし、このサイトではそこを追求していきたいと思っているんです。「インターネットは便所の落書き」という人もいますが、それはこの「不満」派の物言いのことを指しているわけであって、私がやりたいと思っていることとは別のことなんです。
木谷 そう、いまやサラリーマンは「不満」で、なおかつ「不安」にもなってきている。その二つともは、さすがに堪えきれないとみんな思うんじゃないんですか。どっちかを解消したくなる。そうすると、不安な人の中には「会社を移ろうか」、あるいは「独立起業しようか」と思う人も出ますよ。
そして、日頃から「不満」しか言ってない社員は、決して会社を移ろうとはしないということなんです。
運営者 その通りですよ。「不満」派のサラリーマンは、「不安」のことは気にしようともしないんですよ。それで文句ばかりいっている。
木谷 「うるさい、黙れ」と言えばいいじゃないですか。
運営者 黙らないんだなあ、これが。
彼らには、「黙って大企業に勤めて、静かにしていればおまんまが食べられる、それが日本人の正しい生き方である」という頑なな信念があって、それじゃあ気詰まりだからというので「不満」をたらたら言ってるわけですから。
木谷 確かにそういう時期が日本では長かったのは事実。だけど戦国時代とか、幕末維新とか、そうじゃない時期があるわけです。
運営者 木谷さん、「信長の野望」のゲーム好きですよね。ぼくもシミュレーションゲーム大好きなんですよ。あれは経営者に必要な要素が詰め込まれてると思われませんか。時間かかるけど。
木谷 歴史が好きじゃないとだめですよ。歴史には全てが凝縮されています。こいういとき人は裏切るとか、どうすれば味方をつくることができるとか。
運営者 まあ、そういうのがビジネス雑誌の主流だった時期もありましたが……。
(2000/1/12)
このインタビューは2000年に行ったもので、内容は古いですが、中身のおもしろさが評価できるのでそのまま掲出しています。