日本新聞協会御中
私は中央区に住むフリーランスジャーナリストです。
金曜日に転んで足をくじき、マンション1階の新聞受けまでケンケンで苦労して降りて新聞を回収し、また全5段の意見広告が載っているのを見つけました。非常に腹が立ったので、eメールにて新聞購読者としての私の、再販制度及びこの広告に対する意見をお送り申し上げます。
1月19日の夕刊広告(今回のものと同内容)に対する意見は、私の個人サイトのここに載せています。
新聞再販制度は廃止せよ
論点を簡潔に整理すると、以下のようになります
問題1 都市居住者には新聞購読料の負担感がある
新聞の再販売価格維持制度は、「悪平等」以外の何者でもない。「経済効率が悪い地域の販売網を維持する経費は、現在新聞社が負担している」という表現の根拠はいったいどこにあるのか。では我々が支払っている購読料は一体何なのか。
問題2 この広告の主張には、顧客志向性が決定的に欠如している
a. 再販価格維持が情報流通のための唯一の手段であるかのように主張しているが、ネット配信への移行や、誌面の選択制/縮小、配達地域縮小など、他の可能性を敢えて閑却しているとしか思えない。経済効率(あるいは価格による消費者の選好)を無視してまで全国一律配達を維持することにどういう意味があるのかさっぱりわからない。
b. 「再販価格廃止後、販売地域をどうするか、どのような販売料金を設定するか」という問題は、供給側の各新聞社が市場競争の観点から考えるべき問題。「オタクも値上げされたり、新聞が届かなくなるかも知れませんよー」と全ての購読者に訴えるこの広告の訴求は、読者全体に対する恫喝的態度と受け取ることができる。また消費者には各社の商品戦略を採点し、選択する自由が与えられるべきであって、業界団体の統一意見として各社間の競争を最初から放棄した姿勢を見せるのは、談合的と受け取られても仕方がない。
問題3 新聞論調との自家撞着
新聞は経済合理性を軽視し、非市場的、競争制限的態度を擁護するのか、それとも「日本は構造改革を行わなければならないが、自分たちだけは別」と考えているのか。
以上、良識のある消費者としての感想です。
法律は、簡単に改変することができます。新聞社は、悪法に守られた価格カルテルを速やかに解消し、闊達な企業間競争を通じてメディアの変容をリードしていただきたいと切に望むものです。
また、第四権力とも称される新聞メディアに対しては、一消費者の立場でも発言しようとする人は少ないものです(特に意見に住所氏名電話番号の明記などを求めている場合)。幸い私は利害関係なく発言できる立場なので、時間を割いて筆を執りました。私と同意見の物言わぬ人々が少なからずいることをぜひお酌み取りいただきたく存じます。
この私の意見は、個人サイトにおいて開示しています。
2001.2.21
岡本呻也
住所電話番号