新聞再販制度は廃止せよ

 (2001.01.22)

 1月19日の夕刊に「再販制度堅持」の新聞全面広告が載っていて、この分だけでも購読料を返して欲しいのですが、
 腹を立てつつも読んでみて面白いことに気がつきました。

「個別配達と再販制度によって、同じ新聞は全国どこでも、同じ価格、同じ条件で届けられています」
「再販制度がなくなれば、新聞は経済効率のよい一部地域にしか配られなくなる可能性も出てきます」

 これって、私にとっては何の説得力もないんですけど。
 「高層マンションの最上階でも、同じ価格で読者の手元にまでとどけられています」と書いてあるが、うちは新聞受けまで届けに来ないんだけど。かろうじて1階の郵便受けには入っているようだが。うちはこの表現の外なのか(20階以上は「超高層」であって、「高層」ではないですからね)。
 だいたい、この販売店は朝日も日経も同じところがカバーしているので、このビルだけで300軒は配っているはず。4000戸弱を数えるリバーシティー地区で、せいぜい十数箇所の郵便受けで配達が完了するということは、販売店にとってはメチャクチャ経済効率のいい地域と言えるでしょう。
 そういう経済効率を達成しているのは、我々が高い家賃を払っているからであって、新聞社の努力によるものではない。だったら、その分を値引きして欲しい。

 再販制度がなくなれば、新聞販売店間の競争が起きるでしょう。そんなら、ぼくがこの地域の販売店をやりたいよね。儲かりまっせ。……と、手を挙げる人が何人かいて、販売権を入札させれば、この地域の新聞購読料は全国一下がるはずです。新聞本社工場からもっとも近い人口稠密地域ですからね。

 ところが現実にはその逆のことが起こっているから世の中おかしなものです。リバーシティ内のある高層マンションでは、主婦が個別配達(郵便受け~戸口まで)を請け負ってアルバイト収入を得ているそうです。新聞社にとって経済効率がいいはずのマンション居住者が、同じサービスをうけるために一般の読者以上の負担を求められているという事実をいったいどう受けとめればよいのか……。

 そもそも、全国同じ値段で届けることが出来る商品というのは、配送コストが同じであることが前提でなければおかしい。日付をまたがずに全国一律配送を可能にする手段は今は放送とネットだけでしょう。新聞にはネット配信の可能性は十分ある。ならばなぜ再販制度に固執せず、それを追求しないのか。
 僻地に住む人が、「応分の配達コストを負担した購読料を払えない」とギブアップするのであれば、それはそれだけの価値しか認められていない商品なわけであって、それをそのまま一律に売りつけようとする新聞社の態度はおかしい。購読料に見合う情報だけに情報量を落とすか、あるいは、土台配達コストが吸収できないのであるならばその地域への個別配達はあきらめるべきでしょう。これでは高速道路の料金プール制を批判できない。「世の中に新聞が配達されない地域があってはならない」という考え方は経済合理性をわきまえない傲岸不遜な態度だと思います。もしNHKがなければ話は別ですが、NHKのコストをみんなが負担することで僻地への情報供給は実現している。ましてや衛星放送の時代です。

 「再販価格廃止後、どの地域にどのような販売料金を設定するか」という問題は、供給側の新聞社が市場競争の観点から考えるべき問題であって、購読者全員に対して「オタクも値上げされたり、新聞が届かなくなるかも知れませんよー」と恫喝して再販制度維持に対する支持を取り付けるというこの広告の訴求は、論理性に欠けるし、それ以上に読者を非常にバカにしている、経営努力を放棄した投げやりな姿勢だと思います。真摯さがまったく感じられない。

 再販制度廃止によって新聞の部数は縮小するかも知れません。それによってメンツは潰れるかも知れませんが、新聞の権威が毀損するわけではまったくありません。むしろ実際は必要とされていない情報を、消費者の無知や虚栄心に訴えて売りつけ続けるという姿勢の方が、新聞社の先見性や、顧客志向性の欠如の覆いようのない証拠として、将来の禍根となるでしょう。

 「全国一律」を金科玉条に再販制度を主張する新聞社の姿勢は、企業経営の問題だけでなく、社会問題に直結しているというのがさらに大きな問題なのです。新聞のように、僻地に住む人間の利便をはかるコストを都市居住者に課しているケースが多いから、いつまで経っても中山間地域に人が残り、行政の非効率が正されない、それどころか政治的な不均衡によって非効率な所得再配分が放置され、財政赤字を増やすばかりでなく、結果として構造改革を妨げる要因になっているのです。

 じゃあ新聞が市場性をあくまで拒否して、一律同じ値段で配達しているということは、日本がなかなか変わることができない要因の一つなんだ。だったら無理に新聞は改革論者ぶらなくたっていいんだよ。新聞は守旧派の味方してなさい。
 あーあ、やだねえ、偽善者は。

日本新聞協会御中/再販制度擁護の意見広告に対する意見

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