……と思わせてくれる雑誌記事を読みました。
『諸君』3月号で森首相に早坂茂三氏がインタビューしている「この際だから総理! 森の清談」です。
ひどすぎる! あまりにお粗末。こんなプライミニスターが果たして可能なのでしょうか?
まず最初がアフリカ外遊の手柄話。次が政権誕生のゴタゴタの言い訳。次が教育改革だけど万人が認める「教育改革の必要性」を振り回しただけで、方向性すら示さず、選挙の話に移行(この辺、次の選挙のタネは教育以外に今のところないことがよくわかる)。
そん次が田舎の話、父親の話。「親父以上になれなくてもいい」と言われたというが、「親父は町長、アンタは総理大臣だろうが」と思わず突っ込みたくなる。そこから脈絡なく「滅私奉公」の話へ。
それから自民党若手と野党議員に対する悪口。最後がたばこを吸わないという話、でもこれが森首相の唯一の美点らしい。
「政治家は天職だ、天命だ」と言いながら、では自分は何をしたいのかについては一言も触れていない。今何が喫緊の問題かも認識を明らかにしない。問題意識のかけらすらない。問題を認めていないところに解決があるはずがない。
ではいったい、アンタは何に滅私奉公しているんだ、その対象は?
政治家、なかんずくその頂点である総理大臣の仕事をいったいなんだと考えて、それを天命と受け取っているのか?
答えは全く見えません。ただ、冗長な会話を続けるだけ。そもそも早坂氏の発言部分の方が多い。
これは清談ではない、駄弁である。
本来、国家運営は、いつ如何なる時でも課題の連続です。重なる難題をギリギリのところで回避し、神経をすり減らしつつ隘路を渡って次の人に政権を引き継ぐ、そうやって誤りなく民を導くのが政治家に課せられた使命なのではないでしょうか。
首相はまさに日々、そのために身をすり減らす職務です。メディアに出る時間なども限られているはず。だからこそ、限られたチャンスを最大限に生かして、自らの経綸を国民に問うべきだし、今や変革のために国民の理解を得なければならないことは山ほどあるはず。なのにこの駄弁は一体何なのか、国民として不信を通り越して絶望感を抱きます。
この記事からは、先人の努力の末に築き上げられた大企業の主となって、何もせずに会社を傾けるバカ社長というイメージしか漂ってきません。まさに傾国の暗君です。
この首相の駄弁を甘受するのは、まともな神経では無理です。しかしメディアは叩きにかからない。ほぼ沈黙している。私には、政治部の神経は麻痺しているとしか思えない。言論雑誌に登場した首相の発言が、こんなことでよいはずはないのです。だってこれだったら、ワタシが総理大臣やったほうがマシだもん。
ここにあるのは何か、即ち、言論が死んでいるということなのです。言論が機能せず、麻痺している……あまりにも怖ろしすぎることです。
読んでいて、恥ずかしくて逃げ出したくなりました。これ以上気分を滅入らせたい方には、ぜひご一読をお薦めします。