おなかをすかせたいぬがいました。
もう何日もなにも食べていません。
「あ〜おなかがすいたな〜」
いぬはそうつぶやきながら、道をとぼとぼとさまよい歩きました。
肉屋さんの前に通りかかったとき、ひとかけらの肉のかたまりがおちている
のを見つけました。
いぬは大喜びでその肉をくわえました。
くわえたまま、だれもいない町はずれの川まで走りました。
川をわたろうとしたときです。
「おや?」
橋の下を見下ろしたとき、肉をくわえたもう一ぴきのいぬがいることに
気づきました。
「あいつの肉のほうが大きいや。そうだ!おどかして、あの肉も取ってしま
おう。」 そう思って、いぬはありったけの大声で「ワン!」とほえました。
そのとたん、自分のくわえてた肉のかたまりはポトンと川の中に落ちてしま
しました。
肉のかたまりは、あっというまに流されてどこかへいってしまいました。
おわり