野原に続く一本の道を、ひとりの旅人が歩いていました。
雲の上からお日さまと北かぜが旅人を見ていました。
北かぜはお日さまに言いました。
「あの旅人の上着をどちらが脱がせられるか、やってみないか」
「やめなよ。寒そうにしているのだから」
それでも北かぜは言いました。
「君にはできっこないから、そんなこというんだろ?
さあ、力くらべだ」
そういって北かぜはピゥー ピゥー強い風をふき続けました。
旅人は寒さのあまり、上着をしっかりおさえ、急ぎ足で歩き始め
ました。
北かぜはつかれてしまいました。
「さあ、今度は君のばんだ。どうせ無理だと思うけど、、、」
お日さまは雲をよけ、ポカポカとあたたかい日を旅人に照らして
あげました。
旅人はあたたかくなってきたので、上着を脱ぎ始めました。
「北かぜさん、私の勝ちですね」
お日さまはにっこり笑って言いました。
北かぜはだまって遠くへ逃げてしまいました。
おわり