『こなやとろば』

こなやの周りには、ひめゆりの花がいっぱい咲いています。
こなやからおじいさんがでてきました。
「市場にこなを売りにいくよ。」
こなやの少年はよろこんでついていきました。
とても静かな野道です。
かえるがケロケロないています。
こなを背中に背おったろばは
一生懸命歩きます。

かえるのなきごえを聞きながら、ふたりはてくてくろばと一緒に
歩きました。ひとりの女の人が言いました。
「まぁ あれをごらん!
 この暑いのに、あのふたり歩いているよ。
 ろばにのってしまえばいいのに、、、」
その声を聞きおじいさんはなるほどと思いました。
「おまえがろばにのるといい。
 くたびれただろ?」
少年はろばにのりました。

しばらくてくてく歩いていくと、
おばあさんに会いました。
「あれまぁ、年寄りを歩かせて、
自分だけろばにのって、なんという子だろう、、、」
おじいさんはなるほどと思い、少年をおろして
今度は自分がろばにまたがりました。

またしばらくいくとむこうから旅人がやってきました。
「あんなちいさな子どもを歩かせて、
 なんていやな世の中だろう。
 ふたりともろばにのってしまえばいいのに、、、」
なるほどなるほど、おじいさんはおおきくうなづき
少年もろばにのせてあげました。

こなと少年とおじいさんをのせたろばは
もうへとへとです。
とうとうたおれてしまいました。
おじいさんと少年はたおれたろばと
こなを背おって、また家までやっとのおもいで
帰りつきました。 
                
                         おわり
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