こんな所にも使われている磁石磁性体 目次へ

赤字永久磁石青字軟磁性材料茶色字磁気記録材料を表す(言葉の意味についてはこちら)

方位針(コンパス)

磁石といえば方位針のことを指すこともある。
それは、方位針のみが太古の昔より実際に使われてきたためである。
中国では、紀元前より指南車として使われていたという。
ヨーロッパでは13世紀頃中国から伝わり、船の羅針盤に使われ大航海時代を導いた。

なお、これ以外の磁性体の応用は電気が使われ始めた19世紀になってからである。

マグネット・クリップ 

ご存じマグネットクリップ。冷蔵庫のふたの表面に貼ってあります。

ほとんどフェライト磁石製です。

強力な物は希土類磁石が使っている場合もあります。しかし、あまり強力すぎてくっつくと容易に剥がれないので厚いプラスチックで覆っています。(右端の白いマグネットクリップ)

ドア・ロック


これも単純な磁石の応用。

この部分は永久磁石製。ドア側は鉄片です。



カード・自動切符

誰しも1枚は持っていますね。

焦げ茶色の部分に磁気記録材料が塗布してあります。材料は酸化鉄。磁気テープと同じ材料です。

Jスルーカードの裏面は銀色ですが塗料が塗布してあるためです。


磁気記録媒体

カセット・テープ(ビデオ用、音声用)、フロッピー・ディスク、光磁気ディスク など。

だんだん記録容量が大きくなってきた。

がしかし、最近は、CD-R やDVD に取って代わられつつある。

ハードディスク

記録部だけでなく、磁気ヘッドスピンドル・モーター、アーム駆動部 等に磁性材料が使ってあります。最近記憶容量の進歩が著しい。これには、磁性材料の進歩が大きく貢献しています。現在も、コンピュータの補助記憶装置の主役。

これは、160GBの外付けハードディスク


不要になったので、分解してみました。

ハードディスクの中身 下のサムネール(小さな絵)をクリックすると大きくなります。


ハードディスクの
仕組み

ふたを開けたところ

主要部
左図の右側に入っている

主要部を強引に2分割した
これを本を閉じるように重ねたのが左

アームと
磁気ヘッド
(先端部)

医療機器

左図はMRI(磁気共鳴イメージング)。超電導磁石を使うものが主流だが、永久磁石を使った小型の装置もある。


このほか、ご存じエレキバンなど。

電気機器 大部分の電気機器はどこかに磁性体を使っている。 以下、2,3の例

モーター

左図は電車用の大型直流モーター。固定子、回転子ともに電磁石で出来ている。 小型の直流モーターの固定子は永久磁石が使われる。 交流(誘導)モーターは固定子のみ電磁石で回転子は銅(渦電流による反発力を利用する)

家庭では、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、エアコン、扇風機など広く使われている。パソコンにもハードディスク、トレイの開閉、ディスクドライブ、冷却ファンなどに使われている。

回転だけでなく、電動シェーバーや電動歯ブラシなど、横振動をするのもモーターの一種。 全て、磁石が作る磁場中を流れる電流が受ける力(ローレンツ力)を利用する。

スピーカー(詳しくはここ)

永久磁石が発生する磁束を軟磁性体である鉄製ヨークでボイスコイルの所へ導き、ボイスコイルに流れる電流で振動板が前後に動く。

ヘッドホン、イヤホンも同じ原理。

このように、磁性材料は単独で使われず、組み合わせて使うことが多い。これを、磁気回路という。



トランス

トランスは軟磁性材料に1次コイル、2次コイルを巻いたもので、交流電圧の電圧変換などに使われる。

左図は柱上トランス。変電所の超大型電力用トランスから、小は、ノートパソコンの電源アダプターなど様々な種類がある。

自動車 

自動車にも磁石や磁性材料がいろんな所に使われています。
左のイラストをクリックすると詳しい図が現れます。

資源・環境

左図は、廃棄物から鉄を電磁石によって回収するクレーンです。製鉄所でも使われています。

このほか、磁石に反発する性質を利用して、軽くて電気伝導率の高いアルミ缶を分別するのにも使われます。(渦電流による反発力の利用)

防犯・セキュリティー

マグネットキーや万引き防止用のタグの一部などにも磁石や特殊な磁性体が使われています。