能のほとんどの作品は、この世に無念を残したまま死んだ霊と、現世を生きる人間との対話を、描いたもの。霊が伝えようとする、恨みつらみ・無念さ、などなどを、現世を生きる側の人間が聞いてあげ、霊はすこし救われた気分であの世に帰っていく。ほとんどが、そんな話。権力を振るった武将達も、弱者・敗者が綿々と恨み言を語る舞台を見ていたのか、と思うと、日本人の他者に対する想像力も捨てたものではないはずだと思ってしまう。国立能楽堂定例公演は、学生なら\1,700で鑑賞可能。場内で、解説及び台本にあたるものが収録されたパンフレットを五百円ちょっとで購入できるので、よほどのツー以外のかたは、上演まえに、解説と、できれば台詞を通読する必要あり。観ながら、パンフレットの台詞を追っていれば、十分話しについていけます。あの間延びした台詞まわしですから。 |