旅立ちまで/日程  11/22(木)  11/23(金)  11/24(土)  11/25(日)  11/26(月)


■ フィナーレ 11/26(月)
※)文中、「CLICK!」と書いてある画像は、
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■ウエストミンスター界隈

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 レンガ造りの外観が可愛いウエストミンスター大聖堂に来るのは初めてだった。有名なウエストミンスター寺院ではなく、「大聖堂」のほうである。場所は今回「スターライト・エクスプレス」を観るためにしょっちゅう訪れたヴィクトリアの駅からすぐ近くで、こんな場所にこんなものが、と単純に驚いた。何度もロンドンに来ているとはいっても、まだまだ浅いところしか、僕は知らない。
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 中に入り、ひざまずいて一心に祈る人びとを見た。大聖堂の中は観光名所としては地味なものだが、生活に根ざす不可欠な場所としての威厳を保っているように思えた。

 最後の名残にロンドンの象徴とも言えるビッグ・ベンをもう一度見ようと、テムズ川に向かい歩き出す。地図からすると、ほど近い距離にあった。
 やがてウエストミンスター「寺院」が見えてきた。待っていたかのように、45分を知らせる鐘が一つだけ鳴る。見上げるビッグ・ベンには朝の陽が差し、横顔を金色に照らし出している。歩を進めると、建物の蔭からひょっこりと、ロンドン・アイも顔を出した。


■ロンドン・アイ

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 前にも書いたように、ロンドン・アイとは観覧車のことだ。ミレニアム記念で作られた新しいロンドンの顔である。
 乗るつもりはなかった。土曜日に来た時、あまりの人の多さにあきれてしまった。それが、近寄って見てみると、今日は人がまばらにしか乗っていない。これなら待ち時間も少ないかと、予定を変更して乗ってみた。
 感想――。ま、眺めは確かに良かったけれど、それほど大きな感動があったかというとそうでもない。2000円近い料金に見合うだけの結果があるかは、微妙なところだろう。これが夜景ならまた違ってくるのだろうけど。
 ただし、ロンドン・アイの外観が気に入って乗るのならば、やめたほうがいい。見えないから。乗ってしまうと。


■タワー・ブリッジ、再び

 このページの写真を見てわかる通り、この日もまたものすごい晴れようだった。去年来た時には青空などほとんど見えない状況だったのに。
 本来ならこれでホテルに戻るはずだった。夜に控えた最後の「スターライト・エクスプレス」に向け、体力を温存するつもりだった。それなのにこの晴天にもったいなくなり、さらに東にあるタワー・ブリッジに来てしまった。
 今回何度も利用したタワーヒル駅で降り、ロンドン塔を左手に見やりながら、テムズ河畔まで歩く。北岸から眺めるのはこれが初めてだったが、午前中の日差しだと光がうまく当たらず、どこか靄がかかったように見えていた。この時間帯であれば、いつも通り南岸からの眺めの方が圧倒的に綺麗だっただろう。
 それでもしばらくそこで過ごす。ロンドン塔への入り口でもあるこのあたり、出店が出ていてなかなか活気がある。川沿いは小さな公園になっていて、ベンチに座って景色を見ることができる。
 ちょうど12時になろうとしていた。午前中にかなりの距離を歩いた。少し風邪気味でのどが痛かったのが、また再発してきてしまった。


■フィナーレ

 いったんホテルに戻り、午後はそのまま休んでいた。体調は思わしくなかった。
 4時を過ぎ、少しは体を慣らしておかねばと、ホテルを出た。既に暗くなりかけていたが、今回行かなかったグリーン・パークに行ってみた。夜の「スターライト」までには、まだかなりの時間がある。
 駅を上がると、ここにもイメージ通りの光景があった。10年前、バッキンガム方向から歩いてこの公園にたどり着き、少し休んだあと、地下鉄に乗った。今回はその逆のルートを行く。地下鉄の駅からグリーン・パークを突っ切り、バッキンガム宮殿の前を通って、セント・ジェームズ・パークに出た。
 土曜日にも来た湖のほとりで、あの時のペリカンがいないか探してみたが、見つからなかった。湖の中はもう、暗くてよく見えない。ベンチでしばらく休んだあと、ヴィクトリアまで歩くことにする。
 だいたいの方向で適当に歩いたが、無事にヴィクトリア駅前に出た。途中からは、朝に来たウェストミンスター大聖堂の塔を目印にした。少しだけロンドンの地理に詳しくなった気がして、嬉しくなる。

 19時45分。最後の「スターライト・エクスプレス」が幕を開ける。できるだけ、これが最後だとか考えないようにした。そう考えてしまうと悲しくなって心から楽しめないと思った。この一回のショーを純粋に楽しみたい、そう願った。
 今日も場所は特等席だ。ステージの前に円形のローラーリンクが設置され、そこをローラースケートを履いた役者達が走り回る。僕の座る席は、そのリンクの中に設置された20列ほどの席の中にある。
 リンクを役者が通るたび、風が吹き抜けた。大好きなアシュレーが通る時には、目を凝らして見つめた。
 パールはどうも前に見た二日のどちらとも違うような気がした。もしそうだとすれば、この日が一番歌は上手かった。
 ラスト近く、一人の役者の手が僕の頭に当たった。サービスとして、わざとそうしてくれたのかもしれない。事実僕は嬉しかった。パールがよろけてこけそうになったり、かっこいいはずのエレクトラが肝心の登場シーンで転んでしまったりと、珍しくハプニングも多かった。でもそれらも全て、なぜか嬉しかった。
 エンディングで役者全員が手をとりあい、挨拶をする。彼らに向かい、精一杯の拍手を送る。もうここに来ることはない。最後にどうしてもそう思ってしまい、胸が痛くなった。
 席を立ち、帰路につく人々の背を追いながら、もう一度振り返る。ステージ中央には、ダウンヒルコースの一部となる橋が宙吊りになっている。ショーの開始前と終了後の、決まったセットの形。いつもここに来て、ここから帰っていった。でも、今日が最後だ。薄暗い照明の当たるステージに別れを告げる。

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