マトリックス・リローデッド

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脚本・監督・製作総指揮ラリー&アンディ・ウォシャウスキー
製作 ジョエル・シルバー
製作総指揮 グラント・ヒル/ブルース・バーマン
音楽/指揮 ドン・デイビス
ファイト・コレオグラファー ユアン・ウーピン
キャスト
キアヌ・リーブス
ローレンス・フィッシュバーン
キャリー=アン・モス
ヒューゴ・ウィービング
ジャダ・ピンケット・スミス/グロリア・フォスター
モニカ・ベルッチ
コリン・チャウ/ランダル・ダク・キム
公式サイト(日本語)
http://whatisthematrix.warnerbros.com/japan/

 センティネルによる直接攻撃は、オシリス号の命をかけた通報によってかろうじてザイオンにもたらされた。ザイオンを守るためには世界に分散している艦隊のすべてを結集しても撃退できるかどうかはぎりぎりの線。だが、ザイオン防衛司令の総力戦の決定にただ1人、異を唱える船長がいた。モーフィアス。彼だけがセンティネルとの戦いにおいて決定的な役割を果たすのは、救世主であるネオの力以外にないと信じていたのだ。一方マトリックスでは、それまでのエージェント達とは明らかに何かが違う存在が、ザイオンの戦士達に迫ろうとしていた。その外見はかつてネオに敗れ去った、あの存在にうり二つであったのだが………

 大ヒットシリーズ第二弾。前作でその存在が語られた反マトリックス組織、"ザイオン"とはなんなのか、救世主である、と運命づけられたネオがなすべきこととはなんなのか、そして最終的な戦いの勝利条件はいったい何なのか、って辺りにお話は踏み込み、待て完結編!でお話をしめる。前作以上に使えるカネはふんだんにあるのだろう、その映像はあくまでもゴージャスでケレンに充ち満ちている。マンガみたいなアクションも、ここまで大まじめにやられたらまあいいかって感じ。わざわざ高速道路をこさえて撮ったカーチェイスのシーンも迫力満点。

 でもなあ、ここにはワンダーがない。「ええっ?」という驚き、「そうきたか」という心地よい裏切られ感、そんなモノが決定的に不足していると思う。"どこかで見たような"シーンの連続なのだよね。前作での、乾電池を効率よく運営するために、電池=人間に自分が電池であることを悟らせないための機構として作り上げられたマトリックス世界、という設定には(無理もあるけど)ワンダーがある。予言者の予言は必ず当たる、という前提で、皆に授けられた予言が最終的にすべて当たった、という展開にも(都合よすぎとも言えるけど)しびれた。でも今回は、そういう、こっちを喜ばせてくれる展開には残念ながら乏しかったかなあという感じ。個人的には「海底軍艦」(地底王国の住民はとりあえず踊るのだ)と「Gガンダム」(武闘家は己の拳で語るのだッ!)と「スピード」(ハイウェイで大乱戦)と「ダイ・ハード」(ハイテクビルで大アクション)の見所に、「マトリックス」風味と「2001年」風味をまぶしてみました、ってだけの映画に思えたのだよなあ。

 繰り返すけど、映像的なものすごさは文句ないのですよ。劇場で映像を見てる分にはもう、お腹いっぱいって感じ。ただね、いくら魚沼産コシヒカリでもそれだけ食ってたらやっぱり最後は飽きが来るわけで、やはり途中に鷹の爪だったり、山椒だったりがぴりりと効いたおかずをちょっと出して欲しかったんだけど、今回の映画に限って言えば、「とにかく最高のコシヒカリじゃー、思う存分食えー」って勢いで、炊きたての白米だけをがんがん出されてしまったような感じだった、とまあそういう感じで。

 かろうじて終盤、完結編に向けての微妙なヒキはある。(注意・以下ややネタバレ気味)「マトリックス」世界がもしかしたらさらにコンプレックスな世界であるかもしれない、みたいな興味のヒキも用意されている。でも、「マトリックス」と「マトリックス・レヴォリューション」のブリッジとしてこの作品は果たしてうまく機能したのかな? という疑問はやっぱり残る。あとになって妙に評価が高くなった「帝国の逆襲」みたいな映画になるのかしらん、これ。

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