マトリックス

ポスター スタッフ
脚本・監督ラリー&アンディ・ウォシャウスキー
製作ジョエル・シルバー
撮影ビル・ポープ
出演者
キアヌ・リーブズ ローレンス・フィッシュバーン キャリー=アン・モス

 表の顔はコンピュータソフトハウスに勤める、遅刻常習者の冴えないプログラマー、トマス・アンダーソン。だが、裏世界では"ネオ"の名で知られた凄腕クラッカー。今、彼は自らに覚えのない何かが原因で、突然政府のエージェントに追跡され、逮捕されてしまう。一体"ネオ"のなにが政府にとって重大なのか。一方、同じくその"ネオ"を追う、謎の一団があった。彼らの目的とは?"ネオ"に秘められた物とは一体なんなのか………?

 MTVなどで有名な"タイムスライス"技術を応用した"ブレットタイム・ウォークスルー"のシーンが繰り返しテレビなどでオンエアされ、話題を集めた作品。斬新な映像処理と"スポーン"や"クロウ"なんかにも通じるスタイリッシュなダーク・ヒーローのファッショナブルなアクション映画、ってだけのもんかいなー、ぐらいの気持ちで観に行ったんですが、いやいや、これはいい意味で完全にこちらの予想を裏切る快作。オレ的に"スター・ウォーズ"なんかもういいよ、てなぐらいで(^^;)

 そのファッショナブルな映像で目が眩んでしまいがちですが、で、確かにその映像的な部分のスゴさは特筆モノなんですがこれは決してテクノロジーが産み出すスゴさじゃあないですねえ。この映画の映像がスゴいのはあくまで、映画ってのは人間が芝居をするもんだ、ってのを久々に、有無を言わせず思い知らせてくれたところにあると思います。「ワンス・アポンナ・タイム・イン・チャイナ」などの監督として知られるユアン・ウー・ピンがカンフー・アクションの振りつけを担当したことはつとに知られておりますが、それかあらぬかこの映画、とにかくもうカットカットの区切りで出演者たちがキめて見せるポーズがもう圧倒的にかっこいい(^o^)。ちくしょー、キめすぎじゃないかこのやろう!てなぐらいかっこいい。最先端の映像技術が作り出すイリュージョンと比べても、訓練され、自分の役柄を完全に理解した人間の体の動きってモノは何らヒケを取るモノじゃあないという事実を久々に再確認した気分。これ、うれしくなっちゃうんですよね。ビックリでも感心でもない、なんかこう根源的なうれしさ。久々にこういう気分を味わいました。

 もう一つ感じたことは、"映画はお話やなあ"ってことですねえ。個人的にはこっちの感慨のほうが大きかったです。この映画の最大のキモは、徹底的に練られた脚本の魅力にあると思います。ちょっとディック的な世界観の上で繰り広げられるホーガン的なSF大ぶろしき大会(^o^)。これ、マジで最初から最後まで徹底的にSFしてる映画です。ちょっとネタバレになるかもしれないですが、この話では"予言"が非常に重要な意味を持ちます(この予言者がまたいいんですが)。この予言が当たるのかどうなのか、当たったらどうなのか、ってところがキモになるんですが、こいつの裁き方がもう、ううう、うれしくなっちゃうんですよ(^^;)。良質のSFには良質のミステリの味があると僕は思ってるんですけど、そういう意味じゃこの映画、正々堂々の傑作SFの王道を行った作品だと思います。ぜひ劇場でご覧になって、華麗なるSFのフロシキのたたみ方ってヤツをご堪能ください(^o^)

 うーむ全編にわたってほめちぎってしまいました(^^;)。でもこれ、最高です。見るべし。

スター・ウォーズ ファントム・メナス (Prev)   「来た、観た、書いた」メニューに戻る (Back)   ゴジラ2000ミレニアム (Next) トップに戻る (Top)