あずみ

azumi.jpg/6.6Kb スタッフ
監督北村龍平
原作 小山ゆう
プロデューサー 山本又一郎/中沢敏明
脚本 水島力也/桐山勲
音楽プロデュース 岩代太郎
キャスト
上戸彩
小橋賢児/成宮寛貴/金子貴俊/石垣佑磨
オダギリジョー
岡本綾/りょう
伊武雅刀/竹中直人/北村一輝
佐藤慶
原田芳雄
公式サイト
http://www.azumi-movie.jp/

 関ヶ原の戦いは徳川方の勝利に終ったが、勝者の負った傷もまた浅くはなかった。息子をこの戦で失った武将、小畑月斎は、争いのない世を作るには、徳川による絶対的な支配体制の確立が必要であるとの信念から、いまだ侮れぬ勢力を残す豊臣の残党のうち、特に徳川に対立の姿勢を明確にするものを闇に葬るために、特別に訓練された刺客を養成することを決意する。彼が見込んだ子供たちの中に、親と死に別れた一人の少女の姿があった…。

 小山ゆう原作のコミックの映画化。原作は読んでない(すいません、小山ゆうさんの絵柄好きじゃないもんで)んだけど、同時期に少女を主人公にした、かなり凄惨なアクションが売りの忍者もののマンガが複数、人気を集めてたってことで新聞でもこの話題を取り上げていたような気がする。もう一本は相原コージだったかしら、ちょっと覚えてない。とにかくコミックスの方はもう30巻になろうかという長編シリーズの映画化ということで、非常に焦点の甘い映画になるんじゃないかという心配もあったんだけど、そこらの刈り込みはなかなか上手にやれているんじゃないかな。2時間20分という長尺の映画なんだけど、それほどだれることもなく楽しめた。ただしこの尺については個人的には異議ありなんだけど、それは後で。

 とにかく上戸彩がかなり魅力的。「ガンダムSEED」のCFで、力の抜ける芝居を連発している女の子と同一人物だとはとても思えん。殺陣はきっとあんまりうまくはないんだと思うけど、そこはSFXをうまく使ってメリハリをつけ、いかにも訓練を積んだ忍者らしい"速さ"を演出して見せている。中盤にふと見せる女らしい美しさと、殺陣の中で見せる、返り血を浴びまくってもびくともしない修羅の部分の対比は鮮やか。なんせガンプラのCFしか知らなかったもんでね、こんなに魅力的な女の子だとは思わなかったですよ。フトモモもすてきだし(殴/蹴)。

 その他、竹中直人や伊武雅刀、それに渋さ爆裂の原田芳雄、「時宗」以降サイコな役柄が板に付きまくりの北村一輝と、お芝居サイドはきっちりした仕事がされている。長尺の映画がだれないのは役者さんの功績かな。当面のライバル、オダギリジョーは、彼の雰囲気からしたらこう崩すよな、ってな感じで意外に面白みはなかったけど(強いときの怜悧さが発揮できてないのだね)まあいいか。

 というわけでおおむね好印象の映画だったんだけど、んじゃあ手放しで大喜びかというとそういうわけにもいかない。二つ、気に入らないところがある。

 ひとつ目。あずみとともに刺客の道を進む4人の少年のキャラクタの描き分けが甘くて、どいつがどいつなのか判別できない。せっかく男4人に女1人、戦隊シリーズのフォーマットでも持ってこれそうな図式なのに(持ってこい、といいたいわけではないよ)そこがうまく活きてない。役者さんたちもそれなりにイケメンなんだけど、際だった個性がこっちに見えてこないって辺りは惜しいな。原作がどうなのかは判らないけど、もうちょっとデフォルメしたキャラクタライジングをしても良かったんじゃないかしら、と思う。

 二つ目。尺の長さ。パンフレット読んでたら、最初に上がってきた脚本は尺にすると3時間を超えるものであったそうで、それを頑張ってこの尺まで削ってきたと言うことなんだろうけど、これでも長い、と感じる。長いと何が悪いのか? アラが見えてくるのですよ。

 上戸彩、頑張ってるけどやっぱり殺陣は下手だな、とか、主人公の気持ちの揺れが(間に別のエピソードが挟まるもので)もう一つ見えてこない、結果、クライマックスに向かう主人公の気持ちの昂ぶりみたいなものがもう一つはっきりしないとか、変に時間があるから脇キャラも中途半端に描き込んじゃって、それが却って印象を散漫にしちゃうとか、悪いところが見えて来ちゃっていいことあんまりないのだよね。あずみとともに刺客になった4人の少年のうち、ふたりぐらいはもう、知らん間に死んじゃってもいい、ぐらいの覚悟で、もっと尺を詰めるべきだと思う。もう30分、切れないか。1時間50分の映画だったらオレはもうちょっとノリノリでこの映画、楽しめたんじゃないかなって気がするんだけど。全体としてあれだ、作る側にもう一歩、荒行に踏み込む覚悟みたいなものを見せて欲しかったなあという感じは持った。商品としてもう一歩、つっこんで欲しかったというか…。

 まあね、相変わらずラスタチにアイデアがなかったり(あずみの刀は伏線引いとけよー)、それ以外にもちょっとなあ、と思うところ、実は満載の映画だったりするわけなんです。なんですがまああれだ、上戸彩のフトモモに免じてそこは許す、ということで。私個人はそれなりに楽しめました。見た小屋が悪かったのか、映像のヌケがイマイチよろしくないような気がしたんだけどね。

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