バトルフィールド・アース

劇場版パンフ表紙 スタッフ
監督ロジャー・クリスチャン
脚本コーリー・マンデル/J・D・シャピロ
原作L・ロン・ハバード
制作エリー・サマハ/ジョナサン・D・クレイン/ジョン・トラボルタ
出演者
ジョン・トラボルタ
バリー・ペッパー
フォレスト・ウィテカー
キム・コーツ/リチャード・タイソン/サビニ・カーセンティ

 21世紀、人類は突如転送されたサイクロ人のガス爆弾によってわずか9分でほぼ絶滅した。そして西暦3000年。生き残った一握りの人類は石器時代さながらの暮らしを営みながら、征服者であるサイクロ人の人間狩りに脅えて生きていた。だが、一人の若者、ジョニーがサイクロ人の地球駐留部隊の司令官、タールと出会ったことから、人類とサイクロ人の間で新たな戦いが幕をあけることになる………

 原作は中堅どころのSF作家、ロン・ハバードの同名の小説。向こうじゃ結構な売れ行きのようであります。ハバードは"ダイアネティックス"という精神治療科学の普及を目的とした団体、「ハバード・サイエントロジスト協会」てのを主催してまして、トラボルタはここの熱心な会員なんだそうですな。教祖さまの作品を熱心な信徒が映像化したってわけで、この時点でアヤしい匂いがぷんぷんしてくるんでありますが、映画の出来も期待にたがわぬアヤしさというか、ありていに言ってひどい出来。

 とにかく「キミらにオリジナリティはないのか?」と思わず聞きたくなるくらい、いつかどこかで見たシーンやシチュエーションが連続、しかも模倣する物の常として、それらはオリジナルよりはるかにできが悪い。"コナン"にはじまり"インデペンデンス・デイ"、"マトリックス"、"ブレードランナー"、"ターミネーター2"、もしかしたら"もののけ姫"まで(笑)よくもまあこれだけパクったもんだと感心します。んだから、どんなに感動的なシーンでもそこでじーんと来れないんでした。

 脚本もズタボロです。異星人の攻撃で壊滅した地球であらゆる文明を失った人間が、いかにしてはるかに進歩した異星人を倒すか、ってところにこの手の映画のキモがあるワケで、どう見ても劣勢な側が、知恵と勇気で巨大な敵を鮮やかにたたきつぶすか、その鮮やかさが勝負をわけると思うんですが、どうもこの、鮮やかさの部分がもたついてしまってなんだか良くわからないうちにメチャクチャ弱いはずの人間が勝っちゃうんだよなあ。

 いったん原始人なみの文明レベルまで落ちちゃった人間が、どうやってサイクロ人たちに対抗できる戦略と武器を手にしていくか、って部分があまりにもいいかげん、しかも圧倒的に人類に対して優位に立っているはずのサイクロ人たちがみんなバカ。ツルハシぐらいしか持ってない人間たちに金鉱を掘らせといて、掘った物が純金のインゴットになってたら、なんか変だと思うだろ普通(実は掘ってるフリして、フォートノックスからジャこんできただけのもの、ってそもそもキミら、フォート・ノックスは調べなかったのかよー)。放射能が嫌いなんだったら、何を置いても地球の核兵器をまずどうにかしようと思うだろ普通。なんで1000年もほったらかしてるんだよー。1000年も経ってるのになんで武器庫に保管されてた武器がみんな完動美品状態で残ってるんだよー。しかもジェット機の傍にその機体のシミュレーターが都合よくあるか普通?しかも動く。ことほど左様にこの映画、脚本がデタラメであります。デタラメすぎて笑っちゃうしかないぐらい。

 ジョン・トラボルタの悪役ぶりも悪かあないんですけどイマイチ「コイツは悪!」って気になれない(ホントに楽しそうに大笑いばっかりしてるんだもんな)から、敵としての感情移入がしにくいし、人間側も同様に、このままじゃ滅んでしまう、てな危機感がイマイチ伝わって来ないのね。

 スカスカの脚本、オリジナリティなしの映像、緊張感のかけらもない演技陣と3拍子揃った世紀末の超怪作。D.N.Aと双璧のアヤしさです(笑)とてもじゃないけどお薦めはしませんけど、「そんなにひどいんならちょっと見てみたい」ってんなら、止めはしませんが(^^;)

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