グレー・レンズマン

レンズマン・シリーズ(2)

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E・E・スミス 著/小隅黎 訳
カバーイラスト 生頼範義
カバーデザイン 岩郷重力+WONDER WORKZ
創元SF文庫
ISBN4-488-60317-3 ¥880(税別)

小数点以下19桁まで懐かしい(^o^)

 「ボスコーンを代表して命令する」存在、ヘルマスの本拠に侵入し、見事にその中枢を攻撃することに成功したグレー・レンズマン、キムボール・キニスン。だがヘルマスを倒す直前、謎の球体から一本の通信波がいずこかへ向けて発信されるのをキニスンは見逃してはいなかった。ボスコーンの本拠であるはずのヘルマスの基地から、いったいどこに、何を通信する必要があるというのか。キニスンと銀河パトロール隊は、宇宙"海賊"ボスコーンとは単なる海賊などというレベルを超えた、一つの文明規模の存在なのではないのか。そしてヘルマスは、その幹部の一人にすぎなかったのではないのか、という仮説に行き当たる。かくしてパトロール隊が全力を挙げて建造した最新鋭、最大最強の宇宙戦艦、"ドーントレス"号は、謎の電波を追ってランドマーク星雲として知られる第二銀河系目指して突進する!

 シリーズ最高傑作の呼び声も高い、「レンズマン」シリーズ第二弾。ここでついに全宇宙規模ではるか昔から、静かに争い続けるアリシアとエッドール(おっとっと、新訳版では"エッドア"か)の存在がお話のバックグラウンドで大きな意味を持っていることが示唆される。コイツを初めて読んだのはたぶん厨房から工房の間あたりの時だったんだけど、単に宇宙船がぐおー、光線銃びびびー、の活劇だけなんじゃなく、その背景に言ってみたら神と悪魔の抗争のようなもんが潜んでいたのかー、と感じ入った覚えがあるね。ちょうど永井の豪ちゃんに脂がのり始まっていた時期で、当時の彼の「魔王ダンテ」や(もちろんその後の)「デビルマン」みたいに、単純な抗争のバックに実はとんでもなく大きなテーマが控えていたのだー、という構造を見ると、「これはSFだー!」と頭から思いこむ傾向があった年頃なもんで(いや今でもその傾向は持続してるかもしれん)、当時のオレはたぶん「ファウンデーション」なんかより以上に、「レンズマン」に"SF臭さ"を感じ取っていたような気がする。

 これも「銀河パトロール隊」同様、飽きずに読み返したはずなんだけど、案外記憶ってのは飛ぶもんだなあと思っちゃった。いつになったらイロナが出てくんだよー、とか思ってたんだけど、おおっとぉ、ありゃ「第二段階レンズマン」のお話でしたか、ううむ。

 てことで、キニスンの活躍のおもしろさを楽しむって点では、確かにコイツはシリーズ中でも白眉の出来だよなあ、と再確認する訳なんですが、メカフェチなオレ様としては、とてつもないスケールの艦隊戦を心行くまで楽しめる、「第二段階レンズマン」が早く新訳で出ないかなあと改めて思ってしまったです。1ページ目を開いた瞬間、「待て!若者よ」とアリシアのメンターに叱られる瞬間に、早く再会したいなあ(^o^)。

02/06/15

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