検事長ゲイツの犯罪

ドリームチーム弁護団

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シェルドン・シーゲル 著/古屋美登里 訳
カバーデザイン 上田宏志(zebra)
カバーフォト PPS
講談社文庫
ISBN4-06-273445-1 ¥1,038(税別)

家内制弁護士団、がんばる。

 私はマイク・デイリー。自分で言うのもなんだがかなり腕の立つ刑事弁護人だ。かつてはアメリカでもトップクラスの法律事務所、S&Gの共同経営者(パートナー)の地位にあった私だが、儲けばかりを先に立てる大手法律事務所の方針とそりが合わず、今は離婚した元妻でこれまた弁護士のロージー、同じく弁護士で一時恋仲にあったキャロリン、弟でかなり優秀な私立探偵、ピートらとともに小さな刑事弁護士事務所を運営している。そんな私の元に舞い込んだ依頼、それは以前の事件で私とは弁護側、検察側に別れて争った大物検事長、プレンティス・ゲイツからのものだった。

 カリフォルニア州の時期司法長官の座を狙い、選挙運動を展開中のゲイツからの依頼、それは事もあろうにゲイツ自身の弁護だった。彼が言うには、目が覚めたら自分のベッドに死体が一つあったというのだ。あらゆる証拠はゲイツに不利だし、ゲイツはどう控えめにみてもいい人間とはいえない。だが、人を殺すような人物にも思えない。個人としての好き嫌いは別にして、我々チームは真実を探り出すべく行動を開始した………。

 デビュー作が面白かったので2作目も読んでみようシリーズ第二弾。シルヴァに続いての登場はシェルドン・シーゲル。第一作、「ドリームチーム弁護団」でのライバル役、大物検事のゲイツに降りかかった殺人容疑を果たしてマイク、ロージー、ピートらおなじみのメンバーは覆すことができるのか、ってお話。前作同様、法廷でのピンと張りつめたような丁々発止よりも、ちょっとユーモア混じりに難事件の調査に当たっていくいつものメンバー(『ドリームチーム』はちょっと誇大広告気味だね)の様子が楽しい法廷サスペンス。これまた前作同様、ずっしりとボリュームたっぷりなあたりもうれしい(活字が大きめなんで、見た目ほどのボリュームは、実はないんだけど)。

 登場人物たちの個性で読ませるお話なんで、謎解きの部分とかは結構あっさり目で、ちょっと深読みできる人ならキャストが出そろったあたりでお話の結末はある程度予想がついちゃうんじゃないかと思う。法廷でのシーンもたっぷりあるけど、本格的な法廷サスペンスを期待して読むとたぶん失望するだろうな。あくまでこれは、難事件に出くわした主人公たちのどたばたぶりを楽しむお話。そう割り切って読めば、なかなかいい時間つぶしになってくれる。今回初登場の80をすぎた街の名物私立探偵、ニックもなかなかいい味。シーゲルはこのニックを主人公にしたシリーズも構想中とかで、もしかしたらそっちの方が楽しめるシリーズになってくれるかもしれないな。

02/05/28

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