山岸真 編
カバー 岩郷重力 + WONDER WORKZ
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011394-7 \940(税別)
ISBN4-15-011395-5 \940(税別)
"リミックス"をキイ・ワードにまとめられた「20世紀SF」(6)と、微妙にセレクションの傾向が違うあたりがなんだか興味深い、山岸真氏お一人の選になる'90年代SFのアンソロジー。こちらのキイ・ワードは"本格回帰"、てな事になるのだろうか。総じてオレがガキの頃に読んで「SFってすごいなあ」と感じ入った、あのテイストを、新しい枠組みの中で再現しようとする試みが多めに収録されているように思った。(70年代前後の)光瀬龍や山田正紀のSFを読んでるような、そんな感覚を味わったのだな。非常にオーソドックスというか、王道路線というか、そんな感じがする。ニュー・ウェーヴからフェミニズムSFを経てサイバーパンクに連なる、過激な動きのあとに、その反動としてSFらしいSFへの回帰、みたいな流れが出来た、ってことなのかな。
そんなわけで、個人的には大変に楽しいアンソロジーだった。いわゆる"エッジ"ぎりぎりのスリリングなSFというのは少ないけれども、SFらしいSFがぎっしり詰まった、いい本だと思う。英米に加えて、カナダ、オーストラリアといった国からも新しい才能が登場してきて、この先もSFは楽しみだー、というところかな。
お気に入りの作品をいくつか紹介。
ということで、全体に外れがなくて良いですよこれ。SFの入門書としても手頃なんじゃないかしらね。
02/04/04