スピリット・リング

表紙

ロイス・マクスター・ビジョルド 著/梶元靖子 訳
カバーイラスト 浅田 隆
カバーデザイン 矢島 高光
創元推理文庫
ISBN4-488-58701-1 \980(税別)

 おお、先月に引き続いてビジョルドの作品が読めるたァうれしいやね、などと思ってほいほい買ったんだけど、これはあくまで創元推理文庫。"ヴォルコシガン"のシリーズとは別物、てかこれ、正々堂々のファンタジー作品。ええいウカツだったぜ。まあ買ってしまったものは仕方がない。読んでみるべってなわけで。

 すぐれた魔道の力を受け継いだフィアメッタ。だが当代随一の魔法使いにして超一流の金細工師である父、プロスペロは彼女を単なる助手としてしか扱ってはくれないし、ほのかに思いを寄せているスイス人傭兵、ユーリへの思いもうまく伝えられないまま、それなりに平穏な毎日を送っていた彼女の周りはある日一変してしまう。隣国の領主、ロジモ公による領主、モンテフォーリア公の暗殺とそれに続くモンテフォーリアの纂奪、その中で父とユーリは討たれ、父の強大な魔力は、邪悪な魔力を秘める死霊の指輪(スピリット・リング)に封じられようとしているのだ。倒れたユーリの弟、トゥールとともに強力なロジモ公に立ち向かうことを決意するフィアメッタだが………。

 ノリとしちゃあ、器量もよく行動力があり、特殊な才能も持ってるんだけど、それが世間に認めてもらえないヒロインが、自分の力で悪党をぶっ倒してすてきな恋人を手に入れて、ってわけで、そういう話はマキャフリィに書かせとけばいいじゃん、などと私なぞ思ったりするんでありますが、マキャフリィほどハーレクイン度が高くないせいか、こっちはこっちでそこそこ楽しめる。

 パラレルワールド的な中世ヨーロッパってことで、そこはまだまだ基本的に男尊女卑の世界なんだけど、その制度自体はおいといて、その中で目一杯幸せになりました、ってお話は、まあ少女マンガの王道パターンなんで、ヒロインとその恋人のキャラが立ってたら、この手のお話は成功したも同然なわけなんですけど、そのへんはさすがに手慣れたもの。彼氏が少々薄味なのも最近の流行りなんでしょうな(^^;)。

 "ヴォルコシガン"シリーズの作者らしく、クライマックスのアクションもハデだし(映画向きっすね)、楽しく読めるのは確かであります。ファンタジー好きな人ならお薦めかも。でもオレは虚弱なヒーロー、マイルズくんの活躍がもっと読みたいっすね。

01/2/7

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