20世紀SF(1)

1940年代 星ねずみ

表紙

アシモフ、ブラウン 他 著/中村融・山岸真 編
カバー装画 MAYA MAXX
カバーデザイン 祖父江 慎
河出文庫
ISBN4-309-46202-2 \950(税別)

 ホラーSFアンソロジィ・「影が行く」で味を占めたってワケじゃあないでしょうが、件のアンソロジィの編者、中村融さんが山岸真さんと組んで送る20世紀のSF傑作選。これを10年をひと区切りとして1940年代〜'90年代まで、計六冊にまとまったSFの集大成としようという企画の第一弾。1940年代、SFが一つのジャンルとして成立し、第一期黄金時代を迎えようとする頃の作品が集まりました。フレドリック・ブラウン、アーサー・C・クラーク、アイザック・アシモフ、レイ・ブラッドベリ、ロバート・A・ハインライン、C・L・ムーア、ウィリアム・テン、A・E・ヴァン・ヴォート、エドモンド・ハミルトン、シオドア・スタージョン、チャールズ・L・ハーネス。名前だけでワクワクしてきますな。

 最近トシくったせいか、昔のSFって良かったよなあと思うことが多いのですが、そういうオヤジの懐古趣味直撃の楽しい本。ワシらオヤジはノスタルジィを、若い読者の方は元気一杯の若いメディアとして登場したSFの活力のようなものを味わっていただけたら吉かなぁと思います。この頃のSFは、なんかあれですわ、世の中のすべてのモノごとは、SFで一旦解体して、再構築することで新しい視点が生まれるのだ、と言うような意気込みというか、矜持というか、そんな意気込みみたいなモノがそこはかとなく感じられて、なんだか甘酸っぱいものを感じてしまいますね。

 適当な本読みである僕個人としては、半分以上が初めて読む作品だった、てのもなかなかにポイント高かった。一人だけ、名前を初めて聞いたハーネスさんの作品、{現実創造」が、これが'40年代のSFかいと思うほどに「新しく」て強烈。その他、スタージョンのクセ球、ハインラインの叙情など、大物作家の持ち味も充分楽しめるお買い得な一冊。SFの楽しさを再認識できまっせ。

00/11/21

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