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新潟市|佐藤正社会保険労務士事務所/TEL:025-277-0927

労働者派遣Q&A

労働者派遣Q&A


 はじめに労働者派遣法による規制労働者派遣の実務派遣労働者と社会保険労働者供給事業


 はじめに

 派遣・請負・業務委託の違い

 労働者派遣法による規制

 2020年4月から派遣先・派遣元双方に派遣労働者の待遇の確保が義務化へ

 2015年9月30日施行の改正労働者派遣法の概要

 労働者派遣事業関係業務取扱要領

 労働者派遣ができない業務

 派遣労働者には受入期間に制限がある

 派遣元事業主による雇用安定措置とは何か

 労働契約申込みみなし制度とは何か

 日数限定業務とは

 紹介予定派遣とは何か

 医業関連でも労働者派遣ができる業務がある

 労働者派遣の実務

 派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について

 労働基準法の使用者責任は派遣元か派遣先か

 登録型派遣労働者への賃金の支払いはどうする

 派遣労働者の最低賃金の適用は派遣元か派遣先か

 非常災害の場合、派遣先で派遣労働者に残業を命じることができるか

 派遣労働者の一斉休憩の適用は派遣元か派遣先か

 派遣先で年休の時季変更権行使はできるか

 派遣先で派遣労働者の懲戒処分はできるか

 派遣労働者の健康診断はどちらが行うのか

 派遣労働者と衛生管理者や産業医選任の関係

 派遣労働者を派遣先の衛生管理者に選任できるか

 派遣労働者に係る労働者私傷病報告書の提出義務者は誰か

 派遣労働者と社会保険

 登録型派遣の健康保険・厚生年金保険はどうする

 登録型派遣の雇用保険はどうする

 派遣労働者と労災保険の関係

 海外派遣者も労災保険に加入できる

 労働者供給事業

 労働者供給事業とは何か



 派遣・請負・業務委託の違い

□ 請負とは
 民法632条は「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約すことによって、その効力を生ずる。」としています。
 要約すれば「請負とは、請負業者が請負った仕事を自らの責任において、自己の雇用する労働者を指揮命令し、独立して仕事を完成させ、その結果に対し報酬を受ける。」というものです。大工などの一人親方が個人で仕事を請負うケースも、請負の一形態とされます。

□ 業務委託とは
 民法634条は「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」とし、さらに民法656条で「法律行為でない事務の委託について準用する。」としています。
 委託とは、請負のように仕事の完成までは求めず、委託した事項を履行することを約した民法上の準委任にあたるとします。委託業務を受けた会社の労働者を、委託業務を依頼した会社内で就労させる場合であっても、指揮命令を行うのは委託業務を受けた会社であることが必要です。

□ 派遣とは
 派遣元会社と派遣先会社との「労働者派遣契約」により、労働者を派遣先会社に派遣し就労さることをいいます。労働者は派遣元会社と雇用契約を結んでいますが、業務委託と異なる点は、派遣先会社から直接指揮命令を受けるという点です。民法上は、請負と業務委託は異なるものとしていますが、労働者派遣法においては、どちらも「請負」として一括りにして、派遣の対極として捉えています。

(参考)労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集

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 2020年4月から派遣先・派遣元双方に派遣労働者の待遇の確保が義務化へ

 改正労働者派遣法(2020年4月施行)では、派遣先に雇用される労働者と派遣労働者との不合理な待遇差を解消するために、@派遣先均等・均衡方式、A労使協定方式のいずれかにより、派遣労働者の待遇を確保することが義務化されました。

(詳細)平成30年労働者派遣法改正の概要(同一労働同一賃金)
(Q&A)労使協定方式に関するQ&A労使協定方式に関するQ&A第2集

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 2015年9月30日施行の改正労働者派遣法の概要

□ 改正ポイント
(1) 一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の区分が廃止され、すべての労働者派遣事業は新たな許可基準にづく許可制へ移行
(2) 派遣労働者の受入期間については、全ての業務で2つの期間制限を適用
(3) 派遣労働者のキャリアアップ推進を法制化
(4) 派遣元および派遣先双方に対し、派遣労働者と派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均等を図るための責務を追加
(5) 労働契約申込みみなし制度を新設

(参考)平成27年改正労働者派遣法の概要

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 労働者派遣事業関係業務取扱要領

■ 厚労省のサイト

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 労働者派遣ができない業務

 以下の業務は、労働者派遣を行うことを禁止されます。
(1) 建設、港湾運送、警備の業務
(2) @医師・歯科医師・薬剤師、A保健婦・助産婦・看護師・準看護師の業務である保健指導・助産・療養上の世話・診療の補助、B栄養管理士、C歯科衛生士、D放射線技師、E歯科技工士の業務
(参考Q&A)医業関連でも労働者派遣ができる業務がある
(3) 人事管理関係業務のうち派遣先の団体交渉、労働基準法上の労使協定締結などのための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務
(4) 弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、弁理士、社会保険労務士、行政書士の業務および建築士事務所の管理建築士の業務

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 派遣労働者には受入期間に制限がある

 派遣労働者の受入期間については、全ての業務において、次の2つの期間制限があります。

1 派遣先事業所単位の期間制限
 同一事業所に対する派遣可能期間は、原則3年が限度となります。なお、派遣先が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、派遣先の事業所の過半数労働組合等から意見を聴く必要があります。この場合、派遣可能期間を延長できるのは3年です。延長した派遣可能期間を再延長しようとする場合は、改めて過半数労働組合等から意見を聴く必要があります。
2 派遣労働者の個人単位の期間制限
 同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一組織単位に対し派遣できる期間は、3年が限度となります。なお、課やグループなど組織単位を変えれば、同一の事業所に引き続き派遣労働者を派遣することができますが、事業所単位の期間制限による派遣可能期間が延長されていることが前提なります。

□ 事業所、組織単位の定義
(1) 事業所
 @工場、事務所、店舗等場所的に独立していること A経営の単位として人事・経理・指導監督・働き方などある程度独立していること B施設として一定期間継続するものであること、などの観点から実態に即して判断されます。
 また、出張所、支社等で、規模が小さく、その上部機関との組織的関連ないし事務能力からみて1つの事業所という程度の独立性のなものについては、直近上位の組織に包括して全体を1つの事業所として取り扱うとされます。
(2) 組織単位
 いわゆる「課」や「グループ」など、@業務としての類似性、関連性があり A組織の長が業務配分、労管理上指揮監督権限を有するものとして、実態に即して判断されます。

□ 期間制限の例外
(1) 派遣元事業主に無期雇用される労働者を派遣する場合
(2) 60 歳以上の派遣労働者を派遣する場合
(3) 終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合
(4) 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常労働者の半分以下かつ 10 日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合
(5) 産前後休業、育児介護等を取得する労働者の業務に派遣労働者を派遣する場合

□ クーリング期間
(1) 事業所単位の期間制限
 派遣先の事業所ごとの業務について、労働者派遣の終了後に再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の期間が3か月を超えないときは、労働者派遣継は継続しているものとみなされます。
(2) 個人単位の期間制限
 派遣先の事業所における同一の組織単位ごとの業務について、労働者派遣終了後に同一の派遣労働者を再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の期間が3か月を超えないときは、労働者派遣は継続してるものとみなされます。

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 派遣元事業主による雇用安定措置とは何か

 派遣元事業主は、同一の組織単位に継続して1年以上派遣される見込みがあるなど一定の場合に、雇用安定措置を講じることが必要とされます。

□ 派遣元事業主による雇用安定措置とは
(1) 派遣先への直接雇用依頼
(2) 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
(3) 派遣元事業主による無期雇用
(4) その他雇用安定を図るために必要な措置(新たな就業の機会を提供するまで間に行われる有給教育訓練や紹介予定派遣など)
【注】(1)の措置を講じた結果、派遣先での直接雇用に結びつかなった場合は、派遣元事業主は(2)〜(4)のいずれかの措置を追加で講じる義務があります。

□ 雇用安定措置の対象者
(1) 同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある人→上記(1)〜(4)のいずれかの措置を講じる義務あり
(2) 同一の組織単位に継続して1年以上3未満派遣される見込みがある人→上記(1)〜(4)のいずれかの措置を講じる努力義務あり
(3) 上記以外の人で、派遣元事業主に雇用された期間が通算1年以上の人→上記(2)〜(4)のいずれかの措置を講じる努力義務あり
【注】いずれも、本人が継続して就業することを希望する場合に限られ、「登録状態」にある人もこの対象者の中に含まれます。 

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 労働契約申込みみなし制度とは何か

 申込みみなし制度度とは、派遣先が次に掲げる違法派遣を受け入れた場合、違法派遣を受け入れた時点において、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容する労働契約の申し込みをしたものとみなされる制度で、2017年10月から施行されています。ただし、違法派遣について派遣先が善意無過失である場合は適用されません。
(1) 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
 労働者派遣の禁止業務(港湾運送業務、建設業務、警備業務、病院等における医療関連業務)に、派遣先が派遣労働者を従事させた場合に、申込みみなし制度が適用されます。
(2) 無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
(3) 期間制限に違反して 労働者派遣を受け入れた場合
 派遣先は、同一の事業所で3年を超えて派遣を受入れることができませんが、この期間制限に違反した場合に、申込みみなし制度が適用されます。
【注】 事業所単位の期間制限については、延長手続をした場合を除きます。
(4) いわゆる偽装請負の場合
 偽装請負と知りつつ請負契約等を締結した場合は、申込みみなし制度が適用されます。

 派遣元事業主は労働者派遣を行おうとする際にはあらかじめ、また派遣先から派遣可能期間の延長通知を受けた際には速やかに、派遣労働者対し、抵触日(期間制限違反となる最初の日)を明示しければりませんが、 これに併せて、派遣先が抵触日を超えた(期間制限違反の)受入れを行った場合には、労働契約申込みなし制度の対象となることを明示しなければならないとしています。

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 日数限定業務とは

 日数限定業務とは、休日のみに必要となる業務や月末だけ必要となる業務などの就業日数が限られている業務をいいます。具体的には「1か月間の派遣日数が派遣先の通常の労働者の所定労働日数より相当程度少なく、かつ厚生労働大臣の定める日数以下である業務」をいい、告示ではこの厚生労働大臣の定める日数を、10日としています。
 日数限定業務は、派遣期間の制限がありません。

 日数限定業務について労働者派遣を行う場合は、労働者派遣契約書に、@日数限定業務である旨、A派遣先において1か月間に行われる業務の日数、B派遣先の通常の労働者の所定労働日数を記載する必要があります。

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 紹介予定派遣とは何か

 紹介予定派遣とは、労働者派遣事業と職業紹介事業の両方の許可を受けた事業者が、派遣労働者と派遣先との雇用契約成立のあっせんを行うものをいいます。(派遣の終了前に派遣労働者と派遣先との間で、派遣労働者が派遣先に雇用されることが約されるものを含む。)

□ 紹介予定派遣を行う場合の注意事項
(1) 派遣元事業主は、紹介予定派遣として派遣労働者を雇入れるときは、あらかじめその旨をその派遣労働者に明示しなければなりません。
(2) 派遣元事業主が、雇用している派遣労働者を新たに紹介予定派遣の対象とするときは、あらかじめその旨をその労働者に明示すると共に、同意を得なければなりません。
(3) 労働者派遣契約を締結する際には、紹介予定に関する事項を定める必要があります。
(4) 派遣元管理台帳及び派遣先管理台帳には、紹介予定に関する事項を記入しなければなりません。
(5) 紹介予定派遣を受けた後に派遣先が職業紹介を希望しない場合または派遣労働者を雇用しなかった場合は、派遣先は派遣元の求めに応じ、その理由を明示しなければなりません。また、派遣元はその理由を派遣労働者に書面で明示しなければなりません。
(6) 紹介予定派遣の場合は、同一の派遣労働者について6か月を超えて派遣を行うことはできません。

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 医業関連でも労働者派遣ができる業務がある

 @医師・歯科医師・薬剤師、A保健婦・助産婦・看護師・準看護師の業務である保健指導・助産・療養上の世話・診療の補助、B栄養管理士、C歯科衛生士、D放射線技師、E歯科技工士の業務は原則労働者派遣ができませんが、社会福祉施設などで行われる医業等については労働者派遣が可能です。

 ただし、以下の業務については労働者派遣はできません。
(1) 医療法で規定する病院で行われるもの
(2) 身体障害者福祉法に規定する身体障害者療養施設に設けられた診療所等を除く診療所で行われたもの
(3) 身体障害者福祉法に規定する助産所で行われるもの
(4) 介護保険法に規定する介護老人保健施設で行われるもの
(5) 医療を受ける者の居宅で行われるもの

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 派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について

● 派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について(H21.3.31基発第0331010号)

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 労働基準法の使用者責任は派遣元か派遣先か

 派遣労働者と雇用関係にあるのは派遣会社ですから、労働基準法の使用者責任も原則として派遣会社にあります。しかし、一部に派遣先が責任を負わなければならない事項もあります。

□ 派遣先が責任を負う事項
(ア) 均等待遇〔3条〕
(イ) 強制労働の禁止〔5条〕
(ウ) 公民権行使の保障〔7条〕 
(エ) 労働時間〔32条〕、休憩〔35条〕、休日〔34条〕
(オ) 年少者の労働時間・休日〔60条〕
(カ) 年少者の深夜業〔61条〕
(キ) 年少者・妊産婦の危険有害業務の就労制限〔62条、64条3〕
(ク) 年少者・女性の坑内労働の禁止〔63条、64条2〕
(ケ) 産前産後の時間外労働・休日労働・深夜労働〔66条〕
(コ) 育児時間〔67条〕
(サ) 生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置〔68条〕
(シ) 徒弟の弊害排除〔69条〕
(ス) 申告を理由とする不当利益扱いの禁止〔104条〕
(セ) 報告等〔104条2〕
(ソ) 法令の周知義務〔106条〕
(タ) 記録の保存〔109条〕
【注】
(1) (ア)、(イ)、(シ)〜(タ)は派遣元にも責任があります。
(2) (エ)について、派遣労働者に時間外労働・休日労働を行わせる場合にも、時間外・休日労働に関する協定(36協定)の締結が必要ですが、36協定の締結および届出義務は派遣元です。派遣先は派遣元の36協定の締結・届出の有無を確認し、その内容の範囲内で派遣労働者に時間外労働・休日労働を命じることができます。

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 登録型派遣労働者への賃金の支払いはどうする

 登録型派遣の場合、派遣希望者が派遣会社に派遣登録をしても、この時点ではまだ雇用関係は発生しません。
 派遣先が決まって始めて雇用関係が発生し、派遣会社は当該労働者に対して賃金の支払義務が生じます。この場合、派遣先が派遣会社に派遣料を支払い、派遣会社が手数料を差引いて派遣労働者に賃金を支払うという流れになります。

 実際の賃金計算は、派遣労働者が派遣先で就労した勤務時間を記録したタイムシート等を派遣元に提出することにより、派遣元は賃金の計算を行い、労働者へ賃金を支払うという流れが一般的です。また、派遣労働者が派遣先で時間外労働を行った場合も、割増賃金の支払いは派遣元が行います。

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  派遣労働者の最低賃金の適用は派遣元か派遣先か

 派遣先の最低賃金が適用されます。なお、派遣先が他の都道府県にある場合は、その都道府県における地域別最低賃金が適用され、派遣先の事業場に産業別最低賃金が適用されている場合は、その派遣先の事業場における産業別最低賃金が適用されます。

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 非常災害の場合、派遣先で派遣労働者に残業を命じることができるか

 36協定を締結していなくても、非常災害等の場合は労働者に時間外労働を命じることができますが、派遣労働者も一般の労働者と同様です。この場合、労働基準監督署へ「非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働許可申請」を行うのは派遣先となります。

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 派遣労働者の一斉休憩の適用は派遣元か派遣先か

 休憩時間を一斉に与える義務は派遣先です。したがって、派遣先は自社の労働者と派遣労働者とを含めて、事業所全体として一斉に休憩を与えなければなりません。ただし、一斉休憩の適用除外事業や、労使協定により一斉休憩の例外を設けている場合はこの限りではありません。

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 派遣先で年休の時季変更権行使はできるか

 労働者の年次有給休暇の申し込みに対して年休を付与しないこととするには「事業の正常な運営を妨げるかどうか」が判断の目安とされます。
 派遣労働者の年次有給休暇の付与義務は派遣元にありますので、「事業の正常な運営を妨げる」かどうかの判断も派遣元で行います。したがって、派遣先で事業の正常な運営を妨げると判断しても、年次有給休暇の時季変更権を行使できるとは限らず、派遣元で、代替労働者の派遣等を含めて、事業の正常な運営を妨げるかどうかの判断を行うことになります。

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 派遣先で派遣労働者の懲戒処分はできるか

 派遣労働者に不正行為等があった場合は、派遣先は派遣元に改善を求めることができますが、派遣先が当該派遣労働者に対して直接懲戒処分を行うことはできません。この場合、派遣先は派遣元に対して、派遣契約の解除や代替労働者の派遣を要求するなどを行うことになります。

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 派遣労働者の健康診断はどちらが行うのか

 派遣法45条では、派遣労働者の労働安全衛生法の適用に関する特例措置が定められており、労働安全衛生法上の使用者責任は派遣先が負うとしています。
 ただし、定期健康診断や雇入時の安全衛生教育などの一部は派遣元が実施することとし、有害業務にかかる特殊健康診断や、危険有害業務就業時の安全衛生教育は派遣先が実施するとされています。

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 派遣労働者と衛生管理者や産業医選任の関係

 常用労働者数が50人以上の事業場は、衛生管理者および産業医の選任を行なわなければなりません。
 派遣先において、派遣労働者を含めて常用労働者が50人以上になった場合、派遣先企業は衛生管理者および産業医の選任を行う必要があります。

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 派遣労働者を派遣先の衛生管理者に選任できるか

 自社の労働者以外の者であっても、衛生管理者の専任に係る労働者派遣契約または委任契約において、その事業場に専ら常駐し、かつ一定期間継続して職務に当たることが明らかにされていれば、衛生管理者等に選任することが可能です。(H18.3.31基発第0331004号

●(参考通達)S61.6.6基発第333号の一部改正
(略)安衛則第7条第3号ロに掲げる業種の事業場の衛生管理者及び衛生推進者については、危険有害要員が少なく、派遣中の労働者であっても衛生管理に関して適切な措置を講じることができる場合は、派遣中の労働者であってもその事業場に「専属の者」に該当する者であること。
【注】安衛則7条3号ロに掲げる業種の事業場とは、農林水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業以外の業種の事業場をいいます。

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 派遣労働者に係る労働者私傷病報告書の提出義務者は誰か

 労働者私傷病報告の提出義務は派遣先および派遣元双方にあります。派遣先事業場は派遣先を管轄する労働基準監督署へ、派遣元事業場は派遣元を管轄する労働基準監督署へそれぞれ提出します。なお、派遣先事業主は派遣元事業主にその写しを送付しなければなりません。

(参考)厚労省のリーフレット

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 登録型派遣の健康保険・厚生年金保険はどうする

 登録型派遣であっても、健康保険・厚生年金保険の加入要件に該当する場合は、派遣元で加入する必要があります。ただし、いったん派遣が終了すれば次の派遣があるまでの待機期間は健康保険・厚生年金保険は適用されませんので、派遣労働者は次の何れかの手続を行うことになります。
(1) 国民健康保険に加入する
(2) 健康保険の被扶養者となる
(3) 任意継続被保険者となる
【注】
(1) 当該派遣就業が終了した後、同一の派遣元事業主の下で、次回1か月以上の派遣契約が見込まれるときは、雇用関係が継続しているものとして、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格は喪失しません。
(2) 派遣元事業主は、派遣労働者が労働・社会保険の被保険者であるか否かを派遣先へ通知することが義務付けられています。また、派遣労働者が労働・社会保険に未加入のときは、その理由を付さなければならないとされています。(派遣法施行規則第27条の2)

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 登録型派遣の雇用保険はどうする

 登録型派遣の場合、次のいずれにも該当した場合に雇用保険の被保険者となり、派遣元で加入します。
(1) 31日以上の雇用見込みがあること
(2) 1週間当りの所定労働時間が20時間以上であること

■ 雇用契約期間が満了した場合の喪失手続
(1) 派遣元事業主が、派遣労働者に対して雇用契約期間が満了するまでに次の派遣就業を指示しない場合には、派遣労働者が同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望する場合を除き、雇用契約期間満了時に被保険者資格を喪失します。
(2) 派遣労働者が引き続き同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望している場合には、原則として契約期間満了後1か月間は被保険者資格を継続することができます。
(3) 契約期間満了時から1か月経過時点において、次の派遣就業(派遣先)が確定している場合には、被保険者資格を喪失させることなく、次の派遣就業が開始されるまでの間、被保険者資格を継続することができます。

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 派遣労働者と労災保険の関係

■ 労災保険の適用
 労災保険の適用は派遣元事業で行います。なお、派遣先事業主は派遣労働者を直接指揮することから、派遣労働者に対する労働災害を防止すべき責任があります。

■ 派遣元事業の労災保険率
 派遣先の事業の実態によります。なお、派遣先事業の業種が数種にわたる場合は、主たる作業の実態によるとしています。

■ 保険給付申請
 労災事故が発生した場合は、派遣元事業主の証明のほかに、派遣先事業主の添付書類が必要となります。

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 海外派遣者も労災保険に加入できる

 海外派遣者の労災保険加入を「第3種特別加入」といいます。この場合、派遣先の事業主の命令で業務に従事している事実があればよく、海外支店・合弁企業・現地法人など事業の種類・形態なども問われません。派遣先企業が中小企業の場合は、当該企業に事業主等として派遣される人も対象になります。また、新たに派遣される人だけでなく、既に派遣されている人も対象になります。

□ 海外派遣者か海外出張者かの判断基準
(1) 海外の事業場に所属し、その事業場の使用者の指揮に従って勤務する場合…海外派遣者
(2) 労働の場が単に海外にあるに過ぎず、国内の事業場の使用者の指揮に従って勤務する場合…海外出張者

 海外派遣者の特別加入は派遣元事業ごとに、一般保険料とは別に特別加入者をまとめて手続します。申請は「特別加入申請書」を所轄の労働基準監督署長を経由し労働基準局長に提出します。

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 労働者供給事業とは何か

● 職業安定法44条(労働者供給事業の禁止)
 何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
● 職業安定法45条(労働者供給事業の許可)
 労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。

【解説】職業安定法においては、労働者供給事業を禁止していますが、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けた場合は例外的に労働者供給事業を認めています。したがって、許可を受けた労働組合以外の者が労働者供給事業を行うことは禁止され、違反した者は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処するとしています。

□ 労働者派遣と労働者供給事業の相違点
 労働者派遣は、派遣元と労働者との間に雇用関係がありますが、派遣先と労働者の間には雇用関係はありません。一方、労働者供給事業は供給元(労働組合)と労働者の間には原則雇用関係はなく、供給先と労働者に間に雇用関係があります。
【注】供給元と労働者との間に雇用関係を結ぶ場合でも、供給先に労働者を雇用させることを約して行うものについては労働者供給になるが、労働者の自由意志に基づき供給先と雇用契約を結ぶようなケースは、労働者派遣になるとしています。
(参考)労働者供給事業業務取扱要領

○ 2018年1月1日職業安定法改正〜労働者供給について守るべき指針が定められました〜
 
厚労省のリーフレット