Daryl Hall John Oates: Live in Japan'02
('02/4/14 @東京・渋谷公会堂)

Daryl Hall John Oatesのちょうど4年ぶりとなる来日公演初日を見ました。ここ数年、過去のアルバムのリマスターなどで少しづつ見直され始めていた彼等ですが、日本においては昨秋テレビCMにPrivate Eyesが使われたことがきっかけでベスト盤が大ヒット、また海外でも以前お蔵入りになったライブアルバムがリリースされるなどここ数カ月はリリースラッシュで、彼等を取り巻く環境が大きく変わった中での来日公演となりました。個人的には昨年3月以来で、'94年以降は'99年以外毎年見てますが、今回のコンサートは彼等の充実ぶりがあらためて確認できる、これまで見た中でもかなり上の方に来るとても楽しく、感動させられたコンサートでした。

今回のバンドはおなじみの3人、T-Bone Wolk、Mike Braun、Charlie DeChantに新しいメンバーのキーボード(Bobby Mayoに結構顔似てると思うけど)とリードギターが加わる5人編成。私は2階席の右側、張り出し部の5列目という論外とも言える場所にいたので(ウド−なんて嫌いだ!)、Charlieは頭のてっぺんしか見えなかった(それでもましな方と、という見方もある、、、Charlieは背高いからね)。それでもCharlieはサックスソロで何回も前に出て来るので姿は確認出来たけど、髪が肘より下の長さまで長くなっていて、体も更に大きく?なってました。一見、元ExtremeのNuno似のギターの人(名前忘れた)は、地味ながら動きは結構アバンギャルドで、ソロで速弾きとかしてる時でもとても正確な演奏を聞かせてくれました(前回のツアーでのPaul Pescoのように歯で弾くことはなかったけど)。

今日のDarylは2年前、去年とAtlantic Cityで見た時と同じような感じの格好で、黒のTシャツに黒の革ジャン、濃紺のジーンズに革靴を履いてました。やっぱ前回の来日のときのようなカジュアルな格好よりも、少し気取ったこういう格好の方がDarylらしいくてかっこいいです。Johnはカーキ色のTシャツに同系色のGジャン、紺のジーンズに革靴(Darylとおそろ?)という格好でした。

今日は本編13曲+アンコール(2*2)曲の全17曲、105分ほどの演奏で、以下のようなセットリストでした:
1. Adult Education
2. Out of Touch
3. Say It Isn't So
4. How Does It Feel to Be Back?
5. Want to
6. Do It for Love
7. She's Gone
8. One on One
9. Everytime You Go Away
10. Wait for Me
11. Sara Smile
12. I Can't Go for That (No Can Do)
13. Maneater
(Encore 1)
14. Rich Girl
15. You Make My Dreams
(Encore 2)
16. Kiss on My List
17. Private Eyes

待望の新作がまだ日の目を見ていないこともあり、ここ数年のアメリカツアーでのセットリストと曲順、構成とも似たグレーテストヒッツ的な内容でしたが、日本では久し振りに演奏される曲あり、微妙にアレンジやDarylの演奏する楽器が違う曲あり、ということで音だけ聞いてても十分楽しめました。そして知られざる新曲Do It for Love("VH1: Behind the Music"に収録されてます)を遂に生で聞くことが出来たのも大きな喜びでした(^^)

場内満員の中、アナウンスによる紹介のあと約5分遅れでバンドが登場しAdult Educationで始まりましたが、最初の"adult, adult"というかけ声のあとにDarylが気合い一発!シャウトを入れたことでいきなり盛り上がりました(^^)。その後Out of Touch, Say It Isn't Soと同時期の代表曲がつづきましたが、今回のDarylはとにかく元気!でとっても良く動き、声もとても良く出ていました。久々の日本ということで気分が高揚してたのかな?(だったら嬉しい)私はいつもならJohnはもちろんT-Boneとかにも目配せするよう心掛けてるのだけど、今日のDarylからはとにかく目が離せない!って感じで、気がつくとついDarylばっかり見てしまっていたのでした。歌い方もいつもより3回くらい輪をかけてソウルフルで、その声量の豊かさは驚くばかり。この程度の会場ならマイクなしでもいけるんじゃないかって感じで、PAではたびたびメーター振り切れてたのでは?と心配するほどでした。

3曲目に演奏したSay It Isn't Soは見せ場満載で、CharlieのソロはもちろんT-Boneがベースを頭の後ろに回しながらのソロ(なぜか弾いてたのは「上を向いて歩こう(Sukiyaki)」のメロディ、、)なんてのもあったのだけど、個人的なハイライトはなんといっても途中DarylとJohnがステージ中央で笑顔で言葉を交わしていたシーンで、写真撮らして!ってほどとっても絵になってました。言葉を交わしていない時でも、今回はステージが小さかったためこれまでよりDarylとJohnの距離が近くて嬉しかったです(席遠かったのもあるのかもしれませんが、、)。そしてJohnが前面に出て暖かみのある歌声を聞かせてくれた次のHow Does It Feel to Be Back?(日本では久し振りの演奏のはず)では、Johnのななめ後ろでDaryl, T-Bone, ギタリストが3人集まって演奏する場面があって、これがまた絵になっていたのだけど、そこで髪を振り乱しながらギターをじゃかじゃか掻き鳴らしてるDarylのかっこいいこと!ここらへんで私は正気を逸してました。

ライブでとっても映えるWant toがセットリストに復活したのはとっても嬉しかったのだけど、今回の観客はMarigold Skyを聞いたことがない(知らない?)人が多いのか、ちょっと控えめな反応でした。でもコーラス部での迫力ある演奏(ライブはやっぱり大音量!)やはりかっこよくて、後半ではJohnの歌声も聞けました。Want toに続いては、ニューアルバムが準備中であることに触れて客を煽ったあと(Darylならではの口調で「すぐに仕上げるぜ!」とか言ってたのがちょっとおかしい)、「まだ聞いたことのない歌をやるよ」と言って、新曲Do It for Loveが演奏されました。イントロが結構MOR的だなとか思って聞いていたら、いきなりDarylが張り裂けんばかりの声でシャウトをしてびっくり(^^;;。シャウトしてない時は低めの声で歌っていたこともあって、コーラス部で入る「どうだ!」と言わんばかりのシャウトはとっても印象的でした。でもCDで聞いたことがない人が多かったからか、それともDarylのシャウトの迫力に圧倒されたのか(^^;;、観客の反応は少し静かめでした(みんなCD買ってね)。

She's GoneでのDarylとJohnのハーモニーにもうっとりさせられましたが、さらにその次のOne on Oneがなんといっても素晴らしく、去年のElton Johnの来日公演でのTiny Dancerや、今年の3/19に見たEddi ReaderのShirt & Combに匹敵するインパクトを与えてくれました。Darylだけにスポットライトが当たった状態で、Darylのギターで演奏が始まったこの曲は、ここ数年でベスト(というか、いままで聞いた中でもきっとベスト)の出来でした。Darylの歌声はとにかくソウルフルで、自分の作った曲の中で最も気に入っていると語るこの曲を、歌詞を噛みしめるように丁寧に、ファルセットの部分も無理することなくうまく今の自分の声に合わせて歌いこなしてました。この曲は個人的にもともと好きで、ライブでもCDでも聞き慣れているはずの歌なのに、これほど深い感動を味わうことが出来るとは思いませんでした。

Wait for Meは聞き慣れたアレンジではあったけど、キーボードを弾きながら熱唱するDarylの歌には満足。最後の"fading"という部分では、Darylだけにスポットが当たった状態から徐々に光もフェードアウトしていくという効果的なライティングもあって、演奏後の歓声は一際大きかったです。今回舞台装置自体には特に工夫はなかったですが、ライティングがこのように曲ごとに工夫されていて良かったです。

Everytime You Go Away以降はMCもほどほどにして、最後のManeaterまで一気に突っ走りました。前半と後半とで異なるアレンジで二度楽しめるEverytime You Go Awayも良かったし、Sara SmileからI Can't Go for Thatへとバンドの演奏が切り替わる中でDarylの歌声が徐々テンポを速めていくところも良かったですが、ここでこういう風に演奏される、と分かってるI Can't Go for ThatとManeaterの2曲が、バンドの一丸となった演奏もあって新鮮に響いたのは嬉しい驚きでした。こういう演奏を聞くと、Hall & Oatesが”過去のバンドの再結成”とは本質的に違って、現役のバンドだということが良く分かります。

本編が短かったこともあってアンコールを2回やってくれましたが、大好きなYou Make My Dreamsを歌ってくれたのも、場内総立ちの中演奏されたPrivate Eyesでの手拍子(この”掟”に戸惑ってる人が結構いましたね(^^;;)もとても楽しめました。Private EyesなどはCDで聞くとさすがに時代を感じさせられる歌ですが、日本で特に人気の高いこの曲は、ライブではそんなことは微塵も感じられません。

今回の来日公演は全公演ソールドアウトとなっただけあって、観客の反応もバンドが出て来た時からとても良く(私の周りだけ違ったという話もありますが、、)、手抜きやたるみの全くない、エンタテインメント性に溢れたコンサートでした。ここ数年のひたすらニコニコといった感じではなく、普段はすましていながらも時折笑顔を見せるという、Darylのスター然とした態度もDarylらしくて良かったです。So CloseとかPromise Ain't Enoughといった新しめの曲とかDo What You Want, Be What You Areのような昔の曲や新曲ももっと聞きたい!、という思いは正直ありますが、手抜きなしのエネルギッシュな演奏とこれまで以上にソウルフルなDarylの歌声は文句なしに楽しめました。去年のいくぶん予定調和的で残念だったAtlantic City公演でのもやもやを吹き飛ばすだけでなく、あまりにも素晴らしかった今年3月のEddi Readerの来日公演を見てしまった後ではもう他のアーティストのコンサートでは満足できないかも、という心配をも振り払ってくれました。手を叩きすぎて痛くなるようなコンサートはやっぱりHall & Oatesだけということも再確認。Hall & Oatesへの思いがまた一気に募ったコンサートでした。

ロビーでは紙ジャケ再発16作品の他に今年出たベスト盤を売っていたほか(どれか買うと来日公演発表時に使われた写真のポスターがもらえる)、星形のマウスパッド(紙ジャケ集めてもらえるのとは当然違うよね?)、Tシャツがカーキ色のと白で黒の縁取りのものの2種類、黒の"maneater"とプリントしたチビT、そして携帯ストラップを売ってました。私はとりあえず、この日の為に?まだ買ってなかったDreamtime(これで6枚目、、)と、マウスパッドを買いました。

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