Eddi Reader @ ラフォーレミュージアム六本木 (March 19, '02)


東京での初日は昨日の大阪公演とは全く違う内容となりました。曲順が違うというレベルではなく、選曲からして全く違い、同じ曲でもその雰囲気は異なり、曲数も大幅に増えて、Eddi, Boo, Colinがいかに優れたミュージシャン達であるかを実感させてくれる圧倒的なコンサートでした。

今日は入場もスムーズに行われ、セットアップの問題もなく定刻通りにColin Reidが登場してスタート。Colinが一人でやはり3曲演奏したのち、Booが登場しました。でも昨日とは違う曲で始まりました。

(セットリスト - Boo Hewerdine)
1. Murder in the Dark
2. 59yrds
3. World's End *Eddiとデュエット
4. Never Going Back Again *Eddiがリードボーカル

Murder in the Darkの演奏後、Booが「ちょっとロックしようかな」との発言。これを聞いてステージ右側の方から歓声があがったのにBooは少し照れたようで、「少しだけだよ」と強調して59yrdsが演奏されました。この曲はEddiと来た時によく演奏する曲の一つですが、今回はまだEddiが登場していない段階での演奏だったこともあり、サビの部分ではうなり声も交えつつ、よく気持ちが入った演奏を聞かせてくれました。この曲を歌い終わった後、Booがステージ脇にいたEddiに「コーラスやってよ」と要求、ここでEddiが登場しました。まずBooとEddiのデュエット状態でWorld's Endが歌われたのですが、この曲はデュエットに向いてるようで、Booの声に被さるようにEddiの声が入った瞬間がとても美しかったです。この時はまだEddiの声量は控えめでしたが、「Colin Reidのアルバムに入っている曲をやるわ」というEddiの言葉に少し照れながらColinが曲紹介(ギターの練習に昔よく演奏していたらしい)をしたあと、EddiのボーカルでNever Going Back Againが演奏されました。昨日は演奏されなかっただけにこれは嬉しかった。Eddiの歌もさることながら、この曲ではColinが思う存分演奏していたのが印象的でした。この後いったんみんな下がって約30分の休憩が入り、8時半にふたたびEddi達が登場。そして昨日とは違う曲で始まったことで、昨日とはだいぶ違った感じになるだろうと予測したものの、想像を遥かに超えた違いで、全く別のセットになっていました。

今日のEddiは"Live"を収録したCabot Hallでも着ていたワインレッドのドレスを着ていました。今日は時間の制約が気にならなかったのか、アンコール含めて22曲をたっぷりと演奏してくれました。

(セットリスト - Eddi Reader)
1. I Felt A Soul Move Through Me
2. Paper Wings
3. Prayer Wheel
4. Allelujah
5. Wolves
6. (Colin Reidのソロ)
7. Wanting Kind
8. Simple Soul
9. Peacetime (?) *Booの新曲
10. I'm Satisfied *Mississippi John Hurtのカバー
11. Moon River
12. Medicine
13. Find My Love
14. Perfect
15. Wings on My Heels
16. Everything
(Encore 1)
17. Clare (アカペラ)
18. Shirt and Comb
19. Prodigal Daughter
20. Patience of Angels
21. Hummingbird
(Encore 2)
22. Kiteflyer's Hill

2曲目にDriftwood収録のPaper Wings、続いてPrayer Wheelと演奏されてびっくりしていると、さらにその後Allelujah, Wolvesと続いて昨日とは全く違うセットになるんだと確信しました。今日のEddiはギターを横に置いてはいたものの、椅子に座って歌い込んでいることが多かったこともあって、全般的に明るさを感じさせてくれた昨日とは歌い方が微妙に違いました。アルバムでは少しハワイアンな曲調のPaper Wingsは、アコースティックで演奏されることでとてもロマンチックな雰囲気の曲になってました。またAllelujahは昨日のように朗々と歌い上げるのではなく、この曲が本来持つセンチメンタルさを引き出すような歌唱でした。あとで演奏されたMoon Riverも同様で、少し声量を抑えることで柔らかな雰囲気をつくり出していました。このようにこの日は全般的にロマンチックさ、センチメンタルさを感じさせてくれるような構成となっていましたが、強い光で前の方の席では暑ささえ感じられた昨日とは違って柔らかなライティングも、こうした雰囲気の演出に貢献していました。

Booの新曲や、Colinにサポートされて歌ったMississippi John Hurtのカバーにも驚かされたし、それまでの演奏でもEddiの表現力に十分圧倒されていましたが、私にとって前半のハイライトはMoon Riverに続いて演奏されたMedicineでした。アルバムでは流麗なストリングスで装飾されたこの曲が、今のEddiがアコースティック・ギターだけの演奏で歌うとこんなにも変わるものかと思うくらい違う曲になっており、ロマンチックな前半を総括するような見事な演奏でした。ストリングスの音を意識したようなColin Reidの演奏も良かったです。この曲が終わったときにはもうこちらの力も完全に抜けたというか、あまりに凄いものを見せられて脱力した状態になってしまいました。こういう状態は過去にはSarah McLachlanの来日公演や去年のElton Johnの来日公演でも体験していますが、Eddiはさらにその上を行ってました。

このあとEddiがギターを抱えてFairground Attraction時代の曲が2曲演奏されましたが、Find My Loveでは、コーラス部でEddiが歌うべきところを、ギターソロのパートと間違ってEddiがColinに振ってしまってそれをColinに指摘されてEddiが謝るという微笑ましい場面もあり、場内の雰囲気が和みました。またPerfectではColinがちょっとフレージングを変えていたこともあって、カントリー&ウェスタン調だった昨日ともひと味違う演奏になってました。そして盛り上がった後に演奏されたWings on My Heelsは一転してしんみりとさせてくれ、格別でした。このあと昨日同様にEverythingで本編が終了。ここまでで1時間15分くらいだったでしょうか。

観客の拍手に促されてほどなくEddiがふたたび入場して来たのですが、なんと数歩歩いたところで転倒!これにはびっくりさせられました。照れ隠しにステージ中央に来て「もう一回やりましょうか」などと言ってましたが、結構痛かったようで、膝のあたりに持っていた絆創膏?を貼ってました(でもバッテンに貼るところがお茶目)。気を取り直してEddiは今日も一人でアカペラでClareを歌い始めましたが、やはり昨日よりは少しマイルドな歌い方というか、ここまでの雰囲気に沿ったような、少し抑えた感じがしました。この後BooとColinが出て来たところでEddiが会場からリクエストを受け付けたのですが、いくつか出たなかでShirt and Combを選んで、しばしチューニングしたあとEddiが一人でギターを弾きながら、Patience of Angelsシングル収録のこの珍しい曲を歌ってくれました。この曲をライブで聞いたのは初めてだと思いますが、こんなに良い曲だったかと思わせる、衝撃的ですらある素晴らしい歌をEddiは聞かせてくれました。こういう曲を聞くと、Eddiの表現力が当時と比べても格段に進化していることが実感できます。Medicine, 最後のKiteflyer's Hillとならんで今日のベストトラックと言える出来でした(リクエストしてくれた人に感謝ですm(_ _)m)。Shirt and Combに続いては昨日はやはり演奏されなかったProdigal Daughterが演奏されましたが、この曲の演奏中、Booが満足そうな笑みを浮かべていたのが印象的でした。演奏している側としても今日のコンサートが上手くいっていることが実感出来たのでしょう。この後Patience of Angels, Hummingbirdと続いて盛り上がったところでアンコール1回目が終了。しかし当然観客の拍手は鳴りやまず、Eddi達がまた登場して最後のKiteflyer's Hillが演奏されました。ここらへんまで来ると周りには涙ぐんでる人もいたようで、演奏が終わった時には場内スタンディングオベーションでEddi達を見送りました。このコンサート、ライブアルバムとしてCDで出て欲しいですね。。。

”前座”が約30分、本編がアンコール含めて1時間50分程度とかなり長丁場のコンサートで、終わった時には10時半になろうかという時間でしたが、途中で退出する人もほとんど見受けられず(Eddiは「鍵かけて出られないようにしたから」なんてジョークも飛ばしてた)、演奏中は言葉を失うほど素晴らしいコンサートでした。当日券もあるようなので、さらに良くなることが予想される最終日はなんとかして見に行ってくださいね。

ちなみに今日は終演後すなおに帰ったのですが、出口近くでBoo Hewerdineの5月の来日公演(Eddiは来ないけど、他の人と一緒です)のチケットを売っていたので買っておきました。いま買うととても良い整理番号のチケットが手に入るので、こちらの方もよろしく。


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