企業診断を読む(2000年12月号)


作成日: 2000-12-08
最終更新日:

データマイニング入門講座

著者らは、売れるデータマイニングツール一覧として 20 種類弱のソフトを掲げている。 その中から、いくつか考えてみよう。

まず、万能回帰分析、という名称のソフトがある。内容には「どんなデータでも回帰分析を実行し、 要因分析、予測に役立てる。一般逆行列を利用。」とある。 通常の回帰分析ではうまくいかないのは、予測すべきパラメータの数がデータの数より多いなどの 理由により、ランク落ちを生じてしまう場合である。このときは、一般逆行列を使えば確かに一意に パラメータは定まる。しかし、単に結果が得られただけで 喜んでしまっては、誤った結論をまねく恐れがある。具体的にどのようなことが言えるかは、 線形数学、統計学の本を読んで下さいとしかいいようがない。

また、クラスター分析も、間口が広くかつ奥行きも深い分野である。 クラスターをとる方法がいくつもあるので、もっともよい方法が何かということを吟味すべきだろう。

それから、ニューラルネットも、教師あり・なしの双方の版があり、それぞれ分野も違う。 心すべきである。

おまけに、「最適な回帰モデル」作成は、多分 AIC を使ったものではないと思う。 そうでないと、私がこのホームページを作っている意義がない!

本当は、著者らのむこうを張って「Excel に頼らずとも Javascript でここまでできます」 と言えればいいのだが、いえない。

コンサルティングの成果は本当に上がっているのか

表題からして、「上がっていない」と思わせるのが著者のねらいであろう。 事実、記事は上がっていない実例を紹介するものである。 コンサルタントとはどう見ても虚業である、と私は思っている。虚業という、蔑んだことばを 私は使いたくなるほど、私はコンサルタントに不信を抱いている。理由は特にない。 その漠然とした不信が何であるかを明らかにするために中小企業診断士の資格を取得する気に なったともいえる。しかし、まだ不信を明らかにはしきれない。

記事には、ダメなコンサルタントの特徴が述べられている。これはなるほどとあてはまることが多い。 それをここで書いてしまっては著作権侵害になるからここでは書かない。 最後に「実際には、コンサルタントには知性も人間性も優れた人材が多く」という一文がある。 これが本当のことかどうか、どのようにして検証すればよいのだろうか。私にはその術がない。

前月 翌月
中小企業診断士の部屋へ
まりんきょの部屋へ
MARUYAMA Satosi