泌尿器科医・木村明の日記


胃癌内視鏡検査勉強会@北部病院


昨日は北部病院の講堂で、北部病院の消化器センターと都筑区内科医会との勉強会

昨日のテーマは内視鏡による胃がん検査の精度について。

講師の先生は最近横浜に赴任された先生ですが、最近まで福井県におられた先生。

福井県は癌登録がしっかりしていて、コホート研究には適した場所だそうです。

内視鏡による検診では胃がん発見率0.37%、

X線での発見率は0.14%、

内視鏡による検診で見つかった癌の方が早期がんが多く5年生存率もよい、

というところまでは、どこの医療機関でも同じような統計は出せます。

この統計に難癖をつけるなら、内視鏡検診は治療不要ながんまで見つけているから早期がんの率や生存率がよいだけではないか、というアンチテーゼが出せます。

癌登録がしっかりしている福井県では、X線での検診を受けた人の中に、その後検診以外の方法で胃がんと診断された人が多い事も明らかにできました。

内視鏡による検診は、治療がいずれ必要になる癌を早期のうちに見つけていたことになるそうです。

福井県の人口は30万人だそうです。都筑区の20万人と大差なし。

コホート研究には適した規模なんでしょうね。

引っ越す人が少ないのも大事。検診を受けた人たちが2~3年で県外に出て行ったら統計が取れません。

病気になった人が県外の病院を受診しない事も大事です。癌登録に参加している医療機関は県内だけですから。

福井県。どこにあるか分りますか?県庁所在地は?JR線は何線?京都大学、金沢大学に行くにはどれくらい時間がかかります?

ネットで調べれば分るでしょうが、今私の頭に入っている記憶では、どの答えも定かではありません。

そういえば明日から人口30万人のアイスランドでスカンジナビア泌尿器科学会が始まりますね。

アイスランド人は国が破産してもそう簡単に引っ越せません。癌になってもすぐに海外には行かないでしょう。

だからコホート研究には適していて、スカンジナビア諸国は良質な論文を出してくるわけです。

20万人の都筑区では①~胃がん編では胃がん発見率0.1%としていました。

また改訂版を作ります。

胃がん検診に関しては対策型検診で認められているのは胃部エックス線間接撮影で、

内視鏡は任意型検診でも推奨できない、

とガイドラインでは規程されているそうです。

この辺についても書きたいことはありますが、昨日は帰宅したのが10時近かったので、仕込みの時間がありませんでした。

今日はここまで。
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