泌尿器科医・木村明の日記


世界がもし100人の村だったら


世界の人口は50億人ぐらいでしょうか?そのうちの何千万人がどうしている、

というのを直感的に分りやすく説明した本が「世界がもし100人の村だったら」。

100人と言うのは小学校のクラス2つ分ですから、イメージしやすい人数です。

がん死亡率は人口10万人あたり何人死亡するか、で表します。

100人あたりでは、小数点になってしまいますから、10万人なんでしょうが、10万人というのはイメージしにくい数でした。

ところが都筑区の人口は男性10万人、女性10万人、合計20万人なんですね。


つまりこのグラフ(ここから引用させてもらいました)の数字は、そのまま都筑区で1年間に何人死亡するかを示していることになります。

都筑区では、胃がんで男性が54人、女性が27人死亡する、といった実感を伴う数字となります。

このことは、緑道を漫遊している私にとっては「世界がもし100人の村だったら」と同じぐらい分りやすくなったのですが、都筑区に住んでいない方にはさっぱり、かもしれません。

ですが、このまま強引に話を進めさせていただきます。

胃がん死亡をなくすために行われている胃部エックス線間接撮影

40歳以上の都筑区民84000人全員が受けたら、1割の8400人が要精検と判定され、その1%の84人に早期がんが見つかります。

早期がんであれば、EMR・ESDなど内視鏡手術で治せる可能性があります。

こうして発見・治療される84人が、検診を受けなければ死亡したであろう81人(男性54人、女性27人)すべてを包括しているなら、胃部エックス線間接撮影による胃がん検診はすばらしいシステムという評価になります。

胃がんで81人死亡している村で、全員検診したら84人の早期がんが見つかる、というのは納得できます。

一方、前立腺癌で15人死亡している村で、全員検診したら250人の前立腺癌が見つかる、というのはどう考えればよいか、難しいです。

でも前立腺癌の話に戻る前に、大腸癌や乳がんや肝がん(肝がんはがん検診の対象ではありませんが、肝炎ウイルス検診が肝がん予防を目的にしているので)のシミュレーションをしたいと思います。

がん検診が行われているそれぞれの癌について、こういう計算をしていくと、

死亡の第一原因である「がん」を早期に発見し、適切な治療に結びつけるために実施されている各種がん検診の効率が見えてくると思うんです。

続く。....たぶん。新シリーズのタイトルは「100人の村だったら」もしくは「20万人の都筑区では」)

PS:昨日も暇でした。6時57分の市が尾駅バスで帰宅。バスに乗り込んでいたら、横を綱島駅発勝田経由江田駅行きバスが追い越していきました。
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