泌尿器科医・木村明の日記


横浜市都筑区の前立腺癌患者の数


私が「4年間で150件の生検を行い70人の前立腺癌を発見」を書いた4月4日の亜沙郎先生のエントリーは「関節リウマチの数」。

「横浜市都筑区は人口約20万人ですから、関節リウマチの患者さんが1200人いることになります。」と書かれています。

では都筑区に住んでいる50歳以上の男性が全例PSA検診を受けてくれるとすれば何人前立腺癌がみつかるのでしょう。

横浜市PSA検査の集計では癌発見率は1%。

横浜市の50歳以上の男性629,709人(平成17年1月1日)の5.6%にあたる35,220人が平成16年度にPSA検診を受け、379名が前立腺癌と診断されたのです。

平成21年1月1日現在都筑区年齢別人口によれば50歳以上の男性人口は25000人。

都筑区に住んでいる50歳以上の男性が全例PSA検診を受けてくれるとすれば250人の前立腺癌がみつかる計算になります。

本当?

多すぎです。

PSA検診を受けてくれれば見つかるはずだった前立腺癌を見過ごしていたら、その人たちは癌死するのでしょうか?

前立腺がん死亡率(1年間に人口10万人あたり何人死亡するか)はこのページによれば、15人。

都筑区の男性はほぼ10万人。なので都筑区で前立腺がんで1年間に死亡する人は約15人。

25000人にPSA検査をやって、1250人に2次検診を受けてもらって、250人の癌を見つけても、その中で放っておいたら前立腺癌死する運命の人は15人だけだとすれば、

そういう検診を対策型検診として税金を使ってやるべきか、難しい問題にぶち当たってしまいます。

亜沙郎先生が提起した質問は、私が診断した前立腺癌70名のうち、命拾いしたと言えるのは何人? という難しい問題に発展しそうです。

続く....かも。統計の勉強をしないといけません。)
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