今日の思い付き
話し言葉での、日本語と英語の文法的正確さの違い
全然科学的ではなく、今までの経験からの感想ですが

 オリンピックに出場した日本人選手たちが帰国、外国人記者団と会見をしている様子を見て、前々から考えていたことをふと思い出した。話し言葉では、日本語よりも英語の方が文法的に正確ではないか。英語って、しゃべったことをそのまま文章にしてもまあ大丈夫だが、日本語は、話したままを文章にしたらあまり気持ちのよいものができないのではないか。といったこと。

 30年近く、仕事で様々な人々にインタビューしてきた。企業の社長・社員、大学の先生・学生、芸能人、などなど。ほとんどが日本人である。そして、インタビューを雑誌や新聞等の記事として仕上げる際は、インタビューの全体を振り返り、話の要となる部分をいくつか抜き出し、それらを、インタビュー内容の各所を素材として膨らませていく、というのが普通のやり方だ。乱暴な言い方をすれば「つぎはぎ」していくわけである。いわゆる「編集」あるいは「構成」と言われる作業だ。話の順番も含めて、かなり実際のインタビューとは、見かけとしては違うものができあがる場合も少なくない。ただしそれは見かけ上であって、相手が言いたいこと、最も主張したいと考えていることなどはきちんと書かれているのが大前提である(テレビの場合は、噂によればかなり乱暴な編集をして、都合のいいセリフだけを組み合わせてコメントを作るようなことも少なくないらしいが)。
 ごくまれに「この話は出してほしくなかった」というようなクレームが雑誌発行後に来るようなこともあったが、多くの場合は特に問題はないし、むしろ、「うまくまとめていただいた」と喜ばれることや、さらには「自分がうまく表現できなかったことが明確に書かれていてうれしい」などといった反応をもらうようなこともある。
 そうしたことを、昨年修了した大学院に入学した際の歓迎会の席で隣に座られた先生に話したところ、「相手の言葉を変えるなんて、そんなことしてるんですか!」と驚かれた。
 その後、様々な言語学関連の講義を受けたりして私も納得したのだが、科学的・学問的な世界でのインタビュー原稿は、一言一句違わずに再現するのが当たり前だし、そうしなければ研究材料にはならないのである。まあ、そりゃそうだ。材料を自分で加工しては研究にならない。商業用と学問用では、インタビューの扱い方が全然違うことをあらためて思い知った。(右上へ続く)
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 で、話を冒頭の問題提起に戻そう。英語の話し言葉の方が日本語の話し言葉よりも文法的に正しい場合が(かなり)多いのではないかということ。
 アルクという会社が『English Journal』という月刊誌を出している。毎月、映画俳優などの著名人のインタビューや海外のニュースが英語と日本語訳で掲載されている。CDも付いている。そのインタビューを読む(聞く)と、応答の一つひとつが文法的にちゃんとした英語になっているのに驚く。自分の今までの日本語でのインタビュー経験から考えると、日本語の場合は、相手の言葉がそのままでは文章にならないような場合がかなり多いからだ。言い訳になってしまうかもしれないが、日本語でのインタビューが「編集・構成」を前提としているのも、そうした面がかなり影響しているのではないかとも思う(もちろん、一般の雑誌や新聞等では掲載スペースの問題も大きいのだが)。
 もっとも、上記『Enlish Journal』の映画俳優のインタビューなどは質問にも回答にも台本があって、それをまさに役者が演技力を発揮して、まるで初めて聞いた質問にその場で臨機応変に回答しているように読んでいるだけなのかもしれない。でも、ニュースのレポーターが一般の人にインタビューしていて、やはりその質問された人がきちんとした英文法で返答をしていたりする。日本のテレビニュースだと、一般の人のしゃべりが画面の下に文字で表示されることも多いが、けっこう言葉を変えたりして、視聴者が理解しやすいように「加工」している場合も少なくない。
 まあでも、以上はあくまで自分の経験からの感想に過ぎない。ただの思い込みかもしれない。日本語の話し言葉の方が英語の話し言葉よりも文法的に完結しておらず、そのためやりとりが曖昧になりがちかもしれない、といったような……。この感想が正しいかどうかを、科学的・学問的とまではいかなくても自分なりに検証し納得するためには、今度は英語圏に身を置き、そこで生活・仕事をして、英語使用の経験の幅と量を増やす必要があるだろう。

 余談だが、日本語でのインタビュー時、つい「○○はどうですか」と質問することがある(「今度の新商品はどうですか」など)。曖昧な質問だ。日本人同士だとそれでも大抵何か答えてくれるのだが、アメリカ人へのインタビューの際、私の質問を通訳の人がどう訳すか大変困っていた。反省しなければならない。