Coffee Break Back#2
- 先生も辛いんです・・・。
私はピアノを教える者として優れている訳ではありません。いつも悩みながらだし、試行錯誤の連続です。HPに少しずつ書いていることも、積もり積もって相当な分量になりました。
ここに書いてきたのは全て自分の生徒に読んでもらいたいことばかりです。実際には、必要なことはそれぞれの生徒にレッスンで説明し、教えてきましたが、なかなか思うようにならないこともあります。
私が一番辛いのは、生徒がピアノをやめることです。
殆どの場合は一時的にお休みして、すぐに再開するつもりで、結局復帰できなかった、というものです。しかし、他の理由でやめる場合もあるでしょう。
そんな時は自分の力不足を痛感します。経験不足もあるでしょう。指導力不足も勿論あります。
趣味として続けることの「限界」も常に感じています。どんなにピアノが好きでも、仕事が忙しくて平日には練習できない、下宿したらピアノが置けない、など様々な障害が現われます。
ずっと続けていくうちに曲も難しくなり、ある程度の練習量が確保できないと先に進めなくなってしまいます。易しい曲ばかりだと、やはり忙しい中で練習しよう!という意欲を常にかき立てるのは難しいでしょう。
かなりの期間は難易度の面で「並行移動」しつつ凌ぐことができますが、何年も続けているとそれも大変になります。さあ、そこでどうするか。
憧れの曲にトライするのも1つの方策ですが。
絶対的な誰にでも当てはまる解決策は恐らくないでしょう。
しかし、ほぼ毎日練習時間が確保できるか否か、それが最大の鍵であるような気がします。
- 私が注意していること
ピアノを弾く人はみなそうだと思いますが、怪我をしないように気をつけています。車のドアや窓に指を挟まないように、紙で指先を切らないように、重いお皿を片手で持って腱鞘炎にならないように、etc.
夏は冷房にも要注意です。肩を冷やさないようにします。
肩や手が冷たい風に当たるとよくないですね。
冬なら手や手首をウォーミングアップしてから弾くようにしています。練習もいきなりオクターブの連続のような曲は、体が温まるまで後回しにします。
耳もとても大切です。というより、耳が聞こえなくなったらピアノをやめなければならないでしょう。そのためにもイヤホンやヘッドホンは極力使いません。
語学の勉強のためにWalkmanを買った時も、電車の中やバスの中で聞くには音量が大きくなるので、結局やめました。若者に限らず、ヘッドホン愛用者が多いようですが、充分気をつけて下さいね。一度難聴になると、治らないそうですから・・・。
あとは、もし怪我をしたら、すぐに病院に行くことです。突き指などは整形外科です。子供だと「そのうち治るから。」と放置する親御さんもありますが、どうかピアノを続けるのなら、絶対に医師に見せてください。
診断を受けたら、その後は完治するまでは決して無理をしないことも大切です。急がば回れ、です。
- 発表会は大変です
発表会は大変ですね。でも今度は先生サイドのお話です。
私のところは生徒が非常に少ないので、場所の選定などいろいろ大変です。初めて発表会をしたときは出場者は7人だったと思います。今年また、と思っていますが今度は人数倍増です。
ホールの予約が先ず大変です。費用の面から公共の場所となると、予約は大半が1年前です。1年前というと、人数が少ない先生の場合は、1人欠けても費用の分担が増えるので、みんなの予定が間違いなく空いている日を選ぶ必要があります。しかし、学校行事があったり、家族のお出かけがあったりで、1年前に予測するのはなかなか難しい面があります。
また、1年前に予約に行っても、抽選だったりします。適当な大きさのホールというのも少なくて、500席位のホールだと、お客さんもまばらで、貧相でもあり、いつも会場に選びには悩みます。
少人数ならではの方法ですが、小さな録音スタジオや練習室を借りる場合もあります。先生によっては、ピアノの置いてある会議室や喫茶店、という場合もあります。そういう場所は、予約が比較的楽な場合が多く、直前(4ヶ月前くらい)でも取れるので、その面では助かります。
次に選曲です。まず、素敵な曲で、さらに演奏が見かけより楽なものを選びます。発表会には誰しもあがってしまいます。あがってもボロボロにならないように、勿論早くから練習を始め、事前の練習会もしますが、基本は選曲です。
生徒数が少ない私の所では、連弾もやってもらいます。今までは全て私が相方をつとめましたが、これからは姉妹や、姉弟子?ともできるでしょう。
大きい生徒の場合は、先に連弾を弾いてもらって、ピアノの感触を確かめてからソロを弾いてもらいます。
写真屋さんや録音の依頼もプロに頼むほどの人数ではないので、結構困ります。その点録音スタジオはお手のものですが、写真は仕方ないのでご家族に任せ、集合写真も私のカメラでご父兄に頼んで撮ってもらっています。ビデオもご家族任せです。
プログラムの印刷は自分で何とかできますので、あとは当日に「1番 ○○さん。 〜作曲△△」という鶯嬢を頼めば何とか一丁上がり。後日録音テープをダビングするか、マスターを貸して各自でダビングをお願いし、会計報告をして、ようやく一段落となります。
私も初めての発表会ではいろいろ分からなくて苦労しました。そして、今までは先生が全てお膳立てして下さっていたことに思いも及ばず、自分の演奏のことで頭の中が一杯だった昔を思うと、恥ずかしくなります。
それに、生徒の演奏中は、本人以上に緊張したりするので、全員無事に終わる頃には、正直言ってぐったりです。私はその後で1曲弾いたりするのですが、その頃にはもう集中力も切れていて、実はボロボロ。は〜、本当に先生も大変なんですよ・・・。
- 弾き込むってどういう感じ?
演奏会や発表会など、練習を重ねていくと、どこがどう変わるのでしょうか。
勿論、ミスは少なくなるでしょう。でもそれが目的ではありません。
その曲に対する明確な自分のイメージ・主張があることが大前提ですが、それを聞く人に感じてもらえればまずは成功でしょう。そのために練習を積んでいくのですが、そこに至るまでには様々な過程があります。それは私でも皆さんでも同じです。
先ずは楽譜を徹底的に見て読んで、簡略化せずにそのまま脳裏に焼きつくくらいまでは暗譜をしません。そこまで弾ければ、暗譜もできていますし。多分ここまで行かずに発表会、というのが普通かもしれませんね。
次に、常に暗譜で、ではなく時々楽譜を見ながら、なのですが自分のイメージ通りに音が鳴っているか、確かめます。録音して聞くといいですね。
更には、いつどんな状況で弾いても、最低限のレベルで弾けるまでまた練習を続けます。プレッシャーに負けない自信をつけるのです。
自分にとってプレッシャーを感じる場面をどんどん作って、恥をかいてもいいから弾くことです。たとえば、録音しよう、と思っただけで緊張する人もいるでしょう。家族の前で弾くのが冷や汗もの、という人もいるでしょう。私たちなら、演奏会の前に、生徒の発表会でも何でもとにかく出て弾く機会を作ります。こればっかりは場数がものをいうのです。
さて、他には、1回で最後まで(多少のミスがあろうとも)弾ききる訓練を続けます。朝起きて、一番に弾いてみる、前述の状況で、とにかく最後まで止まらず・弾きなおさずに通して弾いてみる、などです。そのうちに、些細なことでは動揺せずに、弾けるようになってきます。
もう1つは、弾いている最中に音にだけ集中することです。これが一番大切です。雑音・雑念を払うことです。無理して払うのではなく、自分の指先に目がついているような感じで、自分の出している音を耳で追うのです。そして、指と耳と頭で自分の意図が反映されているかどうか、確認しながら弾いていきます。そうすれば、ほかのことを考える余裕などあるはずがありません。
これらを同時に進めていくと、完成度の高い演奏になっていくのです。弾いている時には常に全身の神経を音に集中させているのです。目の前に楽譜が見えているのです。あとは練習量に比例しますが、ここまでやってあれば怖いものはありません。
私の場合は指先が1つ1つ鍵盤に吸い付くような感じになってくればかなり完成度が上がってきた証拠です。つまり、最悪の状況でも(一瞬頭が真っ白になっても)指が位置とタッチを覚えているので、安心して演奏できるのです。何かあってもすぐに立ち直れます。指を動かしているというのではなく、頭の指令のもとに音が自然に流れてくるような感じです。
問題は、ここまで至るのにどれだけの時間が要るか、でしょう。やみくもに時間だけをかければいい訳でもありませんが、発表会でも最低3ヶ月、4ヶ月、とかかるでしょう。もっとかかるかもしれません。
自分にとって難しいと思う曲なら年単位です。
発表会となれば、どこかで折り合いをつけるしかありませんが・・・。
- 私の"背伸び"
私がまだ小さかった頃、私にとって"背伸び"に近い感じの曲はなんだったでしょう。小学校高学年では、シューベルトのアンプロンプチュ 変ホ短調(Op.90-4)でした。こんな素敵な曲が私に弾けるのかしら?と思いました。
次は中3で、ショパンの幻想即興曲でした。先生に、次はこれを練習して来なさい、と言われて、思わず「私に弾けるでしょうか?!」と言ってしまいました。(先生は事も無げに、「弾けるでしょう?」とおっしゃいました。)
多分その前後に、リストの「2つの演奏会用練習曲」の"森のささやき"を練習した時も本当に大変でした。左手の跳躍する所を何度も練習して、やっと仕上げた思い出があります。
あとは、高2で初めて弾いたショパン・エチュード、Op.10-4でした。このときはほぼ同時にベートーベンの「告別」全楽章も短期間で仕上げる必要があったため、非常に大変でした。
(このOp.10-4は武蔵野の入試の課題曲にもなり、試験では安心して弾けましたが。)
背伸びではありませんが、タフだなあと思った曲はまだまだあります。
初めてプロコフィエフのPソナタ 第7番を練習した時もそうでした。ちょっと見ると譜面上はシンプルなのですが、珍しくも、譜面から全く音が想像できませんでした。このときは流石にCD(いや、LPかな?)を買ってきて、聞きました。・・・聴いてもイマイチでしたが。
しかしこれは、私の大切なレパートリーとなりました。難易度で言えば、6番の方がもっとずっと難しいのですが、これは卒業試験で第1,4楽章を弾きました。
バーバーのPソナタも、難しかったですね。大舞台で、暗譜が途切れてしまいました。しかし、非常に弾き甲斐のある曲でした。
- 何年弾いていても
もしかしたら、「Reiko先生はどの指も自由に動くし、音大のピアノ科を出たのだから、私たちとは"違う"(=恵まれた才能を持っている?!)」とお考えの方があるかもしれません。
手が大きい(or指が長い)、耳が良い、小さい時から猛練習してきたから、etc. 「だから、(例えば)大人になって始めた私はそこまで上手になれない。」と。
このHPを隅々までお読みの方はもうお分かりでしょうけれど、それは全くの誤解です。
30数年の「ピアノ歴」こそあれ、当たり前のことながら、輝かしい才能に満ち溢れている訳ではないし、練習をサボれば皆さんと同様、すぐに指は回らなくなります。4−5のトリルなんて四苦八苦ですし、おまけにマムシ指も完全には直っていません。手ももう少し大きかったら、と何度思ったことか。
つまり、超のつく世界的なピアニストなら、本当に天は二物も三物も与えたのでしょうけれど、音大を出た位では、今練習してる皆さんと決定的な違いはありません。
私たちは日本語を母国語としていますが、明治の文豪の作品を読もうとしたり、きちんとした手紙を書こうとすれば、国語辞書は必要です。大学入試で国語の試験もあるのですから、日本人なら日本語は完璧!なんてありえないことが分かりますね。
(ちなみに英語教育も同じですよ。3歳から始めても、家庭の中でバイリンガルでもない限り、なかなかネイティヴ並みには話せないでしょう。大学で英語を専攻しても、辞書無しに英文を完璧に読解するのは無理です。)
つまり、ピアノもどこまで行ってもキリがないのです。また、ピアノを弾くのに完璧な指・耳・環境が揃っているからといって、一流のピアニストになれる保証はどこにもありません。マラソンの高橋Qちゃんも、「落ちこぼれ」だったと聞いています。一流の運動選手もみな体格的な欠点や故障を抱えつつも、世界の頂点に立てるのではありませんか?
前置きが長くなりましたが、何年練習していても、例えば4の指が他の指より自在に動くことは非常に難しく、また、それだけを克服しても音楽性の上では大した意味はありません。
適切な技能的練習は必要ですが、時間に限りのある方は、あくまでピアノを弾きながら(それこそハノンでも。又は今弾いている曲で難しい箇所を抜き出して)練習していけばよいのです。
要は、"私はあの人とは違うから"とは考えないことです。
それに、人と比べても何の得もありませんしね。
あせらず、たゆまず。「亀は勝つ!」でしょうか。
- もしも私に娘がいたら・・・?
もしも私に娘がいたらピアノはさせるでしょうか。
勝手に1問1答形式で書いてみます。
Q1.ピアノは習わせますか?
A1.本人が弾きたいと言ったら、とりあえず。
Q2.自分で教えますか?
A2.最初歩だけ。もし本当にしばらくは続けられそうだと思ったら、すぐに先生を探します。(近くにいないけど、音大の友人とか。)
Q3.何歳から教え始めますか?
A3.実際にピアノを触らせるのは5〜6歳から。それまで特別なことは何も教えません。ただ、私が弾くのを毎日聞くことにはなりますが。
子供のために何か特別のCDをかける等はしないでしょう。
Q4.練習しなかったら?
A4.自発的にしなかったら放っておきます。というか、レッスンは受けさせません。無理に練習もさせません。
Q5.それはなぜですか?
A5.趣味でいいのなら何歳で始めてもいいし、本格的にやるなら、まず本人がピアノが大好きで、他の何よりもピアノを優先した生活に耐えられない限り無理だからです。その上、ある程度の才能も必要でしょう。
それは私の目で見ればすぐに分かってしまうからです。
- なぜ音大へ行くのか
なぜ音大へ行く必要があるのでしょうか。いろいろな理由が考えられます。ごく一般的には、今後ピアノを教えて生活していく上で、やはり卒業証書は必須だろう、と言うことができます。日本はまだまだ学歴社会ですから、○○音大卒、が1つの肩書き・証明になりますね。ほかにはどうでしょうか。
例えば、能力的に音大合格レベルの人が一般大学へ行くことも考えられます。一般大学と音大進学の本質的な違いはなんでしょう?
音大へ進むということは、「音楽が自分の本分である」と宣言することです。つまり、「音楽が自分の本業であり、最優先項目だ」ということです。自分にも家族・周囲にもそれを明確に認識してもらい、音楽に専念できる環境を得ることです。
副次的には、人前での演奏の機会が非常に多くなるということでしょう。これも大切な経験です。また、同じ志の友人ができること、(ピアノ専攻なら)他の楽器の伴奏を通して友人が出来ること、も挙げられます。
学科については、実は独学でも十分必要な知識を得られます。本も沢山出ていますから。(一般教養や、一部の専門の授業は非常に情けない内容でした、私の場合は。)
1.音楽に専心できる環境を作る
2.同じ経験を積んできた友人が出来、理解し合える
3.演奏の機会が多い
これが私の考える、”音大へ進む理由”です。
- ピアニストになるために必要なことは?
1.何よりもピアノを弾くことが好きで、楽しいと感じられること。
2.孤独に耐えること。
3.我慢強く、努力をいとわないこと。(長い練習時間も苦にならないこと。)
4.集中力があること。
5.時に絶対の自信を持つこと。(「私が一番うまい。」と思うこと。)
6.強靭な精神を持つこと。
7.自分の実力を客観的に判断できること。
8.資質があること。(体格や手の大きさなど。)
9.家族の絶対的な協力があること。
・・・1番以外は順序は余り関係ありませんが、華やかに見えるステージの上の姿は仮の姿、普段はやっぱり3Kかもしれませんね。才能だけでなれるものではないと思います。
(ちなみに私に欠けているのは4.5.8.でしょうか。)
- 好き嫌い
音楽に関しての私の好き嫌い:
<全く抵抗なし>
ジャズピアニスト山下洋輔氏の「肘打ち」;(日本の)民謡;
<no problem>
カラオケで演歌を歌う人;美空ひばりの歌;ラップ(音楽);
<No thank you !>
野外で雨の中グランドピアノを弾き、後で「このピアノはもうだめでしょうね。」と言ったジャズピアニスト;ユーミンの歌声;携帯電話の着メロ(の電子音楽);
- ピアニスト斎藤雅広氏
今日山野楽器の担当の人が注文した楽譜を届けてくれましたが、いつもヤマハの小冊子「ピアノの本」を一緒にくれます。中身はヤマハ楽器とヤマハ音楽教室等の関連記事ですが、ここに斎藤雅広氏のコラムがあって、大変面白いですよ。
HPもあるのでそちらも是非ご一読をお奨めしますが、「本格派ピアニスト・斎藤雅広さんに、音楽批評の正道を求めて、快刀乱麻の舌鋒を披露していただきます。」と添え書きがあり、「斎藤雅広の聴き耳だてれば」第5回に、何だかとても共感してしまうことが書いてありました。
ある人にとっては刺激的な言葉が並びます。例えば、薀蓄を語るクラシック「オタク」とか、歌の伴奏者の実力について、まさにバッサリ。私は思わず喝采を送ってしまいましたが。
彼は少し前にNHKで趣味のピアノ講座を担当した先生です。私もTVで少し演奏を聞いたことがあるだけですが、素敵なピアニストです。学生時代はホロビッツの再来というほどの技巧派として有名だったとか。しかし、このような本音は彼程の実力と立場のある人間にしか言えないだろうな、と思います。
(「ピアノの本」草思社 160号 *この雑誌は各地のヤマハのお店や楽器店で入手できます。・・・と書いてあります。無料です。)
斎藤雅広さんのHPの中の「雅広語録」の中に「ピアノの本」の連載が載っていました。(但し160号はまだ掲載されていません。)
その2:斎藤さんのHPにQ&Aもあり、歯に衣きせぬ回答ぶりも一読に値します。是非行って読んでみてください。
表紙の目次の中の「ピアノレッスン」という項目の「さいとうまさひろピアノレッスン」と「特別授業:まさひろくらぶクラス」です。
- リサイタルを開くということ
リサイタルを開いたなんてすごいですね、と言われることがあります。実は「開く」ことは誰にでもできることです。会場を予約すればよいだけのことですから。つまり、お金を出せば誰でもホールを借りることはできます。弾く曲も自分で選び、演奏するだけで、どこかに届け出て演奏会の許可を得る必要は全くありません。(作曲家によっては著作権上の届け出は必要ですが。)
むしろ師事している先生から「演奏会を開いたら?」とか、「開いてもよい」と言われることの方が重要です。先生からOKが出るということは、その演奏について先生も責任の一端を負ってくださる、ということでもあるのです。
例えば私の演奏会のチラシ・パンフレットに「○○先生に師事」と書くことは、私の演奏が即「○○先生のお弟子さんの演奏」として判断されるということです。(先生に「私の名前は出さないでね。」と言われる場合もありうるのですが。)
日本ではまだまだ出身大学や師事した先生の名前で判断されることがあるのはちょっと残念なことではありますが。それはそれとして、先生から演奏会を勧められたら、そのお気持ちを無駄にしないよう、どんなに大変でも、有難く受け止めて演奏会を実行なさるようお勧めします。
- 指使いについて
指使いは何のためにあるのでしょう。特に最初の間は、先生に結構うるさく言われ、面倒なだけ、と感じることもあるかもしれません。しかし、指使いには大きな意味があります。
レガートやスタッカート、アクセントを無理なく効果的に弾くためには、合理的な指使いが必要です。勿論手の大きさ・指の長さやそのバランスなど、持っている楽譜に書かれている通りに弾くのが常に最善とは限りませんが、初めから無視するのではなく、まずはその通りに弾いてみてその意図を考えることが大切です。
むしろ私などは、弾きにくい箇所については先に指使いを考えてから練習に入ります。試行錯誤して決めていく場合も多々あります。先生が考えて下さる場合もあります。
つまり、「指使いの指示通りに弾く」ことが大切なのではなく、「合理的な指使いを考えて実行する」ことが大切なのです。
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