オアシスが荒らされている

しかしブラック・コカトゥがその場所についた時、彼女は恐ろしいものを見ました。「助けて?」彼女は金切り声をあげました。「あいつが、グラムキンがいるのよ。どうしましょう。どうしたらいいのかしら…」
彼女の声は平原にこだまし、砂漠の全ての鳥と動物たちがそれを聞きました。みんなランブルと一緒に、そこで何が起きているか、どうやって助けられるかを確かめるためにその場所へ急ぎました。

とんでもない光景が彼らの視界に入ってきました。マンチがそこかしこをがらがらと動いています。大気は黒い臭い煙で汚れ、みんなにその恐ろしい唸りに恐怖を感じ、ぶるぶると震えました。
アカシアの木は煤で黒くなり、柔らかな草が砂漠のそよ風に揺れていた場所には、グラムキンの恐ろしい足跡(キャタピラの跡)だけが残っています。泉は油で汚れ、その場はグラムキンの唸り声で満たされていました。

「やめろ!」ランブルは乱暴に、せいいっぱいの声で叫びました。
「 どうしてさ?」グラムキンは驚いてげっぷをしました。「俺はここで宝物を見つけるかもしれないんだ。ダイヤモンド、金・銀、もしかすると油も」彼は貪欲な目をして、鉄の歯をぎりぎりと歯ぎしりしています。

「僕たちは、僕らが必要とする宝はもう全て持っているんだ」ランブルが反論しました。「アカシアの木にこそ金と銀がある(原文ではアカシアはGold and silver wattlesと紹介されている)し、泉にはダイヤモンドの煌(きらめ)きがある。また砂漠の花はどんな宝石よりも貴重なんだ」

グラムキンはちょっとの間岩をかみ砕くのをやめ、岩の上でよく考えてみました。でもそれは長くはありませんでした。「ふふん」グラムキンは鼻を鳴らしました。「俺がここに来るまで、ほんの少しの古い木とどろどろの水たまりしかなかったぞ。誰がばかげた小さな花や乾いた草のやぶが必要だというんだ」

「僕たちさ」
草を必要とするホッピング・マウスとモグラが甲高い声で答えました。「草むらは僕たちの住処の入り口を隠し、安全に保ってくれるんだ」
「それは僕にも同じだ」地ネズミが彼の巣穴から呼びかけました。「スピニフィクス(非常に固い葉を持ちドーナッツ状に育つ砂漠の草)は僕らの庭だったのに今は荒れ果ててしまった」

「登ったり(ゴアナは驚くと木に登って逃げる)、餌となる虫が残っている木はなくなってしまった…」とゴアナがうなりました。

「真昼の太陽から隠れる場所がなくなった…」レッド・カンガルーが嘆きます。

「飲み水もなくなった…」ウォーター・ホールディング・フロッグがしわがれ声をあげます。

「とまり木や巣を作る場所はもうないわ」ブラック・コカトゥが騒ぎます。

「家族に餌を運ぶための蜂蜜でいっぱいのバンクシアの花もない」ゼブラ・フィンチ(フィンチはアトリ、ヒワ科の鳥)が甲高い声でなきます。

「バッタもチョウもトンボも見つからない!」ロック・パイソンがシューシューと言いました。

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本文注

ウォーター・ホールディング・フロッグ:砂漠地帯に生息するカエルです。名前のとおり体に水を蓄えることができ、雨が降らなければ何年間(3年だったか5年だったか? ちょっと定かでありません)冬眠状態で過ごします。実写映像を見たことがありますが、眠っている間は体に薄い膜をはります。雨が降るとたちまちそれを察知して、今まで体を覆っていた膜を食べて地上に出てきます。地上で繁殖(子孫を残す)ために行動します。勝負の期間は2週間とか記憶しています。


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