♪あんだんて♪レポート

特別編

♪あんだんて♪3周年記念&「プロン・トン・トン2号」発行記念
不登校をキーワードに子育てを考える

親子で振り返る 不登校の経験
7月23日(日)
キャンパスプラザにて
  
 コーディネーター
  春日井敏之さん(立命館大学教授)
 パネラー                               
  22歳女性とその親
  (小学6年生から不登校を始め、大検を取得して大学へ進学し、現在4回生で就職活動中)
  19歳男性とその親
  (小学1年生の後半から不登校、部活の時間だけ登校した中学時代を経て、現在定時制高校4年生)
  19歳男性とその親。
  (小学5年生から不登校、通信制高校&サポート校に進学し、この春卒業。現在予備校生)



シンポジウムに参加して        
 参加者72名。会場は和やかな雰囲気だった。パネラーは、皆さんありのままの自分でそこにいて、ありのままを語る。それは容易なことではないと思うのだが、まさしくそんな感じであった。

 まず自己紹介から。三名ともそれぞれに異なった道のりを経て、個性も考え方も当然別々だ。でも、それぞれいい持ち味が。これこそ、「不登校を経験した賜」なのだろうか。「熟成」。そうか、不登校って「熟成」を促すものかも・・。そんなことをつらつら考えながら、話に耳を傾けた。
 
 自己紹介の後、司会者の質問に答える形で。
@親との関わりや関係については、親が口うるさく言わず放っておいてくれたのがよかったと異口同音に言われた。
A学校の先生については、学校においでと何度も誘ってくれる熱血先生や、家庭学習に協力的な先生など、様々なタイプの先生が。春日井先生からは、学校からの働きかけがしんどいとき、親が防波堤の役目をすることが有効であること。また、その時のその子の必要なことをサポートをすることが大切で、決して回復段階を飛び越えないように、と。
B他者や外部との関わりについては、キャンプ参加や農場体験を通して、こういう大人になりたいと思える人とも出会ったこと。あるいは、経済力や学歴よりも生き方が大切だということや、外に出ればおもしろい人と出会えるんだということを気付かせてもらったことなど。
C父、夫との関係については、ご本人を前にして「父もすっかり丸くなり、親子が対等の関係となった」「よく話し合うことで夫婦間の距離も近くなった」と話された場面では、会場から「いい感じやなぁ」という声が漏れていた。  

 続いて、参加者との質疑応答。
@「不登校から生還されたきっかけは?」との問いに、「不登校から立ち直った」という言われ方をされると心外に思うとおっしゃったお言葉が印象的だった。学校に行っていないときも、通っている今も、私は私であることに変わりはないと思うこと。「私は私のままでいいんだ。私らしく生きていけばいいんだ。」と思えるようになって楽になったということを付け加えられた。
A身体のしんどさイコール心のしんどさ。行かねばならないと周囲や本人も思っている。だから行こうと思うのだけれど行けない。本当は行きたくないのだと指摘された。
B昼夜逆転やネットゲームばかりしているという現象面より、親子関係がどうなっているか見た方がよいとのこと。

 お母さんのお話の中で最も印象に残ったのは、イギリスではホームスクーリングが制度として認められているということ。受け皿があるから安心してホームスクーラーでいられると。日本では、学校に行かないことや行かない子どもが「ドロップアウト」という認識のされ方をされているように思う。学校へ行っていないという事実よりもその認識の呪縛から抜け出せないことで、当人も親もしんどくなってしまっているのではないだろうか。自分にあった学校(学ぶ場所であり学ぶ環境。家庭も含む)を選べるといいのになぁと切に思う。多分、日本の教育制度は今後変わっていくだろう。いや、変えていく必要があると改めて思った。
 我が子の不登校をきっかけとして、私にもたくさんの出会いがあった。それらは今、私の財産となり宝物となっている。しかし、様々なことで今しんどい思いをしている人や困っている人もたくさんいるだろう。微力ながら自分にも何かできることがないだろうか。この経験を活かさずに、しんどい思いをしただけで終わっていては、それこそもったいないと思うのだ。この「転んでも只では起きない」というおばちゃん根性も、「不登校の賜」と言えるだろうか?ホームスクーリングの話を聞きながらそんなことを思っていた。

そして、もう一つ印象に残ったのは、「この企画がスタートした2月の時点では、我が子がこの場で発表することになるとは思っていなかった」と感慨深げに話されたお母さん。その胸の内がよく分かる気がした。子達の成長を一緒に心から喜びたいと思った。
子どもは生きていく力を持っている。子どもは伸びていく力を持っている。それを目の当たりにした様な気がした。そして我が子もまたそれを見せてくれている。感動。感謝。(♪あんだんて♪会員 ののさん)


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