♪あんだんて♪レポート


平成17年度京都府「社会的ひきこもり」合同研修会
3月6日(月)
  
 府下の青少年相談機関および民間支援団体にむけて開催された。この研修はひきこもり支援サポーター養成研修も兼ねている。
 前半2003年に放映されたNHKひきこもりサポートキャンペーンの元ディレクターのTさんの講演があった。NHKでは、ひきこもりの青少年のためのメール相談をしていた時期があり、年間3000件もの相談があったそうだ。その中から、取材に応じてくれる人を探し、応えてくれた青年がいた。なんとかこのひきこもりから抜け出したいという青年の一念が、一歩前へふみだすきっかけを作ったのだろう。
 このVTRを見て、不登校もそうだが、どこにでもある家庭のごく普通の両親のもとで成長している子どもが、学校で傷ついて、ひきこもってしまう今の時代の難しさがみえた。繊細でおとなしい子と、愛情はあるけれど口下手な父親。この組み合わせは、どこにでもある親子なのだが、子どもが学校でいじめられて行けなくなった時、子どもを支える大人が親しかいない状況では、なかなか支えきれない場合もあるだろう。ごく普通の家庭のごく普通の両親のもとで成長している子どもが、学校で傷ついて、ひきこもってしまう現実がみえた。
 人によって傷ついた心は、人と関わる事によってしか癒されないという現実もまた同様に見えた。

 後半は、分科会で「聖母のちいさな学校」を主催されているU先生の話をうかがった。200人以上の不登校の子どもたちを次のステップへ送り出されてきた経験からの話は、本当に当事者の思いに寄り添っていて、重みがあった。
 「当人の側に立つ」ということは、ともすると引きこもりに対して厳しい目を向けがちな「社会」に直面する事でもある。「当人の側に立つこと」を強調される背景には、不登校の子どもの側に立ち、学校や社会に対して「子どもを守る」という覚悟をもって、子どもたちと向き合ってこられたU先生の姿勢がうかがわれ、感銘をうけた。
引きこもり支援のポイントとして次の点があげられた。
具体的には、「(ひきこもりで)困っている」ということが分かってくれる人に、当事者はついていく。本人も「なにが問題」でひきこもってしまうのかわからない。支援者が問題を解決するのではなく、「わからない」というところにとどまると当人が問題を形にしていく。
 対策を練らない。「策」を練ると当人が傷つく。「ぬけだせない自分はダメ」と思ってしまう。無気力になっているのは、自分でわかっているから、それを否定しない。
 大勢でひとりの当事者の事を話し合うのは、複眼で見えるのでいいことである。親と当人と食い違いがあるときは、それぞれの話をそれぞれに聞くこと。そうすることで、親と本人がいつか向き合えるときがくる。
 結局、サポーターは、問題を解決する人ではなく、「私の声、私のまなざし、私の態度」などで「私」を見せていく。それが大きなサポートになる。(フェルマータ)


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