♪あんだんて♪レポート


研修講演会「強迫性障害の理解」山上敏子氏講演
11月23日(祝)
子ども強迫(OCD)友の会
  
 今年、つながりができた「子ども強迫(OCD)友の会」の講演会に参加した。
強迫性障害は、脳の神経伝達物質の不調整や心因性など、さまざまな原因でおこる不安障害。思春期以降は衝動的に暴力や自傷行為がでたりすることもあり、家族がまきこまれ、生活に支障をきたすなど、家族ぐるみで苦しんでいらっしゃる。

 症状としては、ある考えやイメージが繰り返し浮かんでくる「強迫観念」、ある行為を繰り返し行ってしまう「強迫行為」、強い「不安」や「衝動」「不快感」がある。
「強迫観念」の例としては、「人を傷つけたのではないか」「汚いものがついた」「神を冒涜しているのではないか」「いやな言葉を言ってしまったのではないか」「ものをこわした」など。
「強迫行為」の例としては、「繰り返し確認する。」「繰り返し手や体を洗う」「正確さを確かめる」「ものを捨てられないで、溜め込む」「同じ質問をくりかえす」など。

 生きていく中で短期間にそういう症状になることは、だれにでも見られるが、このような強迫症状が長期にわたって持続し、自分の意志に逆らって出現するのが、障害の特徴。
脳に準備性があり、ある出来事が引き金となって発症する場合と、特になにか出来事がないけれど、進学や結婚など人生の転換期になる場合がある。
 発症は平均20歳だが、10歳未満の子どもが発症することも少なくない。統合失調症やうつ病、発達障害、知的機能低下の初期、適応障害などと合併することもある。今まで、子どもの場合、親のしつけ方や育て方が原因といわれ、親は周囲の無理解に苦しんできたが、これは病気であり治療を必要とする。

 治療は、「薬物療法」と「行動療法(曝露反応妨害法)」を併行する。
薬は、初期に薬の量をあげていき、症状が落ちるまで量は変わらず、経過を見て段階的に下げていく。症状が軽快、消失してもしばらく服用し、生活の中でしっかりと症状がなくなるまでつづける。
 行動療法(曝露反応妨害法)は、恐れたり避けたりしている状況にあえて対面(曝露)することからこの名がつけられた。あえて対面し、そこで起こる不安を下げるために行っている行為をあえてしない。少し我慢して逃げ出さない。
しかし、治療に当たって、きめ細かい聴き取りをすることが重要。
症状の具体的な内容・・・ここがこうなる。ここがこう怖い。どういう時にどんな観念が浮かんでくる。気分、経過、周囲の人の反応、対応・・・など程度の評価と明確化。
1、 症状の行動分析
2、 治療の対象と目標の明確化。・・・どこのところを治療したい?治療するか。
3、 治療の方法の説明と動機付け。・・・本人がよく理解できるように。

注意しなければならないのは、本人の症状で対処しないで、症状が出ないようにできそうなところから生活環境を整える。
治療による効果がわかる、変化がわかるようにする。手洗いの回数が減った。確認の時間が短くなった。などグラフにする。
治療をするというより、普通の生活を学習するという姿勢。
不安や衝動を我慢して行動しようとしている患者を支持し、がんばりを認める。
治療者は、おだやかで明るい安心できる雰囲気、少し遊び感覚でしんどくならない雰囲気をこころがける。
はじめは、治療者が主導だが、だんだんセルフケアに変えていく。(フェルマータ)

* ためこみ等、曝露反応妨害法が適用しにくい症状もある。
* 家族が疲れてしまわないように、ヘルパー、ショートステイなど利用しながら。

参考文献「強迫性障害の治療ガイド」飯倉 二瓶社
    「強迫性障害の行動療法」飯倉 金剛出版 


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