♪あんだんて♪レポート


京都子どもと家族と支える会 4月2日(土)
  
 学校教職員や子どもたちの支援者がネットワークを作ることを目指すこの会。2ヶ月に1度の定例会があった。今回の講師は薬物依存症からの回復支援をする「FREEDOM」理事のMさん。彼女は法務省保護観察官の仕事もしており、日々の活動から見える、「薬物依存症の理解と回復支援について」話をしてくれた。

 薬物依存症はだんだんひどくなり、治療を受けても完治しない病気である。また薬物のほとんどには耐性があり、使用量が増えていくし、進行する病気であるために離脱するのがとてもしんどく、時間がかかる。またこの病気は病気になることで怒られるため、「やめようと思ったらやめられる」、「あの人よりひどくない」などと思うことで、受け入れるのに時間がかかる。さらに社会的な非難が強くて、家族は非行少年、あるいは犯罪者を出したと見られることも多く、相談しに行きにくく、本人とともに孤立しやすい病気である(依存症を見てくれる病院が少ないなど、社会資源が貧困という背景もある)。
 薬物依存者が回復するというのは単に「薬を使用していない状態」を作ることではない。いつでも薬物が手に入る環境で、いかにして薬物を使用しないライフスタイルを作るか、いわば薬物を使用せずに人生を歩むという、生き方そのものを変えていく作業だ。その支援をするのが「FREEDOM」である。薬物依存は処罰される「犯罪」としてのみ存在していたが、薬物依存症回復施設「ダルク」や自助グループの活動経験から、適切な支援とプログラムがあれば「回復できる病」と証明された。そこで「FREEDOM」は相談活動や、薬物依存回復支援施設の設立、地域や学校への講演活動などを通して、社会資源の少なさを嘆くのではなく、自分たちで作っていくというスタンスで活動されている。

 薬物は子どもたちの世界にも確実に広がっている。生きづらさを解消する手段として、入手しやすく、吸引に抵抗感の少ないシンナーに手を出す子どもも多い。しかし、シンナーは脳へのダメージが大きく、確実に体をむしばんでいく。またシンナーは持っているだけでなく、実際に吸飲していなければ補導の対象にならないので発見しにくい。また咳止めや痛み止めとして売られている売薬の関する電話相談も多いという。もし学校で薬物依存の問題が起こったとき、どの機関につなげばいいのかという情報を得、ネットワークを作っていくことが大切だとMさんは話す。何となく怖いと感じつつもよく知らなかった薬物依存。子どもたちのためにも、支援の充実は緊急課題ではないかと思った。(さくら)



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