♪あんだんて♪レポート


教育フォーラム 12月23日(祝)
こども教育支援財団/クラーク記念国際高等学校天王寺キャンパス共催

 文部科学省認可財団法人 こども教育支援財団/クラーク記念国際高等学校天王寺キャンパス共催の教育フォーラムに参加した。

第一部は、上記財団主任研究員の勝田麻津子(臨床心理士)さんの講演。勝田氏は、幼児期から青年期前期の問題(チック、脱毛症、強迫症状、不登校、家庭内暴力、反社会行動、発達遅延など)を抱える児童・生徒、およびその親への心理治療の仕事に携わって来られたとのことだが、特に不登校事例への経験が豊富で、教員へのスーパーバイスや親の研修なども担当されている。

 講演では、『不登校の親がなすべき五原則』こどもの心に添って理解すること―「今、親ができるところから...」―と題して、担当された事例なども織り交ぜて、分かりやすくお話しされた。
 発達の課題や現在の親子関係の課題などに簡単にふれられたなかで、印象に残ったのは、精神的健康の定義に関する滝川一廣氏(精神科医)の著書からの引用部分である。
「一人一人が持ち前のパーソナリティを持って、与えられた環境の中で、さまざまな出来事にぶつかり合いながら生きている。ぶつかる出来事をそのつどそこそこ解決できながら生きていられる状態を、精神的に健康な状態と呼ぶ。他方、折り合いがつかなかったり、解決に大きく失敗したりすれば、それが病気あるいは精神失調(行動化・症状化)となって現われる」これを式で表すと、下記のようになる。
         P × Cm × Cph × I = D
           P:パーソナリティ(Personality)
           Cm:環境(Circumstance)
           Cph:当人の体力・能力(Physical)
           I:出来事の強さ(Impact)
           D:行動・症状(Disorder)

 不登校の子どもの状態にもよくあてはまると感じた。一人一人の状況は似たようでも違っていることを充分に心得ておく必要があることを改めて感じた。

 さらに、親が子どもの行動の意味がよくわからないと思うときには、『子どもの行動』に関心を持って見守りながら
  ・子どもにとって今どのような『体験』や『理解』がなされているのか?
  ・何か子どものサインはないだろうか?
と考えてみることが重要だと述べられた。

 また、こどもが回復する過程には、「時間」「人に話すこと」「自分自身の努力」が守られるように支持的に接することを強調され、それには『待つこと』のできる親のゆとりが重要であると強調された。『待ち方』のポイントとして次のような心がけが大切とのことであった。
 ・家庭なりのルールをつくって、生活習慣とコミュニケーションの広がりを保つこと
 ・家族以外の他者と出会う「場」が拡大するよう、ネットワークでのサポートを考え
  ながら、本人の逃げ場を作りながら関わっていくこと。
 ・親自身が、子どもについて「理解できるところ」と「理解できないところ」を整理して
  おくこと
 ・進路の決定時など時機がきたら、情報を収集して子どもの決定を待つこと。
 ・子どもが生きていく上で得意な部分を延ばすための学習の基本を身につけさせる
  ―「わかる」「できる」喜びを味わえるように協力すること

 続いて、第二部では不登校を経験した子どもたちとその保護者の発表であった。不登校を克服して、自分にあったさまざまなコースで学ぶ子どもたちが、多くの大人たちを前に自分の経験と意見をしっかりと発表しているのを目の当たりにして、その成長ぶりを頼もしく思った。保護者の発表には、我が家のこと思い出すと同時に、あの親御さんも子どもといっしょに成長されたのだなあと、連帯感みたいなものも感じながら聞かせていただいた。(momo)


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