♪あんだんて♪レポート


京都子どもと家族と支える会 12月4日(土)

 京都子どもと家族と支える会の2ヶ月に1回の定例会。今回も学校の先生や医師、民間や行政で子どもを支えている人たちが参加し、意見交流をした。今回のゲストは、公立病院の精神科にお勤めのS医師。エネルギッシュに、でもちょっと(かなり?)早口で話をされる。昔に比べれば精神科に受診することの敷居の高さはずい分と低くなってきているように感じると言われる。

 最初に原因が心因性ではない「精神病」についての話があった。具体的には「統合性失調症」、「躁鬱病」、「てんかん」をさすのだが、さまざまな要因による脳の微細なキズ、脳内物質の微量な増減により症状がでてくる。現在では有効な薬があって、副作用を伴うことがあるものの、症状を改善して日常生活に支障をきたさないことも多いようだ。
 
 一方、神経症や摂食障害、強迫神経症など心因性による「精神疾患」は、日常の生活でしんどい、NOという言葉のかわりに自分を防御するサインであり、家族関係をなんとかしてほしいというサインであるのかもしれない。
 気をつける症状として「不眠」。3〜4時間しか眠れない、それが1週間以上続くとき。「体重の減少」にも気をつけてほしい。拒食症の場合、命にかかわることだからBMI値17ぐらいで受診できるといいんだが、もっとひどくなってしまってから受診するケースもある。BMI値・・(体重/身長×身長(m))、標準値22。
 家族内で身動きのとれないとき、例えばお母さん自身もNOと言えなかったりしたとき、第三者のかかわりとして精神科医の力を借りてみることもいいかもしれない。医師とコミュニケーションをとりながら、精神的自立をめざしていく。精神的自立とは許して諦めること、社会性。家族がうまくいくには自分が我慢することだとして不健全家族になっているのではないだろうか。しんどい事を話してみよう。不満があれば不満を感じた相手にかえす、間違ったことも言うけど根底には愛がある健全家族になっていく変化のステップをサポートしてもらえる。上手に反発していけるようなコミュニケーションができるようになると社会復帰ができる。本人が受診の意志がないのに周りが無理に強制しても、本人のモチベーションがないと治療にならない。本人が協力的でない場合は周りの人の援助の方法が中心になる。
 日常の生活でしんどい、NOとか言ったら、がんばりが足らんとか、わがままだと言われることも多いと思う。聞くほうも、しんどいとかNOといわれるとうっとうしい、腹立たしいかもしれない。ネガティブな気持ちを否定するのではなく、どういうことにネガティブな気持ちになるのか、自分の気持ち、相手の気持ちに着目すると、すれ違う気持ちもはっきりわかってくるかもしれない。ここでもコミュニケーションの難しさと重要性を感じた。(ユキ)

S医師は本人を支援するために、積極的に家族や周囲とも関わりともかかわりを持ってこられた。その中から治療の視点を親子のコミュニケションに置き、本人の回復のためには家族関係を変えることの必要性を強調された。その話には納得できるところも多い。

しかし私を含めた不登校の支援をしているものには、不登校など子どもに何かあった時に、それが親の責任だといわれているような印象も残った。確かに不登校の子どもの中にはいろいろな症状を引き起こし、精神科の治療を必要とする場合もあるが、たいていの場合は学校を休めば、家では元気に過ごすことができる。また何らかの症状をだしていても、それは学校に行かなければならないのに行けないという苦悩や、休んでいることに対する罪悪感がが引き起こしていることが多い。それなのに、その症状だけとらえて、あるいは不登校になったというだけで、治療やカウンセリングを勧められ、親が責められているように感じることが多いのではないかという発言が参加者からあった。

 学校に行けなくなった時に最初にかかわる学校現場や相談機関で正しい理解がされていないと、こういう誤解は後を絶たず、親子で余計なしんどさを抱えることになる。これに関してS医師は、学校現場などでの理解の遅れを認め、また親の会など当事者のいる会の重要性にもふれられた。そして「♪あんだんて♪のファンなんですよ。『プロン・トン・トン』を学校に置いて、理解を深めてくださるといいですねえ」なんて言ってくださる。私とユキは心の中でガッツポーズ(笑)貸してあげると返ってこないそうで、随分買い足してくださったようだ。またひとり、理解ある医師と出会えた。

自分たちだけで抱えずに、「No(助けて)」ということの大切さは、私たちも日々感じている。まず安心できる空間で今抱えている肩の荷を下ろし、その中で必要とあれば精神科医など専門機関につなぐという支援がもっと広がり、上手く繋がっていければもっと過ごしやすくなるのにと思った。(さくら)





リストに戻る
♪あんだんて♪日記に戻る