♪あんだんて♪レポート


ノンラベル設立3周年記念例会 
不登校・ひきこもりのチーム・ケアをめざして
9月19日(日)
ノンラベル主催
  
 ノンラベルは援助者と共に歩む家族会ということで個別援助や学びの場を提供してらっしゃる。最初にされる事は、まず本人の状態を把握するということ。どうしてそういう状態が起こっているのかを理解するには、「話す」ことでゆっくり気持ちがほぐれて、正しい知識を得る事で安心感へとつながる。もっとも身近にいる親御さんにまず元気になってよい関わりをもって欲しいと話された。「あきらめない!」がスローガンだそうでなんだか心強い。

  第一部は基調講演として、精神科医である高木俊介先生による「ひきこもりへの理解、医者とのつきあい方」があり第二部では「現場からの報告・援助団体の紹介」として9人のパネラーによるシンポジウムがあった。参加者もお父さんらしき人、ご夫婦でお見えになってる方、教育現場の方など大勢いらしていた。また記念例会というだけあって、会員さんは全員出席のようだ。
 高木先生の講演は、社会背景の移り変わりをわかりやすく話され、過去の政策のつけがすべてまわってきた今の時代は価値観の多様化など混沌とした時を迎えてるとおっしゃって、地域に溶け込むチームケアこそが必要だと話された。そういわれれば、理解されにくい子どもは学校でも特別なクラスに入って他の生徒とはほとんど接触を持たないようにされたり、大人になれば特別な施設に入ったりして身近にいないためにより理解されにくくなった、というのは強く感じる所だ。社会の中では色んな人がいてあたり前なのに・・・。いろんな人と接するとそれだけ関心も深まるのに、「知らない」ではあまりに無責任だと思った。

 第二部の援助団体の紹介では高機能自閉症の当事者の会、親の会、ADHDの親の会など発足してまだ新しい団体でも、のきなみ会員が増えているという。みんな情報や仲間との交流を求めているという事がよくわかる。こころの健康増進センターなどもわかりやすいリーフレット作りなど当事者の声を反映した広報活動をされているようだ。自閉症も今でこそ脳の器質的な問題だと理解されるようになってきたが、ほんの数年前までは親のしつけが悪いなどと言われて当時の親御さん達は相談する所もなく孤独だっただろうと思う。
 日本でも、ドラマなどを通じて少しづつ誤解されやすい子ども達の事が理解されつつあるし、引きこもりや不登校にも関心がよせられる様になって、当事者の声や支える家族の声が社会に向かって出せるようになり、必要としてる援助を求めていける新しい時代が来ようとしている。そして、その時に力を発揮するのは今閉じこもって立ち止まっている人達なのかもしれないと感じさせられたイベントだった。(小梅)

 高木医師は、引きこもりが生まれる社会的要因や状況を話してくださった。日本の今の雇用状況だと、今ひきこもっている人たちがみんな社会に出て就労すれば、今働いている人たちの中に失業者がたくさん出るだろう、というお話に、社会そのものがひきこもりを必然的に生み出していることが実感できた。
 頑張れば報われた高度成長期に社会人の仲間入りをした親の世代は、子どもにがんばれというが、今のこんな世の中では親より成り下がるしかない。そこからどんな生き方を見つけていくか、親とは別の生き方を見つけていかなければならない。もしかすると、今ひきこもっていて考えている人たちが見つけていく人なのかもしれない。というお話に希望が見えた。
 医師としての活動では、精神科のチームによる患者さん宅の訪問治療をめざしておられ、これからの医療に明るい方向を感じさせてくださった。(フェルマータ)



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