♪あんだんて♪レポート


児童虐待事例研究会
8月24日(火)
京都弁護士会子どもの権利委員会主催
  
 今回は保健所の方が発表してくださった。保健所は地域で自然な形で出会える唯一の機関。生後28日以内の新生児訪問も充実されているようだ。乳幼児健診も来所してよかったと思えるように「母親を認める」母親への視点も重視し、支援が必要な家庭に保健所の家庭訪問機能をいかせるようにしている。いまでは健診も子どもの発育状況だけでなく育児不安や母親の心身の状態(マタニティブルーズ、産後うつ病の対応など)や家庭環境にも留意している。子どもを抱えて孤立する母親には「孤立無援感」への共感が必要である。家庭・家族を閉鎖・孤立させないこと。育児の孤立化を防ぐために子育ての仲間作りや虐待・育児困難を抱える母親のグループ(Mother Child Group(MCG))、親と子のこころ支援教室などで支援していく。

 保健師の存在はとても大きな役割を担う、にもかかわらず人口12,000人に1名の割合である。しかも地域別に担当するのであらゆる分野の業務をこなさなければならない。マンパワーも技術的なことも不足している。精神保健福祉相談員も各保健所に1〜2名。週1回、こころの問題全般の相談日を設けている。
 保健所では母子手帳の発行、両親学級、妊産婦健康相談、妊産婦訪問指導、新生児(未熟児)訪問指導、乳幼児健康審査、乳幼児健康相談、離乳食交流会、精神保健福祉相談など妊娠中からかかわるので、様々な事業、機会を通じて虐待の予防・早期発見・援助が可能である。

@ 虐待の予防としてハイリスク家庭への予防的関わり
ハイリスク要因の把握
周産期・・未婚、内縁、若年、慢性疾患(特に精神)、望まぬ妊娠・出産、母子手帳の発行が遅い、妊婦検診未受診察、出産への心身の準備不足、産前産後のうつ状態、長期の親子分離(未熟児、子どもの疾病など)、子どもとのかかわり方の問題、他の家族の状況(疾病など)、1ヶ月健診での様子。
子どものハイリスク・・未熟児、多胎、貴重児(不妊後などに生まれた子ども)、発育不良・発達のおくれ、他児と違う子ども、他児より手のかかる子ども、行動上の問題(しつこい夜泣き、ぐずり、かんしゃく、多動、食行動の問題など)
親自身のハイリスク・・精神障害、アルコール薬物依存、知的障害、慢性疾患、未熟性、暴力的、被虐待歴。
育児状況からのハイリスク・・子どもへのかかわり方の問題、子どもへの理解の問題、育児能力の問題、親子の愛着形成不全、経済的不安、単親・孤立家庭、夫婦不和、DV、育児負担過大(病人がいる、多子など)、その他(適切な医療・健診などを受けさせない、過去の虐待歴疑い)

A 虐待の早期発見、子ども支援センター(福祉事務所)との連携、児童相談所への通告。

B 在宅援助、機関連携の中での役割。とくに乳幼児の育児支援が必要な事例、ネグレクト事例、養育者に精神疾患や育児困難と思われる障害や疾病がある事例、以前からかかわりがあり、保健所がキーパーソンである事例。

C その他、コーディネート機能。

 今回は虐待に関するところだけお話しいただいても業務の多さを感じた。どこでも必要なところのマンパワーは不足しているのでは。マンパワー不足を補う秘策はどこに・・・。
地域のネットワークは行政がちがうので難しいようだ。(ユキ)



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