♪あんだんて♪レポート


日本の中高生の性意識の現状と
これからの予防教育のあり方について
7月2日(金)
京都市内O中学校にて

 O中学校での家庭教育学級で京都大学大学院医学研究科社会疫学 助教授 木原雅子さんのお話しをお聞きした。エイズ予防教育を専門にされていて、ご自身も娘さんがいらっしゃる女性である。エイズ予防教育を通してみる子どもたちを取り巻く環境、大人としてできることはなにかということをお話しされた。

 今アフリカでは人口の30〜40%の人がエイズにかかっている。アフリカに次いでアジアで大流行のきざしがみられる。今の子どもたちが大人になるころ、近い将来日本では予防できるのだろうか。

 最近の子どもたちはテレビゲーム、マンガ、ビデオ、テレビという仮想現実にさらされている。さらに、携帯電話、インターネットなど顔の見えない、機械を通した文字による交流手段が主流になった。小学生、中学生の年代はまだまだコミュニケーションのとり方がうまくできない。例えば「ばかだな。」という言葉ひとつをとっても、相手と対面している場合、にっこりしながら言うと愛情表現になるが、電話では表情が見えないので誤解されるかもしれない。手紙の場合は肉筆で書いてあるが気分の悪いものになる。インターネットなど機械を使ったものの場合だと侮辱の言葉にさえなってしまう。

 携帯電話の所持率は高校生で約7割、中学生で2〜3割である。携帯電話を使うことで仮想の交際ができるので、親しい関係になったと錯覚に陥ってしまうことがある。1日平均20回メールを送り、20回メールを受ける、合計40回メールをしていることになる。親の知らないところでいろんな人とつながっているかもしれない。平均15%の子が出会い系サイトを使ったことがあり、そのうちの7〜8割がメールを交換した。そのうちの3割が実際にサイトの相手と会ったことがある。いろいろトラブルがあることは知っているが、「私は大丈夫だ」と思っている。

 もうひとつの問題はメディアからの性情報の氾濫によって刺激を受けることである。たとえば少女マンガの過激化、大衆化という問題がある。小学生も読んでおり、仮想世界と現実の区別ができていないので大きく勘違いしてしまう。

 性の意識に対する親の認識と子どもたちの意識のギャップは大きい。一般的に子どもたちのセックスに対するハードルが低くなっている。高校生はセックスがあたり前、経験していないと「遅れている」というコンプレックス を持っている。高校生は義務教育と違うから(こんなところに義務教育がでてくる)、女性は16歳で結婚できるって法律にあるからいいんじゃないのという発想があるらしい。男女の交際も「間がもたない」という理由で、つきあい期間が短いので回転が早い。

 日本の青少年の性行動の特徴を簡単に言うと活発化、性的ネットワーク化、無防備化であらわされる。意識調査によると、経験のあるなしにかかわらず、9割の子どもが「危ないことは危ないと教えてほしい」、7割の子どもが「困ったときの相談先がほしい」と思っている。高校生の7割はセックスの経験がないが、このことはメディアは取り上げない。そうでない3割に注目して情報がゆがめられている。大人も子どももメディアから流される情報が正しい情報かどうか冷静に見極めてほしい。

 都会・地方の区別なく、どの地域でも子どもたちがとても危ない状況である。15〜19歳の中絶、性感染症は増加していて、エイズにかかりやすい準備をしているような状況だ。子どもたちに正しい性情報を提供するのも大人の責任である。「大人が真剣にかかわれば子どもは確実に変わる。目の輝きが変わります」とおっしゃる木原先生は、子どもの目を見て、ニコッてわらえるような教育を考えておられる。

 「家庭で無理に性教育をする必要はありません。それよりもコミュニケーションの大切 さ、人間関係は時間をかけて築いていくものであるということを、小さい時から教えてほしい。自分の将来に夢や希望を持てる子どもたちを育てる家庭環境をつくってほしい。将来の設計が立てられる子は今を大切にするので、セックスにも慎重で、予防もします。予防教育で重要なのは生きる意欲・目的を持つこと。将来に対する「希望」が「予防」につながります」と、ここでもまた家庭における日常の会話がとっても有効だと聞き、やっぱり家族関係が大切なんだと感じた。親と子どもの意識の違いはあるだろうけど、機会をみつけたときに、子どもに伝えたいことはさらっと言ってみようと思う。実行することの難しさはあるけれど、やってみようと思うことだけでも啓蒙されたかな。  (ユキ)


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