♪あんだんて♪レポート


不登校生徒学習支援特区中学
「京都市立洛風中学校」学校説明会
6月6日(日)
京都市教育相談総合センターにて

 パトナで開かれた洛風中学校説明会に参加した。この学校は、全国でもまだ珍しい不登校生徒のための公立中学で10月開校を予定している。参加者は、母親らしい人が多かったが、ご夫婦で参加されている方、それに子どもさんご本人、おばあちゃんと思われるご年輩の方など、3〜40人ほど集まっていただろうか。今日は説明会初日。このあと3回ほど説明会は予定されているのだから、かなり関心を集めているようだ。どこかのテレビ局も取材にきていた。

 まず始めに特区中学開設準備室室長の河内さんが挨拶をされた。「子ども本人の自らすすんで学びなおしたいという意志を何よりも重要に考えています。この学校を選ぶかどうかにあたっては、本人・親・在籍中学の先生方と十分に話し合って納得したかたちで決めてほしい」と強調された。「定員は最大50名、今回の募集はこれ以上増やす予定はありません」とも。問い合わせの電話は90件以上というから、当然希望しても入れない子どもたちが出てくる。厳しい…。そして、このような学校を待っていた人は数多くいるという現実。どこからともなくため息が聞こえてきた。

 その後、先生方の紹介。10人ほどの先生方はそれぞれご自分の専門分野の話や実験などを混ぜなから、「自分のイメージする『風』とは?」そしてそこから「洛風中学をどのような学校にしたいと思っているのか」といったお話があった。子どもたちも来ていたから、彼らに向けてのメッセージだったのかもしれない。物静かな温かい雰囲気の先生方であったが、それぞれにこの学校に対する熱い思いを持っておられるようだった。既存の中学の一斉授業ではできなかったことがここではできるかもしれない。一人一人の生徒にじっくりと向き合い、それぞれつまずいたところから丁寧に寄り添っての個別指導。先生方も、この新しい中学に期待し、胸を膨らませているのだ。しかしその一方で、どのお話も抽象的で、まだ具体的には何も決まっていないという印象も持った。どんな子どもたちが集まるかによって、柔軟に対応していく準備ができているとうことなのかもしれないが…。

 洛風中学の授業カリキュラムの説明もあった。授業数や授業内容を大幅に減らすことでより学びやすいかたちになっているという。理科や社会は「科学の時間」、音楽・美術・技術家庭は「創造工房」という時間に統合され、体験学習に重点が置かれる。国・数・英は一人一人の習熟度に合わせて小集団での授業。人間関係の作り方を学んだり、コミュニケーションの場を広げる手助けをするような時間もある。ただし、カリキュラムの特徴上、普通の中学で学ぶ内容をすべて学べるわけではないと言うことは承知しておいて欲しいとのことだった。また「無理をさせない学習指導」を、保護者の方にも理解して欲しいともおしゃっていた。洛風中学は遅れた勉強を取り戻すためだけの中学ではない。人との出会いや体験を大切にし、それらを通して自信を回復したり、新たな進路の手がかりを探したりできればいい。親としてはついつい欲が出てしまうが、たとえこの中学に通えるようになったとしても、成績や進学のことなど圧力をかけすぎないように気をつけなくては。

 入学の申し込みや手続きは在籍中学を通してということなので、とにかくまずは中学側とよく話し合うこと。そして10月の入学を希望するなら、今月中に意志表示が必要だ。7月・8月には面談会と体験入学がある。その後、検討委員会で入学可能かどうかの判定がされる。どのような基準で判定されるのか?それについては何も説明はなかったが、すくなくとも面談会と体験入学、これに本人が参加できることが前提条件と思われる。

質疑応答
Q 高校入試について
A この中学に行ったから不利または有利になることはない。(通常の授業カリキュラムとは違うところは、報告書(内申)でどのようになるのか、そういった具体的な説明はなかった。)

Q たとえば半年後、来年春に入学希望した場合は入れるのだろうか?
A 今回何人中学3年生がいて、何人卒業するかによる。(今の段階では定員50人ということなので、卒業した人数だけ補充するということ)

Q 別室登校や保健室登校ができている場合は?
A 決してそれを理由に入学できないということはない。このままでは十分な学校生活が送れないと考えられるのであれば希望できる。(とにかく本人、そして在籍校との話し合いをここでも強調された。)

Q 分室について
A 通学距離のことなども考えて、月・木・金は京阪「藤ノ森」駅前に学習室を開く。ここでは国数英の個別学習を中心とし、火・水は本校(パトナ内)で「創造工房」や「科学の時間」などをみんなと一緒に受けられるようにしたい。定員50名というのはここの生徒も含めての数である。

 この説明会の後、実際にどれほどの子どもたちが入学を希望するのだろう?そしてどれほどの子どもたちがここで救われるのだろう?真新しい建物や美しい芝生のグラウンドを眺めながら、新しい京都市の試みに大きく期待すると同時に、ここへ通える子どもたちはごく一部に過ぎないのだと思うと、なんだか悲しくなった。
 オフィス街・ショッピング街でもある土地柄。グラウンドに立つと背の高いビルから見おろされているようで、私はちょっと気後れしそうだった。(ラスカル)


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