♪あんだんて♪レポート

京都子どもと家族と支える会 6月5日(土)
京都市中京青少年活動センターにて

 今回のゲストは、長く児童養護施設に勤務されていたTさん。現場での活動を通して感じられてきたことを、いろいろお話しいただいた。Tさんは子どもを支援するとともに、親の支援にも力を入れてこられたということだ。勤務されていた児童養護施設には、「措置(行政処分)」、「ショートステイ」、「相談(電話相談)」の3つの事業がある。電話相談は365日、24時間開設されていて必要とあれば福祉事務所と連携して、ケアにも結びつけるということだ。「プロン・トン・トン」を編集している時にこの電話相談のことを知ったが、救われた親子がどれだけいるだろうかと思う。

 平成12年頃から虐待のために「措置」で入所してくる子どもが増えてきた。かつては家庭にリスクが出てきた時に虐待が始まることが多く、親子関係は崩れていないことが多かった。しかし最近は子どもの愛し方が分からなかったり、虐待の連鎖などで生まれた時から虐待が始まっているケースが多いそうだ。そのため家庭支援の必要性が大きくなっているということだ。

 2003年に若年層のお母さんに実施したアンケートによると、75%の母親が子育てにいらつきを感じているという結果が出た。この時に夫婦や家族、地域の支援が少ないと虐待に至ることが多い。「虐待は決して特殊な出来事ではありません。特殊な出来事と考えることは、当事者を排除することにつながる。虐待をしてしまいそうな気持ちは誰もが持っていると安心感を持ってもらい、受け入れていくことが大切です」という言葉に、Tさんの温かさを感じる。

 子どもを施設で受け入れる時にはしっかりとアセスメントをし、どうしたら親子関係が回復できるかも視点に入れている。その上で親に対しては子育ての大変さを理解し、共感関係を大切にしながら親の中のよい部分を見つけていく。最初は施設に入ることを否定的に見ている親も、子どもが安定し、成長していく姿を見て、「施設」を受け入れていく。その上でボランティアとして施設の運営にかかわってもらい、子どもとの関係の回復を図っている。また状況が悪化した時には両親も含めてケアカンファレンスもしているということだ。

 たまたま読んでいる本では、児童養護施設に入所してくる子が多様化し、また問題が複雑化してケアが大変だと書かれていた。その中で子どものことだけでなく、親にもしっかり視線を向けた支援(もちろんこれは子どものためになるのだが)がこれからも充実していくことを期待したい。(さくら)

 施設で子どもたちを養育、教育することはできても、親の代わりではない。子どもにとってどんなひどい親でも親という存在を大切にされている。 なんらかのきっかけで虐待に移行する可能性のある人たちが多いとも話されていた。 子育てや介護を担う人が家族から支えてもらえなくて、家族もささえる余裕がなくて、それなら社会が支えてくれるかというと、支援があっても知らなかったり、まだまだ不充分だ。参加者からの質問がそれぞれの立場を反映していて興味深かった。支援者からは支援の場に出てきてもらえない場合にどうしたらいいのか。出てきてもらわないと手立てがない。というのが共通の悩みである。 (ユキ)


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