5月の「育ち合う場づくりセミナー」にむけて、
                        4名のゲストに送っていたアンケートが戻ってきました。
                        これを読みながら、伊勢達郎とセミナー運営スタッフ:渡辺が
                        交わしている対話の一部を、お送りします。

育ちあう場づくりセミナーのゲストを語るそのA

  佐藤道代を語る 
 
 育ちあう場づくりセミナー第3回2007/5/2〜4(淡路島)へ
   ・イセタツロウにインタビュー@
      「場づくりセミナーってどんなセミナーですか?」

   ・育ちあう場づくりセミナーのゲストを語るその@
      「松木正を語る」

   ・育ちあう場づくりセミナーのゲストを語るそのB
      「山北紀彦を語る」

   ・育ちあう場づくりセミナーのゲストを語るそのC
      「西村佳哲を語る」

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● 伊勢と渡辺の対話:
その2・佐藤 道代さんのアンケートを読みながら

──ゲストの佐藤道代さんは、ダンサーです。

伊勢達郎:そやね。

──あえて素朴な質問として、ダンサーがファシリテターになり得るんでしょうか?

伊勢:一般的に了解されているファシリテーターのスキル、つまり、"促進者として
構成的に場をまわす役"という意味だと、ダンサーはちがうような気がするよね。
演者やから。
でも、この「育ち合う場づくりセミナー」でイメージしてるファシリテーター像には
バッチリ入る。自分とつながりながら表現してることが、その場に好ましいこと
を起こしてゆく、という意味でね。

──「自分とつながりながら」…。

伊勢:自分の内側に対する共感が、外側との共感につながってゆくということが、
たぶんねえ。
僕は舞台でダンスを踊ってはいないけど、カウンセリングなりキャンプの中で
起こっているのは、同じことだと思う。その人が「自分」とつながっていることが、
その場にいろんな面白いことを起こして、個々の内面を開いていって…というのは、
まさにファシリテーターの話だよ。
同じ意味において、デザイナーの西村さんにしても、パーカッション奏者の山北さん
にしても、ファシリテーターの松木さんも僕も、実はダンサーなんだよね。僕らは、
僕らの踊りをしているっていう。

──それ言ったら、誰でもダンサーじゃないですか?

伊勢:ダンサーになり得る、ということだよね。そして、佐藤道代さんはファシリ
テーターでもあり得るという。
佐藤さんに声をかけているのはね、まずは身体をつかって踊る人だから。
身体をチャンネルにすること。その自分を舞台に上げて人に見せるっていうのは、
アーティストの表現の極地だと思う。踊りってのは、人の根源に触れるインパクト
を持っているよね。踊る宗教、なんてものがあるぐらいで。そんなスゴイことをやって
る人だというのがひとつ。
もうあと半分は、彼女のダンスをなまで見てとても感銘をうけた。惚れこむ部分が
あったんだよね。人間的なかわいらしさも。純粋で頭のいい人なんだけど、
とにかく本当にかわいらしい。全国教育系ワークショップフォーラムの第一回で、
真砂さんとのパフォーマンスを見た初対面の日にね、単純にミッチーが好きだなーと思った。

──佐藤さんは、普段のお仕事でもファシリテーションをしているんでしょうか?

伊勢:そもそも彼女が継承しているイサドラ・ダンカンのダンスが、
ワークショップ・スタイルというか、単にスキルを教えるだけのダンスじゃないからね。
それぞれが自分の内側の動きを感じたり、身体の感覚をていねいに辿っていったり。
模倣するトレーニングだけで終わらない。でも、ダンスってそういうもんだろうと思う。
その鍛錬をかさねてきた人だし、学びたい人たちにむけてその橋渡しもやってるわけ
だから、まさにファシリテーションしてるよね。

※イサドラ・ダンカン
20世紀を代表するダンサー。モダンダンスの祖。早くから古典舞踊を学んだが、
その慣習的な動きに満足できず、自分自身の創作する自由な舞踊を考えた。
20世紀のダンス、舞踊だけでなく、身体表現のかたちそのものを変革したといわれる。
(Wikipediaより)

──佐藤さんは、昨年のセミナーは残念ながら怪我でお休みでした。
一年のブランクをどう思いますか?

伊勢:去年は来れないプロセスが動いたということだし、今年は来れるプロセスが
動いたってことなので、それを大事にしたいな。
自分の身体がいちばんのツールだったのに、その身体を一回こわしたわけだ。
たいへんお骨折のことと思います。

──舞台もようやく始まって、怪我からの再生復活。もう復活できないかも…
ぐらいの話だったのに。一時的なものとはいえ、ダンサーが踊れないっていうのは、
大変なことだったでしょうね。

伊勢:まだ再生の途上だから、まさに揺れの中にいるんだろうね。
そんな時期だというのも、いいなって思ってる。まさしく再生したところ。
沢山のことが起きたはずだし、また新たなミッチーになっているんだろうな。
僕らのはかり知れないことがおきてるんだろうなあ。

──もうじき、海外の方とご結婚されるんですよね。日本を離れてしまう。

伊勢:アンケートにも「自分の場が定まらない故の、揺れを体験しています」
とあるよね。「私的な場づくりと公的な場づくりの、両方のプロセスにあります」。
そりゃそうだろうな。(笑)

──ちょうど変わり目の中にいる、佐藤道代さんとの時間。
おもしろいでしょうね。


次号(3回目)は、同じくゲストの山北紀彦さんのアンケートを読みながら、
また伊勢達郎と 担当渡辺で語り合います。お楽しみに。