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TOEC代表 伊勢達郎
──トエックでは年間を通じて、たくさんのセミナーやキャンプを行っていますが、伊勢さんにとってこの「育ちあう場づくりセミナー」は?

伊勢:「いちばんゴージャスな遊び」。もうひとつは「総決算」。自然と人とのつながりの中で、その人の存在が大切にされ、共感の中で人が成長する。TOECの活動全部に共通するこのことを、シェアするというか公開するというか。2007年で3回目。…最終回やね。

──毎年、参加した人には好評だけど、外からは「何を学べるのかよくわからない」という声もあるみたいですよ。

伊勢:学べるのは「自分流ファシリテート」と、その「自分流ファシリテート」をこえてゆくことだよ。

──即答ですね。

伊勢:このシリーズの前におなじく3年間やった「ザ・ファシリテーションセミナー」は、巷のファシリテーション講座へのアンチテーゼやった。世の中の多くのファシリテーション講座の内容は、だいたいがスキル・トレーニング。歯車になるような練習ばっかりやらされて、みんな知的に学んだつもりになる。
でも実際の現場にもどったら、全然いけてない状況に陥ることは十分予想できるし、その場の演習でもあきらかだった。そういうセミナーへのアンチからスタートしたわけ。
「育ちあう場づくりセミナー」は、その発展系やな。ファシリテーターはね、場に決定的な影響を与える存在です。とはいえ、場に何かを与えているわけでも、その場をすすめているわけでもない。彼(ファシリテーター)がコトを起こしているわけではなく、起こしているのはプロセスであり、その場なんだよ。
そのことを、僕らも学んだよね。セミナーでもアートでも同じ。「オレがやったら感動させられるんだぜ」って言うアーティストなんて、たいしたことないやん。

──「自分流」というと?

伊勢:学びたい人は、自分が持っていないものを手に入れたがるし、自分の中の武器や鉄砲やを一生懸命みがきたがる。でもそうじゃなくて。欠点だと思っていることも自分の宝物で、それを受け入れることで、そのことも使いこなせるようになる。持ち味を大事にしながら、ちゃんと場にいることができるようになるんだよ。

──…ファシリテーション・上級者編、なんでしょうか?

伊勢:気になってるんだよね。そう思わないで欲しい。基礎講座なんて吹っ飛ばして、まずは滝に打たれましょうと言いたい。共感からはじめましょう、って。気づきとか出会いとか、そういうところから。自分が持っていないものじゃなくて、持っているのに気づいていないこと、使えていないことを探る。向かうベクトルが違うんだよね。

──素敵だと思うファシリテーターのやり方をメモしたり、真似たりするのは意味がない?

伊勢:いや、それは散々すればいいと思う。偽者でも何でもね。1000本ノックみたいなもので、そういう練習も必要で、それはそれでやればいいんよ。あんなふうになりたいと憧れて、知らず知らず口調が似てきたり、同じ様なことをやってもいいと思う。
でも、自分じゃないからな。それでは足らないわ。
その全く逆の方向から、自分のファシリテーションに迫っていくことができるやん。ファシリテーションと自分の人格は、切り離せんのだから。自分の器。器を大きくするとかいう話じゃない。自分がその器を、丁寧にちゃんと大切に扱うかどうか。要は存在だから。
自分の存在を大事に扱わない人は、絶対に人の存在も丁寧に扱わないから、おのずと操作的になる。こんなのダメ、こうした方がいいって、人に対してなる。自分を否定し、欠損しているものを足そうとしてる人は、他者に対しても必ずそうやん。
たとえちっちゃな器でも、その大きさを知り、例えちょっとしか入らんでも、それを慈しんでね。そういうことを満喫できるような方向、いのちの方向へ向かえるなら、他者に対してもそういう風に向いていけるやん。
そうなると、大きいとか小さいといった比較まで変わってくる。大きいからいいとか、小さいからまずいとかじゃあないんだよね。

──そのことが学べる?

伊勢:学ぶチャンスはある。高飛車に聞こえるかもしれないけど、それが事実だよね。だって学びは、学ぶ側の話だもの。でも、その人が今の必要とする部分にフィットするものが必ずとどく。

──このゲストの方々を選んだ理由は?

伊勢:松木正さん、佐藤道代さん、山北紀彦さん、西村佳哲さん。僕の手ごたえかな。この人なら、って感じ。そういう質をもっているだけじゃなくて、生の手ごたえ。
TOECの健やかな部分を上手く抽出して、スパイスというか触媒というか、化学反応の起きるような人をゲストに招いて、興味関心のある人たちが集まって。こんなこと、そう再々出来ることじゃない。そう再々やってたらつまんないな。ご馳走はたまにでいい。
これまでの2年間は、主催者のTOECやゲストが最も過激に学んだと思う。次はそのお返しをすることができると思う。1・2回目の参加者は来ないと損だと思うな。

(2006.11.16 自然スクールトエック事務所にて)

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 主催者・TOEC代表伊勢達郎にスタッフがインタビューを試みました。