シラカシ  Quercus myrsinaefolia

シラカシ(平城宮跡:2008.9.17.)

シラカシ(平城宮跡:2008.9.17)

ブナ科* コナラ属(アカガシ亜属) 【*APGⅢ:ブナ科】

Quercus:quer(良い)+cuez(木材)  myrsinaefolia:Myrsineのような葉の

カシというのは、いわいるドングリのなる木のうち一年中葉をつけている常緑性のものをさし、同じドングリのなる木でも落葉性のものはナラとかカシワと呼んでいます。カシとナラとはドングリの帽子(穀斗)の様子が違っていて、カシの方はリング状になっているのに対し、ナラの方は小さな鱗片状のものが瓦を並べたようになっています。この両者はそれぞれアカガシ亜属、コナラ亜属として区別されていますが、例外はウバメガシで、常緑性ですが穀斗はコナラ形です。シラカシはもちろんアカガシ亜属に属します。

シラカシはアラカシウバメガシとともに公園樹や庭木としてもっとも普通に植えられているカシです。大阪の山の中ではアラカシのほうが圧倒的に多いのですがシラカシもかなり普通に自生しており、ほかのカシ、たとえばアカガシやウラジロガシなどにくらべればはるかに多いといえます。

シラカシという名前がどこからきたのかは、葉や樹肌を見ていただけでは見当がつきません。しかし、林学関係の本をよみますと材木の色がアカガシにくらべて赤みが少ないからこの名が付いたと書いてあります。

アラカシとシラカシは典型的な形態のものを比べるとかなり大きな違いがあって、混乱することはありません。すなわち、アラカシは枝は太く葉は大きく、葉の裏には硬いはっきりした羽状脈が目だっており、その名のとおり無骨な感じがします。一方、シラカシの方は枝は細く、また葉も細長くて羽状脈もそれほど目立ちません。さらに葉の裏の色を比べると、アラカシの方は白いのに対し、シラカシの方は灰緑色で、必ずしも白くありません。ただ、両者は葉の形や表面の色などが酷似する場合があり、全く区別ができないことがあります。その場合でも葉の裏を見ますと区別ができます。

カシ類は昔から有用材として人々に重用され、シラカシも農耕具の柄、大工道具などに用いられてきました。また葉には多量のタンニンのほかフラボノイド、トリテルペノイドなどを含み、媒染剤、なめし皮剤とするほか、民間薬で胆石症や腎結石に用いられ、結石溶解および形成抑制作用があるとされます。