箕面にかぎらず、関西の山でもっとも普通にみかけるカシはアラカシです。 山をあるいていて、名前のわからない常緑の高木に、あてずっぽうでアラカシといえば正解だった、というのもありそうなことです。
大阪にあるカシの仲間で比較的よく見かける種類としては、 アラカシのほかシラカシとウラジロガシがあり、また少し標高のたかいところ(500mくらい) ではアカガシがあります。
これらの中で、アカガシは葉身の形が巾広でアラカシによく似ていますが、 生えている所がやや高いこと、若葉の時褐色の毛が多いこと、葉のふちに鋸歯(きょし) があまりないこと、 葉柄が特に長く、2~4cm、葉身の1/3くらいに達することがあることなどで区別できます。
区別の一番容易なものはウラジロガシだとおもいます。
ウラジロガシの葉は比較的狭くて小さく、葉身の上半分に鋭い鋸歯があります。
そして、葉の裏はロウを厚く塗り込めたような感じのロウ白色で光沢があり、
同じように葉の裏が白いといっても、粉白色のアラカシとは明らかにちがいます。
ウラジロガシという名前がぴったりの木です。この種類はやせ尾根とか山頂付近のやや乾燥した所に多いように見受けられます。
アラカシとの区別が一番むつかしいのはシラカシです。
全体として、アラカシの葉はシラカシにくらべて巾広で、堅い感じがしますし、
シラカシの葉は狭長で、枝も細くやわらかな感じがします。
典型的な両者を比べますと一見して区別できますが、両者ともに変異が多く、葉の表面を見ただけでは全く区別のつかない場合も少なくありません。
そのような場合でも、葉の裏面を比べますと、アラカシには目立って突出した側脈があり、 葉身部分はロウ質の物質でおおわれて粉白色になっている (ただし、ウラジロガシほどの光沢はない) のに対し、 シラカシでは側脈も細く、ロウ質の物質も少ないため、葉の裏は緑色となっていることで簡単に区別できます。
また、アラカシの葉身はやや硬くてもろいせいか、葉身の中肋に沿って上の方からびりびりと裂きますと、のこぎりの歯のようにギザギザに破れますが、シラカシの方はこれほどきれいには破れません。
シラカシの「白い」というのは材の色がアカガシの紅褐色よりも色がうすい、ということから来ていて、葉が白いという意味ではありません。