ウバメガシ  Quercus phillyraceoides

ヤマアジサイ(大阪府立大学:2000.8.7)

ウバメガシ (大阪府立大学:2000.8.7)

ブナ科* コナラ属(コナラ亜属)【*APGⅢ:ブナ科】

Quercus: 良い材木 phillyraceoides:Phillyracea(モクセイ科)に似る

ウバメガシのウバメとは姥芽という意味で、新芽の色が茶褐色であることによります。

ウバメガシはもともと海岸性の樹木で、強い潮風や海風に耐えられるよう、他のカシ類に比べやや小型の硬い葉をつけています。一般に、葉の表面は黒みを帯びた緑色で、裏面は色が浅くなっています。大変強い萌芽力を持ち、刈り込みにも耐えるので、もっぱら公園や人家の生け垣に使われています。そのため、一般には背の低い潅木状の姿で目にすることが多く、造園的にも潅木として扱われることが多い様です。しかし、元来は高木種ですから、ところどころで大変大きくなったウバメガシを見ることがあり、直径が30cmを越えることも珍しくありません。たとえば、大阪市住吉区にある住吉大社の境内に大きな木が数本あります。

ブナ科の樹木は昔から炭を焼くのに非常によく使われてきました。ウバメガシも例外ではなく、この木で焼かれた炭は備長炭(びんちょうたん)として珍重されています。元来、ウバメガシの風乾材の比重は0.99もあり、 他のカシ類の比重0.75~0.85にくらべ非常に重いといえます。そのため焼かれた炭も大変硬く、叩くと高く澄んだ音が出ます。太さや長さをうまく切り揃えて木琴のようにした「炭琴」をつくり、小学生が演奏するのをテレビでみかけた方も多いのではないでしょうか。

京都府立植物園1999.8.15 ウバメガシには葉が細く、シワシワになり、裏側に強く巻き込んだ園芸品種「チリメンガシ」があります。チリメンガシは「ビワバガシ」ともいうそうですが、大阪府立大学にも3本あって、実がたくさんなります。自分で確かめたわけではありませんが、チリメンガシの実を播くと、正常なウバメガシとチリメンガシの両方が出てくるということです(写真:京都府立植物園(1999.8.15))