ORIGINAL LOVE presents《BURST!》

第87回 (2000年11月23日放送)


<オープニング>
T「今日は特に理由はありませんが『リコメンド拡大版』をやってみようと思います。」

M-01.愛の薬/オリジナルラヴ

<近況>

 言わずもがなライヴ期間でありまして毎日毎日もうライヴ、ツアー中という事で東京にはあんまり戻ってないんですけども。よくツアーが苦手だとか言うアーティストいますけど、まあ僕なんかワンツアー20本とかそんなもんなんで「凄い好きだ!」なんて言ってられますけど。ビッグアーティストとかライヴたくさんやるアーティストになると年間100本200本とか半年以上1年とか1年半とか、ひどい人はなんか2年とかね、ずーっとツアーやってたっていう(笑)。まあそこまでやるとちょっとおかしくなるんじゃないかと。そいでよくありがちですけど、アメリカや世界でずーっとツアーやっていてもう体調もおかしくなっちゃって、やっぱバンド辞めるとか言い出すメンバーも出てくる。そういう気持ちもわかるなーという感じもしますが。やっぱりね、40本50本とかなってくると段々段々こう日常生活からかなり離れて行くと言いますか、別モノの生活サイクルに入って行きますんでね、結構日常に戻ってくるのが大変だと。あるアーティストは2年ぐらいやっぱりツアーやってて。で、普通の生活に戻るのに半年ぐらいかかったって言ってました。何も出来なかったってツアー終わってから半年ぐらい(笑)。それぐらいちょっとこうかっ飛んでる。でもまあ僕はね、基本的にツアーそれぐらいやってみたいな1回ぐらいならと思ってるぐらいでありまして。それぐらいツアーが続く毎日というのが好きである訳なんですが。

<今週のリコメンド>

 今日は何故かゾンビーズです。なんかゾンビーズって1年に必ず何回か聴く…確認の為に聴いてるっていう(笑)って感じでありまして。1年のうち何回か聴いてまたハマってまたちょっと別の聴いて…そういうのが10年…もっとですね15年ぐらい続いてる訳なんですが。ゾンビーズのこのメロディラインの完成度、3分間のポップスとしての完成度は凄いもんがありますね。ゾンビーズちょっと評価されなすぎだ!まあされてるんですけど既に相当。それでももっとされていいんじゃないかっていうぐらい。コリン・ブランストーンが多分曲書いてると思うんですけどあの人は天才的ですね。すーごいな。ゾンビーズ辞めてからソロアルバム出しててね、カルテットとかオーケストラをバックにずーっと歌ってるアルバムあるんですけどそれも素晴らしいんですが、やっぱねゾンビーズの時代の曲もホントにいい曲がたっくさんある訳でどれかけていいか。まあスティービーワンダーも評価されてますけどメロディーがいいとか。ビートルズもジョン、ポールも評価されてますけど、ゾンビーズのソングライティング凄いんじゃないかと僕は思ってる訳ですが。という事で今日は『オデッセイ&オラクル』から1曲。これはゾンビーズ最後のアルバムですね。このアルバムの完成度も凄いです。それともう1曲他のアルバムから。2曲続けて聴いて下さい。

M-02.ケアーオブセル44/ゾンビーズ
M-03.テルハーノー(from『ゾンビーズII』/ゾンビーズ

 いやぁ、いい…曲ですね。もうゾンビーズは何かけていいか迷うぐらいホント名曲ばかり。ソングライティング、コードとかメロディの感じは20才過ぎの頃随分勉強になりました。もの凄いうまいですね。これレノン/マッカートニーをちょっと越えてるかもと思える時もあるぐらいホントに素晴らしいメロディライン、ソングライティングだなと思う訳でありまして。

<リコメンド拡大版>
 今日のテーマは『ロボ声ミュージック大集合!!』ビックリマーク2つ。
 【最近とみにムーグする事が多い気がする(わかりやすいところでは半年くらい前のグローブのシングルとかレディオヘッドのニューアルバムもある意味そう)】ていう感じですが。
 【ボコーダーなどを駆使してボーカルの音質をロボットのようなものに変質させたものを総称してこう名付けてみた。が、このジャンルの草分けとしてはなんといってもクラフトワーク(そしてそれを受け継いだのは当然YMO、そしてその後電気グルーヴ…)】なんて書いてあります。
 【彼らの音楽のボーカルは殆ど全てロボ声】…まあボコーダーって楽器使ってますけど。最近はプラグインっていうコンピューターのハードディスク取り込んでそれでソフトウエアでいろいろこう声を変えていくっていうのやってますけどね。
 【基本的にテクノ、エレクトロの領域ではその性質上かなりポピュラーな手法という…】そうですね。【…逆に普通のポピュラーミュージックフィールドではグローブの例でわかるようにどうしても単に奇をてらったものに聞こえてしまう。が、今やコンピューター上でピッチなど簡単に修正できて、おまけに何のエフェクトもかかってないボーカルは殆ど無い時代】…あ、俺のボーカルねエフェクトかかってないんですよ。なーんつって(笑)。コンプとかはかかってるかもしんない(笑)。【そういう意味では今は全てのポップスがロボ声と言えなくもない】

 そうだね。今の…ピッチシフター…じゃなくてピッチ修正する、えーと…オートチューン!ね。今出てるポップスほとんどあれがかかってるらしいですけども。自動的に声のピッチが合っちゃうっていう。そいで、オートチューンオペレーターっていう専門の人が、ガシャガシャガシャって「こんなもんでどーですかねー」「オッケー」みたいな。で、そういうのがあるみたいで、あれはまあロボ声になるかもしんないですけど。
 最近オートチューンかけた、逆にこう逆利用してわざとピッチ変えたみたいな声してる洋楽結構あったりして。マドンナの一番新しい『MUSIC』とかあれも多分オートチューンではないかなと。それかローランドから出てるVP9000…段々楽器の話になってきました(笑)。ローランドのVP9000っていうのはオートチューンをもっと進化させたような楽器でですね。何つったらいいんだろうなぁ…声入れるとキーボードで全部、それで和音になったりピッチになったりいろいろできるそういう機械なんです。まあそういったものを使ってロボ声も進化していくという感じなんでありますが。

 ハードディスク、プラグイン、ソフトウエアミュージックっていうのはアンダーグラウンドなシーンでもかなり進化してるみたいでね。エレクトロニカとかいろいろ言われますけど。こないだインビテーションのハガキがきまして行くかどうかわかりませんけど『ラップトップオーケストラ』っていうのがありまして。パワーブック使っていろいろプラグインで音を出す、そういう人達が集まってオーケストラを作ってライヴをやるという(笑)そういう案内きてました。まあ次世紀っぽいなという感じがする訳ですが。

 まあそういう音楽もありつつ。でもねやっぱ僕としてはゾンビーズ。みたいな(笑)話戻りますけど。あーいうのもあっていいじゃないかと。なんかみんな一様になっちゃうのがつまんないなーっていう気がして。なんかほらみんなやっぱりこう、ケンカ強そうなとか病気(←?)凄そうなとか…そういったものだけがカッコイイ、凄いっていう風潮ってのはね、これにはかなり反感を感じますね。
 なーんで!男の人達がみんなそうなんですよね。男性は音楽聴くにはやっぱり、強いとかさ、意識凄いしてますよね。80年代後半から…90年代に入ってから特にそうなっちゃいましたね。何ていうのかな…メロディアスなポップなんていうのはなんかこう聴いてると恥ずかしいとかなんだかんだ…そういう風な事になっちゃう。それにはかなり反発を感じる訳なんですが。やっぱりだからね、男があまりにも音楽聴く時逆に不自由になってるんじゃないのかなと。いいメロディーをいいメロディーとして聴けなくなっちゃってる…なんかそういう雰囲気があるのかなという気もいろいろする訳なんですがね。あのーなんかいろいろ話してしまいました。

***
 では今日の1曲目。ロボ声特集なんでね…ロボ声ってまあ…かなりモンドの響きありますね。あのー(笑)いろいろしゃべっちゃって…だからクラフトワークとかボコーダーのロボ声してるのもあるしプラグインでやるのとかいろいろ他にもある訳なんですけど。では1曲目。

M-04.ワンモアタイム/ダフトパンク

 このロボ声はオートチューンかな?多分。それかローランドのVP9000。
ボコーダーのロボ声ではないな。今っぽいなという感じですけども。

***
 続いてのロボ声音楽行きたいと思います。

M-05.バイーザ/トシユキヤスダ

 【ロボ声でボサノヴァをやるという一大コンセプトアルバム。ロボ・ブラジリア。全曲ハイクオリティで文句無し】という事ですけどね。
 安田さんは京都在住のクリエーターで初期ファンタスティックプラスティックマシーンのメンバーだったらしいという事ですけど。あのエルートパスコール(エルメードバスコアール?)のこういうロボ声ボサノヴァみたいなアルバムありましたけど、前にもこの番組でかけておりますが(第11回)それのなんかハードディスクバージョンという感じがして…と思いました。

***
 次。アンドロイドシスターズ。

M-06.ロボッツアーカミング/アンドロイドシスターズ

 カッコイイですね。これはテープのピッチをちょっと変えて…あとなんかもう1個違う事やってるでしょうね。ピッチシフターかけてんのかな。それとかあとシンセに溜息を突っ込んで、はぁ〜とかなんかいろいろ凝った事をやっててアレンジもいいし、カッチョいいですねこのアンドロイドシスターズ。全然知らないですけど。これは二見君が持ってるレア盤らしいすけど。
 【ヤン富田さんのコンセプトアルバム『DOOPEES』の発想の元となった全編テープ変調させたギャル声をボーカルに使用したド変態モノ】という事ですね。【84年の作品なので単にエレクトロからヒップホップの成分を抜いたものととる事もできる】と書いてますけど。
 そうすね。でもグルーヴィーですよね結構。カッチョええなと思いました。これは欲しいなレコード屋で見っけたら買うな絶対。

***
 次は、リッチーローム。

M-07.ディープ/リッチーローム

 【ソウル界もロジャーを始めロボ声モノ…】まあこの場合は正確に言うとトーキングモジュレーターですね。チューブを口に入れて頭蓋骨を…そのチューブの先にはね…僕持ってるんですけど、スピーカーがついてるんですね。
 で、スピーカーでギターとかベースとかの楽器の音を振動させてその振動さした音がチューブを通って口に(笑)くる訳ですね。で、その頭蓋骨をこう振動させてもの凄いデカイ音がかえってくるんですよあれ。で、ずーっと使ってると痛くなってくるんす、頭おかしくなるバカになるとか言われてる楽器なんですけどね。それをマイクで拾って声にするってヤツで。
 【この曲は70年代のディスコフリーク感と相まって得も言われぬエクスタシー…】ね!いいですねー!【リッチーロームはフリーソウル界のアレンジャー…】なんすかね?はあー。【変わったおじさんです】
 そう変わってる確かに。シンセのアレンジもいいし。これはねベースにトーキングモジュレーターかけてるんですね。珍しいですね、普通ギターとかシンセにかけて。ロジャーとかはシンセにずーっとかけてやりますけど。ベースにかけてずーっとウガウガやってる…なかなかかわいくて結構しゃれてる曲ですねこれ。トーキングモジュレーターをずーっと使うと体に良くないっていう(笑)話は本当なんすかね?でも確かに僕がやってみましたけどすっごい音きますね。バーーン!って。で、ロジャーもう死んでしまいましたけど、ロジャーのライヴ行った時はあのシンセ付きのトーキングモジュレーターが4台ぐらいあったかな。ステージの右と左にあって、あと真ん中にも2台ぐらいありましたね。で、トーキングモジュレーターで全員でコーラスとか(笑)なーんであんなにあれにこだわるんだね?と思いましたけど。どの曲もどの曲もあれでね。そういうのを思い出しました。

***
 という事でロボ声特集。この4曲で終わっちまうのはなんかもったいない。もうちょっとこれたくさんいろいろ聴きたいなあという感じですけれども。はい。という事で『ロボ声音楽特集』でした。

<エンディング>
 さっきそれで言うの忘れちゃいましたけど、今日のロボ声特集の前半というか最初の2曲ねダフトパンクとトシユキヤスダ。これ明らかにハードディスクレコーディングの音質だなと、こうありありとわかる訳なんですけど。で、3曲目アンドロイドシスターズからいきなりこれはアナログテープの音。リッチーロームのヤツもそうだなと。
 これはもう自分のその何ていうのかな…やっぱ俺も20世紀の男なのかと(笑)思う。やっぱりねこの3曲目以降のアナログサウンドのほうがどうしても好きだなという感じがしてしまって。ダフトパンクとかトシユキヤスダ、これも恐らくハードディスク、プロトゥールズかなんかに入れてやってるんだろうな。で、プラグインでいろいろこう…特にダフトパンクの新しいやつなんかもろプロトゥールズ・プラグイン攻撃!みたいな感じで、音がやっぱり薄いっつうんですかね…なんか立体感がない非常に三次元的というか…じゃない二次元的か…わかんねーや(笑)二次元だな平面だから。あの二次元的なんですね。アナログとかは凄く三次元的なこう広がりっていうかそういった何かこう…あのー何つったらいいんでしょうね…この物!?音がなんか物みたいに重みまで、音の重力まで感じ取れる事ができるんだけど。
 なんかこうねハードディスクの音っていうのはベターっとしてて1個1個の重力っていうのがあんま感じられない気がしてね。最近自分でプロトゥールズ使ってるんですけど思いっきり(笑)。ちょっと煮詰まっててハードディスクサウンドにね。で、ついつい…まあ今回のビッグクランチも全部結局アナログにしちゃったんですけど。なんかまたアナログサウンド…もう何回ぐらい戻ってんだ?もう(笑)10回ぐらい戻ってんだ。またなんかねやっぱりいいんじゃないかってもう1回言いたい!ここで。みたいな(笑)気がする訳でありまして。という事で今日はいろいろ音楽についてしゃべっちゃいました。



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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki