ORIGINAL LOVE presents《BURST!》

第70回 (2000年7月27日放送)


<オープニング>
 
T「今日は『ビッグクランチ・仮想B面特集』。アルバム後半部分の特集でご
 ざいます。これでアルバムの全曲紹介達成!という事で。」

M-01.ダブルバーガー/オリジナルラヴ

 仮想B面1曲目。イントロにちょっとノイズ入りましたけども、これアナログ
レコードかけて聴いた事ある方…今もう珍しくなってきたんですかね?そんな
は事ない?プチプチとなってダブルバーガーが始まると。日替わりでA面B面と
聴いて頂くのも良し、続けて聴くも良し。とにかく今回は意図あってA面B面に
分けさして頂きまして。今日はその仮想B面特集。

 「ダブルバーガー」。この歌詞の内容ですが「噛んでやるぜ」「ケツ噛んで
やるぜ」っていうね。だからダブルバーガーの肉の間に何かがあるみたいな…
そういうような歌詞でありまして。この歌詞のアイデアが木暮。僕が煮詰まっ
て彼に電話したところ、彼のアイデアでそういう歌詞になりまして。この曲の
歌詞のエッチさは木暮のエッチさだ。と責任転嫁をここでしたいと思っており
ます。

<近況>
 今現在も僕はプロモーション真っ直中で、今日もたった今大阪から帰ってき
まして。全国津々浦々廻りましたけども今回のアルバム程人によって…媒体に
よってと言ったらいいのか…反応の違うアルバムないですね。凄い温度差です。
ウケる人にはもの凄いウケますね。そうでもない人には「どーもこんにちはー
聴きましたアルバムー良かったですーどーもー。」みたいな(笑)通り過ぎる
人にはどんどん通り過ぎてしまうという、そういうアルバムなんだって事に改
めてプロモーション全国廻って認識したという感じでありますけど。皆さんも
元気になってもらうにはどうしたらいいか!という事を考えまして今回のアル
バム作ったようなもんなんで。ホント今回のアルバム聴いて元気になって頂き
たいと思う訳でありますが。それでは引き続きビッグクランチから聴いて下さ
い。

M-02.MP/オリジナルラヴ

 このMPというのは「Missing Person」の略…MP3のMPでもいいや…これはウィ
リアムバロウズの「赤い光の街」の小説の中で捜査官が「アイツは今MPだから」
と言うんですけども。この小説読んでてMP、この行方不明者というのが引っか
かってきまして僕の中で。去年一昨年と自分探し系といいますか、そういう曲
の歌詞多かったでしょ?いろんなJ-POP界での歌詞ね。自分を探して何とか…っ
て。そういう歌詞があまりにも多いなあと感じまして。という事はやっぱり皆
さん行方不明感といいますか自分行方不明感というのが歴然とあるのかなあな
んて事をいろいろ思いつつ歌詞を書いていってMPという曲がなんとなく出来上
がって。この曲の歌詞カード見て頂くとわかるんですけども、コンピューター
の文字化け状態に近いような歌詞になってまして。文字化けと行方不明者とね、
そういうオリジナルラヴの…うーん、なんというかラップではないな…ではな
いけどラップ的な…なんつーの?言葉の入り方って感じのなんか変な曲ですね
MP。この曲は最初はもっとヒップホップっぽかったですね。なんかこういう形
になってしまったという感じですけども。

***
 次の曲は「殺し」。これはピチカートファイヴの小西康陽さんが作詞で僕が
作曲というピチカートファイヴ時代以来のコンビネーションで約10年振りです
ね。非常に仕事をしてて感慨深いものがありましたけども。この「殺し」とい
うタイトル、素晴らしいですね。今回のアルバムをまさしく小西さん理解して
くれたなと思う訳でありますが。今回の歌詞とタイトルを全部小西さんに渡し
て、その上で最後にタイトルこの曲決まりまして「殺し」ときた時はビックリ
しましたけど。歌詞の世界としてはちょっとセクシーなどっか昔の日活ロマン
の世界にも通ずるそういったこう妖しいSM感といいますか、も漂いつつ…曲の
モチーフが最初はよくヤングスターラップとかヒップホップとか、イタリアン
マフィア、イタリア音楽…第三の男とか…ああいった音楽をモチーフにして、
ネタにしてるのが多くて、じゃあ第三の男で使われてるチター、ああいったモ
ノのリフみたいなのをやろうよってところから始まっていろいろぐだぐだやっ
てるうちに段々違う変なモノになっていったという感じですけども。

M-03.殺し/オリジナルラヴ

 この曲の歌の感じ、歌詞の感じ、改めて黒沢年男のようだなあと僕は思った
訳ですが。黒沢年男って知ってるかな?今回「愛の薬」先週かけましたけど、
それは寺尾聡っぽいなあと。なんかそういう自分的フィードバック感っていう
のがありますね。黒沢年男も忘れられた男のロマンっていうのを漂わせていた
人だと思える訳ですが。今回のアルバムの…いろんなテーマありますけど…た
くさん数あるテーマの中で男のロマンっていうのがありますねきっと。これは
僕なりにハッキリとした意識を持って男のロマンでやるんだー!という風に思
ったところではないんですが、出来上がってみるとそういった無くなった男の
ロマンというものがなんかあるなあと。男のロマンっていう言葉自体バカです
けども、そういうバカさ加減、長島イズムといいますか矢沢主義といいますか、
そういうなんていうのかな…もうフルチンで新世紀に突っ走ろうよ!っていう
感じの男のロマン?俺的には(笑)なんかそういうモノが今回漂っているかと
思う訳でありますが。

 やっぱり今ね、特にティーンエイジャーの方とか、女の子よりも男の子がち
ょっと元気ないなって感じがするんですね。で、その裏返しとしていろんな事
起こりますけども。女の子のほうがヤマンバしたりとかいろいろブイブイ…街
に出てくる子は明らかに女の子の方が多いですからね。渋谷とか行くと2/3ぐ
らいは女性みたいな。やっぱね今回のアルバムは…男女均等に捧げますけど、
でも特にティーンエイジャーの男子に僕は捧げたいと思いますね。フルチンで
新世紀に向かって走っていけよ!と。ね。そういうアルバムです今回のは。

***
 次は引き続き「液状チョコレート」。この曲のモチーフになってるのはもう
AVです(笑)。AVでバックに流れてる悲しくなるような打ち込み…テクノとか
ありますけど、あの音楽をちょっとどうにかして欲しいなっていう感じがある
訳ですが。あの打ち込み感、テクノ感っていうのが今回のアルバムにもやっぱ
り必要だろうと思った訳ではないんですけども、あのーやっていくうちにそう
いう意味性を帯びるかもしれないなこの曲はとね僕は思えてきてしまいまして
ですね。で、この曲には絶対AVっぽい歌詞を作ろうっていうか、要するにイヤ
らしいね歌詞をつけようと思いまして「液状チョコレート」と。これは黒人の
ブラックミュージック、ブラックコンテンポラリーにこういった表現もありま
すけどね。かつてPファンクなんかでもホットチョコレートなんとかかんとか、
ちょっとエッチな意味を帯びさせて使われた表現なんかありましたけども。敢
えてこれは男を迎え入れ的な…チョコレートを肉体にこう塗り付けてねみたい
な…そういうバックミュージックとしてこの曲を聴くと非常にいいかなあと。
今回のアルバムは僕なりに様々な問題をぶつけて面白化してみましたけど、こ
の「液状チョコレート」もそういうオリジナルラヴの異色作と言える曲ではな
いかと思います。

M-04.液状チョコレート/オリジナルラヴ

***
 今回のアルバムのジャケットですけども、これはバッファロードーターのム
ーグ山本さんが全面的にやっておりましてポスターもそうですし。「R&R」の
ビデオはこの番組にも出てもらった事のある生西君っていう僕の友達がやって
ますけど。僕が眉毛にラメを塗るアイデアとかチアガールの中で戯れて踊る田
島みたいな、そういった事って全部生西君が考えましたけどもその他のジャケ
ットのアイデアは全部ムーグ氏にやって頂きました。まあ、ムーグさんはね、
ジャケットについていろいろ考えてくれましたけどある意味ムーグさんの仕事
っていうのは今回ジャケットよりも内容についての仕事のほうが多かったんで
はないかと(笑)僕は思える訳ですね。去年の「L」ってアルバムが出てその
後「変身」のベスト盤が出るぐらいからずーっとしょっちゅうムーグさんと会
ってまして。次のアルバムのアイデア僕とムーグさんと2人で考えたようなもん
だっていうか、ずーっと何かアイデアないか、こういうのどうだとかいろいろ
話しまして週一回とか二回とかしょっちゅう会ってました。今回のヴィジュア
ル最後なかなか決まらなくて…音楽の内容については大激論になりましたけど
ジャケットについてはあんまりなんか…うん、これいいんじゃない?みたいな
割と軽い意見をかわしてすぐ決まっちゃったなと(笑)。卓袱台ひっくり返す
ジャケットにしようよって事になりまして。卓袱台というよりもホテルのテー
ブルのモーニングセットみたいな…お皿にオムレツと牛乳とコーヒーがあって、
で、それを僕がこうガーッとひっくり返してその牛乳とか食事とかお皿とかバ
ーッと宙に浮かんでて今からグシャーッ!となるぞ!と。いうその途中の瞬間
写真ですね。まあパッと見、これなんだろう?って感じなんですけどよーく見
ると凄い不思議な雰囲気のあるジャケットに仕上がったなあと思います。この
ジャケット撮影の為にモーニングとか食事のセット20食か30食ぐらい集めまし
て撮影所に。大変でした。ハンバーグのセットからスパゲティのセットから…
美味しそうでしたけども(笑)、台にズラーッ!と並べまして、それを一個一
個セッティングしてはガシャーンガシャーン!とっても楽しかった俺的にはね
(笑)。だけどなかなかうまい事お皿が持ち上がらないんですご飯がバーンと。
で、コツが入りましてですね、テーブルとお皿がくっついたまま上に持ち上が
ってガシャーンとなっちゃうんですね普通にやると星一徹みたいに。そうじゃ
なくてちゃんとお皿がテーブルから浮いた状態で写真を撮りたいと。だから僕
が机をバーンとやった時にお皿が浮いた瞬間に机を引いてくれと言われまして
それがなかなか難しくて…結果的にうまい事いきまして。で、いろいろ判明し
たんですが、卓袱台ひっくり返すアドバイス僕いろいろできると思います(笑)
ハンバーガーは3回ぐらいひっくり返しても使えます(笑)。また組み立ててお
くと結構大丈夫なんですね。卓袱台ひっくり返すアドバイス受けたい方はこち
らにハガキを送って頂ければいろいろアドバイスしたいなと思います。私生活
でたまには僕も卓袱台ひっくり返したい!って感じ、誰しも男なら思っている
のではないかと。はい。という訳で(笑)。

***
 それではこれはもう最後佳境の曲であります。「アポトーシス」を聴いてみ
たいと思います。イントロに屋久島に行った時の風の音、山の音が入っており
まして、これがしばらく1分弱続きますけどもラジオおかしくなったと思わない
で下さいね。で、これが続いた後曲が入りますので。

M-05.アポトーシス/オリジナルラヴ

 この曲の歌入れはワンテイクOKでありまして全然どこの箇所も歌い直してお
りません。まっツルツル…あのー演歌歌手みたいにまっツルOKって感じで。こ
の「アポトーシス」のタイトルの意味ですけど、これは細胞の自死ですね。い
ろんな今細胞とか遺伝子だなんだかんだ研究がもの凄い進んでDNAだなんだ流行
ってますけども。マスターキー細胞っていうのがあるんですね。例えば卵とか
胎児からどんどん人間の形になっていく時にそのマスターキー細胞っていうの
がパパパーっとこう命令を出すとその各部分が手になりまーすっていって手に
なって伸びていったりするそういうマスターキー細胞ってのがあるんですけど、
マスターキー遺伝子だ、ごめんなさい。それが命令を出すと例えば人間の手の
指がどう出来るかっていうと、最初ドラえもんの手みたいに丸いんです。まー
るいこうなんていうの?平ったいお餅みたいなモノが手にできて、そのマスタ
ーキー遺伝子が指を作りましょうって命令を出すと、その指の間の細胞、水掻
きの部分、そこがわかりましたって自死していくという…処理されやすい形に
なって死んでいくという、それをアポトーシスというんです。元々はギリシア
語で「木の葉が落ちる」という意味からきてるらしいですけど。これは最近生
物学で面白いなと思って、この言葉まだ曲のタイトルになってないから早くし
ちゃったもん勝ちだなと思って(笑)つけたっていうところもあるかみたいな
感じですけども。今回のアルバムはこの「アポトーシス」をもって次に「地球
独楽リプライズ」という曲がある訳ですけど、要するに「アポトーシス」の後
奏部分になりますね「地球独楽リプライズ」。A面の2曲目のイントロ部分みた
いなのがまた出てきましてここで天に登っていって、ああ…彼方まで行って消
えて無くなっちゃうのかなあと思いきや次の「R&R」のイントロが聴こえてきて、
で、あーーっ!と地上に落っこってきて、で、地面にガーン!とぶつかってダ
ーダーダンダンとイントロが始まる。そういう架空の映像を思い浮かべて作っ
たとこありますけどちなみにね(笑)。あのー今回のアルバム作り終える段階
の時期…今年の3月ぐらいですね「マグノリア」っていう映画観たんですけど…
ブギーナイツの監督が作った、今年の…去年か…まあ日本では今年公開されま
したけど。あれ観てすげー感動しまして僕。コイツはスゲーヤツだ!と。確か
僕よりも年下なんですねあの監督、30才ぐらいですね。あの映画、いろんな相
容れない関係ないストーリーがこうたくさん並んでて、それがカエルがその街
に全部降ってきてなんか終息していくという…なんつったらいいんでしょうね、
そういうストーリーなんですけど、自分の作ったアルバムの雰囲気に似てるっ
ていうか…この映画は凄く音楽的だなと思っちゃって凄いヤツがいるもんだな
と思いました。今回のアルバムはまあ言うならばマグノリアだと考えて頂くと
…そういう風にイメージしながら聴いて頂くとイメージが広がっていいのかな
あなんて思う訳でありますけども。

***
 それでは最後に「ビッグクランチ」のこれはもうエンディングテーマといえ
るような曲「R&R」を聴いて下さい。

M-06.R&R/オリジナルラヴ

#解説は第60回あたりから。

<エンディング>
 ニューアルバム「ビッグクランチ」から仮想A面B面特集と全曲かけた訳です
けどもいろいろ無駄話たくさんさして頂いて。ま、このアルバムについて喋る
題材、こぼれ話、もうね話してたら1年ぐらいかかるかも…なんつて(笑)作
ったのは1年以内なのにね。まあとにかくね、実際制作期間は8ヶ月弱…6ヶ月
か8ヶ月位かかりましたので、間に2ヶ月3ヶ月ツアー入りましたけど、結構時間
かかったのでその間に起こった事いろいろあった訳ですが。とにかく今回この
アルバムはオリジナルラヴのいろんなピークの時期ありましたけど絶頂という、
3回目か4回目かわかりませんけども。自分で言うのも何ですが、ピークの時期
にあたるアルバムかなあとね思っておる訳でありますが。という事でこの番組
ではハガキ大募集しております。ビッグクランチの感想など…ま、これから発
売になる訳ですのでまだ感想はないか(笑)。是非ともいろいろなんでも書い
て送って頂きたいと思います。ファックスは03-3288-8955であります!という
事でまた来週。


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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki