ORIGINAL LOVE presents《BURST!》

第52回 (2000年3月23日放送)


<オープニング>
T「今日は、お馴染みフォッチャレーベルの小林弘幸さんが
 スタンバッております。」

M-01. ディア・ベイビー/オリジナル・ラヴ
<近況>
また相変わらず歌詞をずーっと書いていて、3週間それ以上かな?
作詞に煮詰まるといろんなところに行く訳ですが、最近夜の海に
ハマッてます(笑)。夜12時とか1時ぐらいに一人で海岸に行くん
ですよ。ちょっとアブナイかな(笑)。で、月の出てる時に海岸に
初めてあの何て言うのかな気分も変わるかなーって思って行ったん
ですね。もう全く電気がなくて月が出てて、波が寄せて来るんです
けど、月明かりに照らされて黒い波が鯖の背中みたいに青い光が遠
くの方でうねってるんですぶわーっと。近くのさざ波ってのは音が
じょわーっと聞こえるんですけど、遠くの波ってのは音が聞こえな
くて無音なんですね。無音で青い光がこう、ぐわーっとうねってて。
それを見て殆ど別の惑星の海岸だきっと!みたいな感じでさ。かなり
ね飛べるんですよ(笑)。異次元体験みたいな感じ。で、すっかり
それにハマリまして、そっから連続3回4回通いまして。でも段々飽き
てきました(笑)。たまに行くといいのかなあ。でも夜の海やっぱ
最高ですね。歌詞とか書いてる時、ひとつ薦めますね、はい。

<リコメンド>
M-02.ドント・イート・ザ・イエロースノウ/フランク・ザッパ
M-03.ダンシングフール/フランク・ザッパ

T「まあ、これなめてますね。もうふざけんなみたいな感じの曲です
 けど(笑)、カッコイイですね。ホントにこれ聴きながら夜中の海
 とか行きたくねえみたいな感じ(笑)。でも最高ですね。」

<談話室バースト!>
ゲスト:小林弘幸(フォッチャレーベル)以下K

・クズを拾い集める男
T「今日のお客様は前回の『間違っているロックンローラー達特集』
 が大好評のフォッチャレーベルの小林弘幸さんです。」
K「どうもこんばんは。」
T「もう殆ど最近は役割が決まってきてって感じですね。」
K「パンク担当みたいな。」
T「準レギュラー陣という感じか(笑)。これ早速今日ねー」
K「またクズなレコード達が。多分他局ではおいしくないような(笑)。」
T「うちらだけおいしいみたいな(笑)。」
K「ここらへんのジャンルに共通してるのはジャケットがヒドイっていう。」
T「ヒドイですよねー(笑)。」
K「このヒドサったらないですよね。」
T「あのー、関係ないって感じ(笑)。」
K「音と内容が全く関係ない。予算があるんだかないんだかも関係ない。」

***
・ガンマニア小林
T「で、ガンクラブ(笑)。」
K「いきなりなんですけど(笑)、担当として言いますが、80年代初期ぐ
 らいのアーティストで、要するにポストハードコアパンクの世代なんで
 すけども。彼等の凄いところはパンクとルーツミュージック、ここでは
 ブルースなんですが、ブルースとアブストラクトなパンクのクロスオー
 バーっていうか、本人達は別に融合を目指してた訳じゃないと思うんで
 すけど、なんとなくなっちゃってる。西海岸のバンドで、この当時は
 サイコブルースっていうくくられ方してましたね。」
T「あー。サイコビリーじゃないんだね?」
K「クランプスとかとも親交があったバンドなんですが、今DMBQの増子君
 がもう一個別にやってるちょっとヒルビリーとかブルースの香りがする
 ハイドログールってバンドとも共通する、スライドとか入っててカッコ
 イイんですよ。それとパンクの疾走感とちょっとカントリーっぽいんで
 すよねフレーズのふしぶしとか。このガンクラブ、欧米では人気がある
 んですけど日本ではなかなか認められないというか。ボク当時から大好
 きでコンプリートなんですよこのガンクラブのコレクション、7インチ
 も。多分日本で一番のコレクター(笑)。」
T「へえー!珍しい人だ(笑)。ボク初めて顔見ましたガンクラブ。」
K「ジェフリー・リー・ピアスっていってイギリスではゴシックバンド、
 ポジパンのたぐいだったんですよね。ちょっとダサイんですけど(笑)。
 ポジパンとかサイコビリーそこらへんが一緒くたになってました82年
 当時は。」
T「あーまだね。キリングジョークとか出てくる。」
K「そうそう、キリングジョークなんかサイコーじゃないですか。」
T「今聴いても結構いいんだよね(笑)。」
K「もうキリングジョークとかバリバリ聴くべきですよみんな(笑)。」

M-04.プリーチング・ザ・ブルース(ロバートジョンソンの曲のリアレンジ)
   /ガンクラブ

・下北のガンマン達
T「これサイコビリーとかパンカビリーとかあんな感じですね。」
K「そうですね。今の時代だとあんまり必然的ではない音楽って言うか。」
T「(笑)。」
K「ま、どうでもいいもんですね。」
T「いやいやいや(笑)、かっちょいいけどね。あのーロバートジョンソン
 の曲だって聞くとさ、なるほどなと思うね。」
K「当時のあまり突き詰めてない感じが軽くて良くて。」
T「でも不良っぽくていいですよね。」
K「人間が不良じゃないんで、音に不良っぽい部分を感じるとついつい
 惹かれちゃうんですよねボクは。」
T「(笑)、昔よく下北でこのへんの曲かけて暴れてる人達いたじゃん。」
K「下北ですよね。」
T「そう(笑)、なんかそんな感じ。懐かしいなと思って(笑)。」
K「こういうのがベースにあると良くないですね大人になっても。
 大して働く気もなく。」
T「あー、それは言える(笑)、ボクもそうだし。全うにはなかなか
 行けなくなる。」

***

・アンバランスバランス
K「次はクロームっていう有名なプレパンクですね。」
T「へえー、これオレ知らない。」
K「80年代前半に一番活発に活動してたバンドで、ボ・アダムスが初期の
 頃凄く影響受けたバンドですね。サンフランシスコでレジデンツとかと
 同期ですね。」
T「あーそうなんだ。もうサンフランシスコだよねやっぱり。」
K「気候の良さとやってるダークさっていうアンバランス加減に非常に
 興味があって。」
T「頭がいいのか悪いのかわからないっていう。」
K「おそらく価値観とか価値体系が全く違うところで生まれてしまった音楽
 っていう。だから何がカッコ良くて何がカッコ悪いのかもうわかんないん
 ですよねここらへんって。このバンドは後期はもっとオルタナティブ色
 強くなっててやっぱりゴシックっぽくなったり、エレクトロニクスを駆使
 した音響っぽいサウンドとか、NYとかだとスーサイドみたいなバンドが
 いて西海岸だとこのクロームっていう。」
T「あー!そんな感じなんだ。」
K「今日持ってきたのは1stなんですが、この頃はまだちょっとフラワー
 ムーブメントっていうか。」
T「ヒッピーっぽいの?」
K「ヒッピーっぽい部分とかギターが泣きまくってるんですよ。
 ボクが思うにこれはサンタナの影響じゃないかというぐらいまで(笑)、
 バランスや音のミックスの加減がおかしかったりとか。」
T「スーサイドみたいな?スーサイドでギター泣いてたらイヤだよね(笑)。」
K「スーサイドというか、ペルーブとサンタナの中間ってゆうか(笑)、
 プログレファンとかサイケファンとかにも評判がいいという。」

M-05.ハウメニィイヤーズ・トゥスーン/クローム

T「カッコイイじゃんこれ!」
K「(笑)。」
T「(笑)、これキュウン!って音がイカス!」
K「なんなんでしょうかね?これ。」
T「多分タムに何か…(笑)、ヘタクソなザッパみたいな。」
K「そう、ザッパから繋がりましたよ(笑)。」
T「ギターが泣いてるんだけどハッピーだね、笑ってるみたいな。」
K「笑いながら怒ってる人みたいな(笑)。」
T「そうそうそういう感じだね(笑)。」

***
・フラッシュ!
T「次はこのジャケいいですよね。」
K「裸ですね。明らかに貧相なな体つきの男が。」
T「そうそう全裸。もうもちろん性器を完全露出してるジャケットですけど。
 顔がレイフギャレットっぽくない?(笑)。」
K「あのセブンティーズアメリカンとかの一番オーソドックスな顔つきです
 よね。」
T「顔がこれで全裸っていうのがまたいいよねっていうか(笑)。」
K「豹柄のガウンをまとって露出狂みたく前をバーッと開けてる状態ですよ
 ね。」
T「割と顔は爽やかで普通の感じでね。」
K「笑顔で露出。」
T「(笑)、ボックスポップっていう。」
K「このバンドはやはりサイケファンから評価が高いパンクバンドですね。」
T「ガレージパンクなの?」
K「いや、ガレージではないですね。ブラックフラッグとかサンフランシスコ
 とかロスで言うとサークルジャークスっていうバンドとか、あとジャームス
 っていう70年代中盤ぐらいのサンフランシスコの伝説的なパンクバンドが
 いて、それの元メンバーとかが集まってつくったちょっとコストパンクって
 いうか実験色の強いパンクバンドですね。」
T「へえー。で、これがメンバーなの?裏の。みんなイカレテル顔してるね。」
K「もう大好きですよこういう人達。友達になれないですよね。」
T「(笑)、これ表と違うね随分。」
K「表の全裸の男がこれですね。」
T「あーこれなんだ!」
K「イカレちゃってますね。」
T「なるほどね、イカレテルわこれ。」
K「すごいんですよ、もうファッションセンスとか大好きで。なんかこう
 迷彩のノースリーブとかね。かっこいいですねー。音もこんな感じです。」
T「あ、そうなんだ。これは期待させますねこれもまた。なるほど(笑)。」

M-06.ビカム・ア・ペイガン/ボックスポップ

・ロックン宴会
T「これ最後宴会みたいになってましたね(笑)。」
K「アバンギャルドな事をやろうとして見事失敗してるでしょ。」
T「アバンギャルド宴会っていうかさ、エイショ、エイヤー(手拍子)
 みたいな(笑)。」

 #かく言う田島も先日アメリカのライヴで披露した新曲(3曲目)では、
 #延々「エッサ、ホイサ」と歌っていました。少なくとも僕にはそう
 #聴こえました。そこんとこどうなのよ?>田島

K「でもベースにあるのが明るい。」
T「うん、明るい、ハッピー。ハッピーっていうか(笑)、
 もう徹底したやる気の無さっていうかさ(笑)。」
K「これがクズでいいんですよ。多分ボクが思うに、ラフムズロスアン
 ゼルスフリーミュージックソサイアティーっていう音楽集団があるん
 ですけど、そこからの影響とかも多少あるんですよ。スメグマとかね。
 ノイズミュージックとかに、とウラハラな音楽。」
T「なんでやる気の無さがこう気持いいんだろう。わかんない(笑)。」
K「やっぱりやる気ないんじゃないすかみんなもう(笑)。」
T「やるなよって感じなんだけど、このやってる感じがさあ(笑)。」
K「やらずにいられないんだけど出してるものが全部どうしようもない。」
T「そう(笑)。」
K「こういう無駄なものが大好きで。」
T「なんかカッコイイっていうなんか不思議なね。」

<バースト選曲>
K「次はちゃんとした…ちゃんとしたバンドってのもおかしいんですけど、
 パンクロックっていうのはやっぱり60年代のR&Bとかロックンロールの
 流れの中にあるとボクは思ってて。ルーツはやっぱりガレージパンクや
 もっとサイケデリックなモノから影響のあるパンクバンドがもの凄い好きで。
 ボクがプレパンクの中で一番評価しているオランダのアウトサイダースの
 1stアルバム。これは名盤で一時期5万円ぐらい。」
T「そんなにしたの?へえーー!」
K「当時ヨーロッパではアイドルバンドだったんですよ。66.67年彼等はもう
 長髪なんですよ。汚くて風呂も入ってない感じがプンプンしてて、それと
 ビートの見事な結実がキラッとしてるんですね。1stは片面がライブ録音、
 もう片面がスタジオ録音という、そういうモノのクラシックというか。」

M-07.ストーリーシックスティーン/アウトサイダース

T「これはねー。カッコイイよー。メッチャカッコイイこれー。
 いやー良かったなぁこれ。へえーオレ買おう。」
K「名盤ですね。」
T「他の曲もいいの?」
K「他の曲も素晴らしいですね。このアーティストに影響受けたのが
 ルースターズとか陣内さんがいたロッカーズとか。」
T「うっそー!知ってたんだ!」
K「あそこらへんのメンタイロックの一番のレジェンドですよこれ。
 バーストシティっていう映画のテーマでバトルロッカーズっていう
 バンドがあって。」
T「知ってる!爆裂都市でしょ?あのインストのやつ?懐かしいな。
 あれカッコヨカッタよね。」
K「あのバンドがこのアウトサイダースの曲をカバーしてて。
 当時鮎川さんとかがこれ持ってたんですよ。ボクの推測ですけど。」
T「あーそっかそっかなるほどねー。鮎川さんたくさん知ってるからね。」
K「鮎川さんがこれを当時、そのメンタイロックの人達にバッとこう
 テープかなんか配ったんじゃないかと思ってるんですが、定かでは
 ないですけど(笑)。」
T「ゼムって感じもするし、パティスミスのグロリアの感じも近いし。」
K「ああ、そうですね。」
T「カッコイイこれ、いい感じだね。ドラマー凄いいいドラマーだね。
 これだけど、これいい。これー気に入ったかなり(笑)。」
K「ありがとうございます(笑)。」

<エンディング>
T「フォッチャのほうもいろいろ忙しいらしくて。」
K「いやー頑張っております。」
T「あのー面白かった今日も。またなんかおもろいレコード持って来て
 頂きたいと。」
K「またクズ達をたんまりと持ってきます。」
T「はい(笑)。」

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 フラッシュ(flash)って、俗な言い方で露出のことですよね。ハニー
フラッシュ。




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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki