ORIGINAL LOVE presents《BURST!》

第51回 (2000年3月16日放送)


<オープニング>
T「今日は初めてお会いする方。2月にアルバムをリリースした
 ア・ホーリージェットのタカイコウキ氏の登場です。」

M-01. Deep French Kiss (from 『Sunny Side of Original Love』)/オリジナル・ラヴ

<近況>
ここ1ヶ月半ぐらいずーっと歌詞の事ばかり気にしていて益々
言葉に敏感になっていって。作詞する脳と作曲する脳の部分って
おそらく、実感としてホントに感じるんですけど全く違うところ
にあるな。脳の右端と左端ぐらいに、それぐらい離れてるんじゃ
ないかと最近思いますね(笑)。曲作ってる時は驚くほど歌詞を
書く気にならなくて、歌詞を書き始めると驚くほど音楽がどうで
もよくなってしまう、つったらいいの?(笑)。

・津川さん!((c)雪路)
普段は殆ど映画観ないんですけど作詞に詰まったりすると付け焼刃
のようにたくさん観に行ったりして。で、レイトショー先週は5本
ぐらい。「ラストタンゴインパリ」観に行ったら津川雅彦さんが
1人で椅子に座っているんですねー。もんのすごいオーラをまわり
3メートルぐらいバーン!って放ってましたね。みんな津川さんって
気付いてるんだけどなかなか近づけないみたいな(笑)。そういう
不思議な雰囲気ありましたけど。

・田島説教モード。
渋谷に行って「マグノリア」とかああいうヤツを観た。夜の11時
から夜中の1時50分まで時間が空いたんで久しぶりに渋谷を2時間
ぐらい練り歩きまして。吹っ飛びましたね!渋谷の景色観たら!
あの『ヤマンバ』もうね。すごいですねえ!今このヤマンバの方々。
顔が真っ黒で目がまっ白で!渋谷の駅前とか30万人ぐらいの人が
いるんですけど、その3分の2とか4分の3ぐらいは殆ど女の子で
その大体半分ぐらいがヤマンバ!もーね、ここはナンダロと思いましたよ。
前コギャルとか流行ってる時はなんだよこれーとは思いましたが
ヤマンバを観ててホントに怒りの感情がこみ上げてきましたよ(笑)。
ヤマンバの方々ってのは女の子同士なんですよねみんな。あの女の子
達は自覚してあのかっこする訳でしょ?「もてないんだけど、でも
私はヤルワ!ポリシー!」みたいな、よくわかんないんですけど。
目立ちたいのかな?なんか。あれはねーボクはちょっと反対します。
ヤマンバ反対!と言いたいですね。

・夜のシブヤ系
渋谷の街にいて特に不思議だったのは、金曜日夜中の12時30分とか
終電が終わったら30万人ぐらいいた人達が1人もいなくなりまして。
(#んな大袈裟な)おーどろくべき!ビックリしましたよ!凄い淋
しくなっちゃって(笑)。渋谷公会堂のまわりとかホント人いない
んですよね。ここ何年かで随分変わったなぁと。一斉取り締まりか
なんかあったからそういう風になったとかいう話もありましたけど。
不景気なんだか、なんだか知らないですけどね。結構キテルなと
思いました(笑)。その後映画観たんですが渋谷の街の光景のほうが
インパクトありまして「うーんまあまあじゃないか」と思いながら朝
の6時頃帰ってきたんですけども(笑)。そういう近況でありまして。

 #って言うか、その時間渋谷にいる田島の姿の方が面白いんですけど。

<リコメンド>
T「先週に引き続きパブリック・イメージ・リミテッドです。」

M-02.ポップトーンズ(from『メタルボックス』)/
   パブリック・イメージ・リミテッド

<談話室バースト!>
ゲスト:タカイコウキ(ア・ホーリージェット)以下K

T「今日のお客様は2月にミニアルバム『アバンダントソングスフロム
 ザ・リンボー』をリリースしたもう絶好調なア・ホーリージェットの
 タカイコウキさんです。」
K「どうもはじめまして。」
T「はじめまして。ア・ホーリージェット聴いてますよ。
 小林君からいろいろ聞いてて。アルバムのタイトル面白いですね。
 リンボーから捨てた曲?」
K「タダレタとか朽ち果てたとかっていうイメージのほうが
 ボク的には強かったんですけど。」
T「へえー。これはソロアルバムとして初めての?」
K「そうですね。ア・ホーリージェット名義ではコンピとかに入ったり
 してた事はあるんですけども曲をまとめて出したのは今回初めてです。」
T「前ボクが聴いた曲凄い変わってたな。」
K「7インチになったヤツですか?」
T「あのーロックっぽい感じの曲とあと凄い打ち込みの。
 なんかね、ふふふ(笑)。」
K「えへへ(笑)。」
T「あのギャップ(笑)。これなにどういう音楽やってるんだろう
 って凄い面白いなと思った。前はADSでやってたんですよね?
 ADSは凄い聴きたかったんですよ。二見君がADSいい!って言ってて。
 何年前?」
K「4年ぐらい前になりますかね。」
T「ライブ凄い行ってみたいなと思ってたらもうなくなっちゃった(笑)。
 それからすぐ始めたんですか?このア・ホーリー・ジェット。」
K「すぐというか、コンピ(東芝EMIとかイギリスのプシフト)に
 田島さんが聴いたあの曲が入ったんですけど、それをADSをやってる
 時に平行してやってて。ADSってのは宅録で、いまだにボク宅録なん
 ですけど(笑)、宅録の時はエンジニアネームみたいなのが欲しくて、
 それで使った名前なんですよ。ADSというのはとにかくメチャクチャ
 なバンドで凄い混沌としたバンドだったんですけど、それを辞めて
 次に何かやる事になった時、凄く整理されて誰でも聴ける普通の
 フォーマットでどういう事ができるのかというのがやってみたくて、
 今回は非常に普通の歌モノのポップスですね。」
T「はあー!取り敢えずそのへんを聴いてみたいと思います。」

M-03.シルヴィアを聴きながら/ア・ホーリー・ジェット

・普通に、しかし屈折。
T「前に聴いたシングルよりもまた随分とあれですね。
 ちゃんとしたっていうかさ(笑)。」
K「(笑)。」
T「成長のあとがあるというかいいもんになったなっていう。」
K「あ、ありがとうございます。」
T「オレンジジュースっていたじゃないですか?あれに感じが
 似てるなあって思ったり。」
K「ファラカンティーナとかの感じですかね。」
T「ああそうですね。シモンズなって(笑)。ホーンセクションは
 誰が書いてるんですか?」
K「菊地成孔さんていうSAX吹いてる方なんですがホーンアレンジを
 書いて頂いて。」
T「あ、そうですか、いいですね。普通っぽいっていうか、だけど
 コードの流れが異常で(笑)。そういうどことなく変な屈折感と
 いうかそういう匂いがあってそこに得体の知れない謎があって
 凄いいいなと思うんですけど。」
K「ありがとうございます。」
T「こういう爽やかなサウンドって持続していくの実は凄い
 体力いるんだよね(笑)。」
K「あーそんな気がします。ボクもやってみて思うんですけど(笑)。」
T「あのね。これある意味でなめられるからさ(笑)。
 でもやってる事はクオリティとしては凄い高いとこを目指してる
 というのは凄い偉いと思うんですよ。」
K「ありがとうございます。」
T「偉そうだなオレも(笑)。」
K「お礼言いっぱなしなんですよねさっきから(笑)。」
T「いやいや(笑)。これは突き詰めたら凄いと思いますよ。」

<バースト!選曲>
・なんでエリントンなわけ?
T「タカイ君に持ってきてもらったんですが、
 これデューク・エリントンなんでしょ?とつ、とつぜん(笑)。」
K「突然(笑)。好きなんですよ最近。」
T「でもデューク・エリントンってやっぱすっごいですよ。
 相当深いっていうかね。結構謎に満ちてるっていうか。
 このチェルシーブリッヂってどういう曲でしたっけ?」
K「正確にはエリントンのナンバーではなくてエリントンのところの
 セカンドピアニストのビリー・ストレイホーンっていう人の書いた
 曲なんですけど。いわゆるエリントンミュージックと言われてる
 音楽の大半は実はストレイホーンミュージックだったりするらしい
 ですよね。最近ここ2年ぐらい聴いているんですけど。」
T「へえー!」
K「ストレイホーンの曲って異常なコード進行とかエリントンよりも
 謎っぽい響きっていうか。」
T「あそっか。じゃコイツがやってたのかな?コイツだって(笑)。」
K「どうなのかな?二人でホテルのスィートにこもってやってた
 らしいですよ。」
T「エリントンってさ。世界で初めてコンビネーションコードつって、
 デミニッシュの例えばAとDを一緒に弾いちゃう事やってて。
 カタゴナシュシュとかでさ。ホーンセクションがポッポーって
 汽車の音のマネするでしょ?あれってエリントンが汽車の音聴いてて
 『あ、これはAとDとGと」って全部譜面を(笑)、和音全部書いて」
K「絶対音感。しかもクラスターみたいになってますもんね
 そのポッポーっていう音。」
T「そうそう。それでその和音を書き記して行ったらその
 ディミニッシュコード2つ合わせてこういう音だったのよ。」
K「ディミニッシュって最も響きがキツイののひとつですよね。」
T「そう!それを変なとこで合わせるんだけど。そうすっとね、
 汽車みたいな(笑)。今現代音楽とかでよく使われてるんですけど、
 ジャズで使ったのはエリントンが最初なんですよ。そのぐらい
 おかしなヤツみたいで(笑)。」
K「へえー。ちょっと異常ですよね(笑)。なんというか音楽が綺麗で
 気が遠くなりそうになっちゃう事ってあんましないんですけど、
 エリントンとかビリーの曲って聴いてるとそんな感じなんですよね。
 あとやっぱり、サウンドもとれないじゃないですか、音も悪いし
 昔の録音で。今でも謎が多いんですけどその和音の積み重ねですか。」
T「凄いですよ!それでいて最終的にポップスなんだよね。」
K「そうなんですよ。ステージもエンターティンメントなんですよね。」
T「そうそうそう。マイルスの自伝とか読みました?」
K「今、まさに読んでるんですよ!(笑)。」
T「メッチャクチャ面白いでしょ?」
K「もうっあんな面白い本はない!」
T「あれエリントンの話出てきませんでした?
 なんかな凄い喧嘩が強いとか(笑)。」
K「強そうですね(笑)、だって体でかいし。」
T「もの凄い喧嘩強くて誰もしゃべれないみたいなさ(笑)。」

M-04.チェルシー・ブリッヂ/デューク・エリントン

・いいね、エリントン、音が悪くて(どっちだよ)。
T「これ凄い曲だね。いいね。」
K「ちょっと退廃的で甘くて。」
T「ちょっとおかしな人の雰囲気もあるし(笑)。甘くていい感じで。
 このへんのコードのアンサンブルってもうエリントンにあったんだ
 よね。ギル・エヴァンスとかがクールジャズやってる頃のコードは
 もうここにあるもんね。それにしても音悪いねこれ(笑)。」
K「これは実は何を隠そう、当時40年にNYでやってたアメリカダンサ
 ーズというラジオ番組のエアチェックモノをマニアが最近蔵出しして
 CDにしちゃったいう。ラジオから流れたものがいっぺん録音されて
 更に今回ラジオで流れる訳ですね。」
T「あーなるほどね。これでもさ、しかもラジオの前でマイクで
 録ったみたいなそんな感じの音ですね。」
K「この曲が凄い好きでいろいろテープ持ってるんですけど、
 音が悪いテイクが一番オブリとかのメロがおいしいんですよ。」
T「へえー!」
K「あとこの音の悪さが曲の闇みたいなのを逆に浮き上がらせて。
 敢えてこれを持ってきたんですよ(笑)。」
T「うんいいよね。この音の悪さが気持いいよね。曲と相まって。」
K「ジャケット最悪ですよね。このなんかバラの花ですか?(笑)。」
T「これバッタ屋臭いですよね。サイテーだね(笑)。なんなんだこの…」
K「真っ赤なバラが写ってるだけって(笑)。」

T「2曲目ガルコスタですね。最近の?」
K「70年って書いてあるかな。」
T「あ、聴いてない。」
K「さっきの曲との共通項と言えば不思議な転調があるという。」
T「もうっ!そういうの大好きなんだね(笑)。」
K「ボクも大好き(笑)。」

M-05.ミニミステリーオーソ/ガルコスタ

T「この番組やっていろんな人が来るんですけど面白いですね!
 改めて(笑)。なんかねその人の個性つうか世界観が伺えて
 非常に面白いね。さっきの曲といい今の曲といい、この2つを
 選ぶ感覚ってのが。あ、こうくるかみたいな(笑)。」
K「でも似てますよねこの2つの曲。ボクの中では一緒なんですよね(笑)。」
T「うーんそうなんだなあと思って(笑)。でもガルコスタの中では
 かなり変わった異色の曲だね。ここまで変なフリーキーなっていうか
 ザッパっぽいギターが入ってくるような曲。」
K「楽器のタッチが良かったですね。」
T「でも面白い凄いいい曲だった。ア・ホーリージェットの他の曲も
 聴きたいなと思ってたんですけど時間が来てしまって。」
K「残念です。」
T「来週か再来週かけますから!」

<エンディング>
T「また来て下さいね!また曲選んで聴かせて下さい!
 こういう選び方する人も珍しいなと思って(笑)。」
K「FM向けでしょ?(笑)」
T「あーFM向けなのかなぁ?(笑)。」
K「ガルコスタとか(笑)。」
T「だって他にもっとノリのいい曲あるじゃない。これを選ぶかなぁ
 みたいな(笑)。ボクの好きなタイプのガルコスタの曲は全然違う
 のよ。だからね。もう聴き方が面白い感じだなと思いました。」
K「はい。」
T「はい。ナニ言ってるかって感じで(笑)。」


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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki