ピアノのコンサート
少し前に、いくつかピアノのコンサートに出掛けました。
一つはボブ・ミルンさんのラグタイムやブギウギといったジャズのコンサート。
これは名古屋ボストン美術館の展覧会関連イベントとして行われた一時間ほどのものでしたが、
間にお話を交えての楽しいコンサートでした。中でも有名な
「エンターテイナー」という曲は最後のメロディのところが道端の物売
(日本だとやきいも売り、とか)にあたる節で“すいか甘くておいしいよ”と言っている、
という話や、葬式の帰りに故人の幸せだった人生を表しているという
「パナマ」というにぎやかな曲のエピソードも印象に残りました。
演奏ももちろん素晴らしかったです。
もう一つは豊田市コンサートホールでの小川典子さん、田部京子さんによるピアノデュオ。
とはいえ、連弾は一曲目だけで、あとの「惑星」「動物の謝肉祭」
「ラ・ヴァルス」は二台ピアノ。一番よかったのはやっぱり「ラ・ヴァルス」。
最後の曲ということもあってか、お二人とも弾いた!という感じでしたし、
こちら側も聴いた!という具合でとても満足しました。
田部さんによるとお互いに大の仲良しと言われるだけあって、息もぴったりで
選曲もよく、また機会があったら是非行きたいと思いました。
最後の一つは、舘野泉さんのコンサート。左手のための、ということで、
私にとってはびわ湖ホールに出掛けて以来二回目でした。前回は復帰して間もない頃
でしたので、スクリャービンなど、既製(?)の作品が含まれていましたが、
その時、左手のためのピアノ曲の楽譜をシリーズ化したい、と言っておられた通り、
今回はそれを活かして舘野さんに献呈された曲ばかりでのプログラムとなっていました。
これってすごいことではないでしょうか。ある意味、この人しかできない、
この人だからできる、という部類に入るのではと思います。
おそらくはこの日本のピアノ音楽史にも残るであろう、世紀の瞬間に
立ち会えたことは本当に幸せなことです。
<2007.08.15 vol.89>